2021/12/27

宇宙にときめく

2021.12.13【東京都】

 普段なら遠い(不便)と感じる会場ですが、通院中の病院に近いため「足を伸ばしやすいでしょ?」と誘われるようで、乗っかりやすくて助かりました。

 宇宙を旅し続けた(2014年12月〜20年12月)はやぶさ2 帰還カプセル(小惑星リュウグウの“かけら”を含む実物)や、探査機模型(右)を眺め、宇宙に思いを馳せるだけで、気持ちが高揚し、動悸や息苦しさを覚えるようになります。
 高揚感(ときめき)を引き出すスイッチはオートマチックで、その先にはキーワードとなる出来事を中心に、周囲や背景の空気感がパッケージで紐付けされています。この時のリンク先は、宇宙にときめき興奮する姿の周囲に、宇宙や天文に関心を持ち始めたガキ時分の時代背景や空気感が満ちているため、人類が初めて月面に立ったアポロ11号の興奮を伝える、大阪万博(1970年)アメリカ館「月の石」展示(未見)を想起させ、一段と気持ちを高めてくれます。
 「宇宙にときめく感性」を持ち続けても、新たなものは生み出せないかも知れないが、埋もれていた記憶との思いがけない再会は、それ自体を発見のように感じたりします。

 タッチダウン地点を誘導する目印として、事前に投下されるターゲットマーカ(右:反射光で距離を計測する)は、球状の外側が、野球の硬式球の皮のような反射シート(2枚)で包まれます(内部は弾まぬよう、小さな粒を入れたお手玉構造)。手作り感のあるアナログ計測機器(?)を、宇宙空間に飛ばすシステムの採用には、下町ロケットにも通じる技術者魂(たたき上げの意地?)がうかがえる気がします(アナログ機器の方がトラブルは少ない)。
 小惑星探査プロジェクトの規模が、日本人の得意とする知恵や工夫を凝らした技術を際立たせ、輝きを放つサイズ感にフィットするように感じます。その相性の良さゆえ、当初想定したステージのクリアに加え、次なる目標に向けたチャレンジが始まっているような、スマートさが感じられるのだろうと……


 上は、採取試料を格納するコンテナの実物大模型(直径約40cm)で、右写真中央付近の円形部分に格納されます。

 素人目には、サンプルキャッチャー内の採取サンプルの有無が、成否の分かれ目と映っていたので、十分な採取量と知り目標達成! と見る面がありました。ですがそこは強欲な研究者たち、「サンプル量が多すぎて困っている」なんてボヤキこそが、彼らの秘めたる目標(願望)だったのではないかと。
 すでに現段階のサンプル分析からも、「含水鉱物や有機物を含む」「水と岩石が反応してできる炭酸塩の特徴」等の概要が伝えられ、来春には「隕石学の歴史を書き換える成果」が発表できそう、との予告(宣伝?)がされています。当事者なら一度はぶち上げたい、ワクワクを盛り上げる大風呂敷(?)ですし、確からしいので文句はないと思いますが、はて、どんな発見があったのだろうか? いまから楽しみです……


 今回のはやぶさ2の大気圏突入動画(リンク先Youtube)が地味に見えたのは、初号機の探査機ごと大気圏突入(リンク先Youtubeの10分付近)が、派手だった反動と言えそうです(トラブル続きで満身創痍のため飛行を中止し、探査機も同時に大気圏突入させた姿は、大成功を祝う花火のようでした)。
 はやぶさ2の探査機は、現在も拡張ミッションを遂行中で、次の小惑星に到着するのは2031年7月の予定。イオンエンジンの累積運転時間は初号機より短い、推進剤はまだ半分以上残っている、向上した耐久性を発揮する場面がない 等、託したい任務は尽きないそうです。山盛りの期待は次の計画に向けたアピールであり、研究者の強欲さのせいでもあるので、どちらのためにも最後まで任務を全うしてもらいたいと。
 宇宙にときめく心 に限りは無いようです……

 本ミッションの成果が賞賛に値するものとなり、インパクトや、ショー的な要素も求められる成果発表(アピール)の面でも、今後の目標とされるような実績となりますことを。



2021.12.27 大河ドラマ『青天を衝け』終了

 渋沢栄一という人物について決して詳しくは無いが、額面のイメージ通りの人ならば、その半生を描くだけで素晴らしいドラマになるはずですが、その時代だけで完結に至るものではなく、現代社会にも通じる普遍性を持った、大きな思いを描こうとした取り組みに、心震えました(女好き程度は許容範囲内と容認したら、イマドキでは叩かれそうですが)。
 枚挙にいとまがないほどの実績を残し、世界に名を馳せた人物の思いも、国家間の思惑の前ではいとも簡単に捻り潰されてしまうが、自身の問題意識は見失うなと訴えかけます。若い世代に志の持続を響かせるために、偉人が諭すような表現ではなく、躍動感を持って新たな時代に立ち向かう、吉沢 亮、高良健吾ら若者の姿に託した狙いは、結実したのではないか。
 健全な社会は、ハツラツと取り組む若者の表情に宿ると思えるような、見事な表情でした。

 右:飛鳥山(王子)の青淵文庫(せいえんぶんこ)