2020/07/27

話題に事欠かない──小菅

2020.7.18【東京都】

 東武伊勢崎線の小菅駅は、北千住から荒川を渡った堤防の隣接地にあり、テレビでよく目にする「東京拘置所前から中継です」の最寄駅になります。



 東京拘置所は、保釈時の謝罪や変装した姿を披露する舞台のようで、現在は選挙違反の議員夫婦が世話になっています。刑務所は、判決が確定し刑罰に服する者を収監する施設で、拘置所は、主に未決囚(刑事被告人)を収容する施設ですが、死刑が確定した者は刑が執行されていないため、拘置所に収容されるそうで、ここにも死刑執行施設があるとのこと。
 この地は、江戸幕府将軍の鷹狩休憩所とされた小菅御殿(神奈川にあったのは小杉御殿)跡地になります。
 右は古隅田川緑道で、かつて利根川が東京湾に流れ込んだ時分は本流だったそう。


 大政奉還直後の周辺は、小菅県(足立区、葛飾区、江戸川区、埼玉県、千葉県の一部を含む辺境地をまとめたような地域)とされたそうで、上の小菅神社は、小菅御殿→小菅県庁→東京拘置所の、県庁時代に勧請した伊勢皇大神宮が移転したもの。
 鈴緒が釣り上げられ鈴を鳴らすことができないのは、風が強い場所柄のためか?

 小菅水再生センターには、綾瀬川を挟んで二つの施設があり、上部には小菅東スポーツ公園、小菅西公園(右のフットサル場 等)が整備されます。


 綾瀬川の治水事業は、上手前の綾瀬排水機場(綾瀬川から荒川へ排水)と、奥の白い綾瀬水門(荒川から綾瀬川への流入を防ぐ)のセットに加え、下流で合流する中川や海からの影響を防ぐ、以前紹介した堀切菖蒲水門と連携する大がかりな事業になります。
 荒川が開削される以前の綾瀬川は、現荒川を渡った東武線 堀切駅付近の隅田水門から隅田川に合流していました。現在、下町一帯(山手線の東側:荒川区、台東区、中央区、墨田区、江東区、葛飾区、江戸川区)の治水は荒川が担いますから、周辺河川の治水対策は荒川を基準に行われます。


 上は京成線 荒川橋梁で、古そうなのはいいが線路が低いため、荒川堤防が鉄橋部分だけ低くなっています。1931年(昭和6年)完成後に地盤沈下を受け荒川堤防はかさ上げするも、鉄橋は3.7m低いままです。昨年の台風では数メートルまで水が迫ったようで、並行する綾瀬川側にあふれると、上流側にある上記の綾瀬排水機場は用をなさなくなるため、綾瀬川氾濫の危険が生じます。
 かなり以前から架け替え計画はあるらしいも、橋の建設には時間がかかるので、それまで氾濫がないことを祈るばかりです……


「幻の五輪開幕日」の花火

 これまで考えたくなかったがアンケートでは、五輪開催を難しいと考える人が半数を超えるようになりました(国内および世界のコロナ感染状況を冷静に判断していると)。
 レジェンドとされる馬術の法華津 寛(ほけつ ひろし 79歳:1964年東京〜2012年ロンドン大会の間に3回出場し、東京でも代表入りを目指す)さん(ソフトバンク王さんと同年代)は、「無理な開催をして平和で楽しい五輪のイメージが壊れることは非常に残念です」「組織委員会と政府は、世界のコロナの状況を考え、五輪辞退をIOCに申し入れるべきではないかと思います」と提言します(外資系医薬品会社の社長を務めた方)。
 準備も整い、公共施設もキレイに整備されましたが、日ごと関心は「足元」へ移る様を実感するため、幻の五輪開幕日に各地で打ち上げられた花火は、その無念さから太宰治『冬の花火』を想起してしまいます……

2020/07/20

Go Toの皮算用より引き算を──北千住3

2020.7.11【東京都】

 北千住周辺で停滞しているのは、多く見かける外国人(西洋人)のように、リラックスできる雰囲気が心地いいためで、品はないも好感を持てる町と……


 右は柳原千草園(1989年工場跡地を整備)で、最寄駅の東武線 牛田駅京成線 関屋駅は顔を付き合わせるように並びます。先に開通した東武線には、以前西側に中千住駅(隅田川の船着場や工場引込み線の分岐)がありましたが、廃止後は後発の京成関屋駅開業に対抗して、目の前に牛田駅を設置します。
 江戸時代は関屋の里とされる景勝地で、牛田堤を駆ける馬とともに北斎に描かれましたから、どちらもふさわしい名称のようです。
 南千住と同様、まとまった土地(工場跡地)の再開発では、タワーマンション等が建設され住民は多そう。

