2013/10/28

温泉とガスタンク──都庁前〜西新宿五丁目

2013.9.21【東京都】──大江戸線を歩く_19

 東京に戻り「大江戸線を歩く」を再開しますが、本編は熊野神社例大祭(9月21日)のもので、旅行をはさんだこともあり季節外れの報告となります。
  この一ヶ月で季節感が大きく変わったと実感しながら……


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Shinjuku Central Park:新宿中央公園(Map)


 中央公園では8・9月の土曜日に「新宿セントラルパークマーケット」が開かれました。
 各地の産直野菜や加工品、学生が育てた野菜など、商品説明の講釈を聞き・語り合う、出会いと商品を楽しもうとする催しです。
 まだ汗がしたたる季節で、木陰で涼めるのはとても助かりますが、虫よけスプレーをしても落ち着けません。
 とかいいながら、静岡県寸又峡温泉の露天風呂では、腰をブチブチ刺されながらものんびり入っていました……(お湯につかるとかゆみが散るので)


十二社(じゅうにそう)熊野神社(Map)


 ここは、源義経に従った紀州熊野三山の神職が、敗走の果てに付近で暮らし始め、熊野十二所権現を勧請(かんじょう:分霊を祭る)したことに由来するとあります。
 江戸時代は熊野十二所権現社と呼ばれる新宿の総鎮守であり、氏子町には歌舞伎町周辺も含まれます。

 里神楽の舞台では、演者が面の下へ何かを差し入れるしぐさに「何かを飲む演技?」と思えば、場の幕あいもない演者が舞台上で汗をぬぐっています(暑い日でした)。
 そんな様子から、受け継がれるお面に染みついた汗はいくら洗い消毒しても(ファブリーズしても)、自分の汗で歴史(先輩方のニオイ)がよみがえり、目がしばしばしてくる強烈な「喝」を入れられそうな気がします……


 江戸時代神社隣接地に農業用ため池(十二社池:弁天池)が作られ、玉川上水(甲州街道側)から神田上水(神田川)に通された水路にできた滝と合わせ、人工的な景勝地としてにぎわいます。
 明治時代以降遊興地として栄え、昭和初期に三業地(料理屋、芸妓屋、待合:旅館)として認められ、にぎやかだった時代に空襲を受けます。
 戦後復興の際に温泉が掘られ、1958年ヘルスセンター的施設「十二社温泉」がオープンします(船橋ヘルスセンターのオープンは1955年)。


旧十二社温泉(Map)

 ガキ時分、母方の実家へ向かうバスの「十二社前(だったか?)」停留所付近で十二社温泉を見かけました。
 祖母だったか一度連れられた際、真っ茶色のお湯だった記憶があります。
 調べてみるとちょうどそんな頃(1968年)、池の埋め立てとともに歓楽街が消え、高層ビル街建設の準備が始まったようです。

 2009年に温泉閉店の理由は、渋谷温泉施設爆発事故(2007年)の後、規制が厳しくなったため、とも。
(右が温泉のあったマンションと思ったら隣でした…)


旧ガスタンク(パークハイアットホテル)(Map)


 現在パークハイアットホテルの建つ地には、以前ガスタンクが並んでいました。当初は円筒形で貯蔵量により天板が上下するものでしたが、1975年頃球形のものに建て替えられます。球形の印象が残るわたしの記憶は古いものではないようです。
 ガスタンクが作られる前は「梅屋敷銀世界」が存在したと目にし、何と魅惑的な響き! と。
 江戸時代、都庁を含めた一帯には館林藩・秋元家の梅林があり、そこに「銀世界」という梅屋敷があったとのこと。
 銀世界とは、梅の花を「白銀の花が咲く如く」という、見事な表現によります。

 その梅林は、1912年のタンク建設前に芝公園に移植されたと知り、「あれか?」と思い当たる場所があるので、来年の梅の季節に説明文を読みに行ってきます。


 パークハイアットのアングルを探すうちに甲州街道に至り、反対側にも提灯が見え道を渡ると、それは「代々木八幡神社」のものでした(例祭9月23日)。
 祭りの地区割りごとに地域の歴史をひもとくのも一興、のヒントをもらいます。

 目的を完全に忘れ、現在遊歩道・公園とされた旧京王線軌道跡に引かれ、そうそう!「このカーブ覚えてる」などと記憶をねつ造しながら歩きます。
 調べれば新宿〜初台間の地下化は1963年とあるので、完全な勘違い。

 西新宿の記憶は、母の実家(中野)、父の実家(代田橋)に加え、父の兄・弟が京王帝都電鉄に勤め、学生時代は下高井戸(京王沿線)に通ったことを振り返るためか、各所の断片的な記憶を時系列に整理できなくなっているようです。
 だから自分の足で再確認している、とさせてください……

 上は、新宿駅高速バスターミナル付近に設営された祭りの休憩所。


 追記──「海の上の診療所」(フジテレビ 月曜 21:00)

 瀬戸内海を舞台にした、離島医療をテーマしたドラマです。
 松田翔太はかなりおちゃらけていますが、瀬戸内海の景色や、島の集落の絵など「瀬戸内海の島々の魅力満載」です!
 録画して、飛ばしながら景色を見てもらえれば、「行ってみたいなぁ〜」と思っちゃうかも知れません。
 飽きる理由は「波がないこと」以外に見つからない、魚のおいしい瀬戸内へ是非!