 以前も歩いた迷路のように続く柳原商店街には、昭和の商店街の空気が残ります。雰囲気は前回と変わりませんが、路地がいく筋もあるため、以前歩いた場所が見つけられません。次回は、さまよい歩くことを目的に、踏ん張るも寂れゆく商店街迷路の全貌を歩き尽くしてみたいと……

 北千住駅東口は現在も雑然としていますが、2012年東京電機大学東京千住キャンパス開校(神田錦町から移転)のタイミングで整備されます(この日雨宿りさせてもらった)。とは言え、区域外は以前のままで、北千住らしさは健在かと。

 隅田川水運と鉄道陸運の要所が再開発された南千住とは異なり、北千住周辺は旧千住宿を継承する商店街が続くため、以前からの街並みが多く残されます。中でも、立派な建物を維持する銭湯が多く、その象徴的存在といえそうです。右は東口の駅近にある梅の湯
 銭湯に通った者には、町のオアシスとの印象があります。以前暮らした、板橋区の蓮根には2つの銭湯があり、普段は駅前の多少広めの銭湯に行きますが、遅い時間になると、少し狭いがギリギリまで入らせてくれる銭湯に助けてもらいました。そう言えば、田町の銭湯に一度も入らなかったっけ……


 上は、北千住駅前の線路脇に整備された道沿いの飲み屋街の背面。付近に引っ越してきてその晩に飲みに行ったら、そのまま根っこをはやして落ち着きそうな雰囲気があります。以前は手前側(道路部分)にもう一筋横丁があったのではないか?
 きたろーど1010商店街で「宇奈とと」(うな丼チェーン店:大阪の高槻で知ったワンコインうな丼)を見つけ、久しぶりに「うなぎ屋」に入りました(近頃は値段が高くて入れません)。ここも専門店なので、ささやかな「うなぎ屋らしさ」を……


Go To Travelキャンペーンの皮算用より引き算を!

 政府の国民を守ろうとしない姿勢が、クリアに見えてきました。彼らは問題対処の際、どこに予算をバラまけば「ウヤムヤにできるか」と考えるため、全国民が困窮するコロナ禍では逃げ場を見つけられず、手詰まりの状態に見えます。大臣も、国民は周知のネットからコピペしたような答弁では、シラケるばかりです。
 Go To Travelキャンペーンを「実績」としたいらしいが、国民は感染拡大のおそれがある皮算用よりも、感染収束の「引き算」を求めています。
 都民が感染抑止を最優先に! と願う時期に、いまこそと小池都知事が政府を突き上げるのは、相当なめられているためと推測されます……


球音に誘われて……

 2020年夏季東西東京都高等学校野球大会が7月18日に開幕し、江戸川区球場の球音の誘われ足を運ぶも(19日)、無観客試合のため観戦はかないません(そりゃそうだ…)。陸上競技場の外周を駆ける高校陸上部と思われる集団のハツラツとした姿を目にすると、活動させてやりたいと思うし、それは大人の責任に違いないと……

2020/07/13

流れとともに──北千住 2

2020.7.11【東京都】

 近年の梅雨は、豪雨災害の季節となってしまいました。被害に遭われた方々にお見舞い申し上げます。
 東京でも不安定な天候が続くため、出かけるタイミングが難しくネタ不足に……



 風が強いため、傘を差すのに苦労する日が続きます(少し前にスコール)。
 荒川土手の草たちは、もう伸びきっている場所もあり、強風になびく姿は迫力があります。奥手前のクリーム色の鉄橋は東武伊勢崎線の荒川放水路橋梁。複々線化の際(1974年)に同様の橋が架けられ2つ並びます(騒音が名物らしい)。
 結構降りましたが、通り雨が過ぎた河川敷グラウンドでは、野球・サッカーの練習が再開されています(水はけがいいのか?)。


 付近の土手は、ドラマ『3年B組金八先生』のロケ地で、上・右の雰囲気ある東武伊勢崎線 堀切駅も登場したようです(リンク先より)。
 荒川開削(大正期)前は現在より東(現在の川の中)にありましたが、開削にともない線路を含め移動したそう。以前は堀切菖蒲園の最寄駅からこの名が残るようです(現在は荒川対岸)。東武線が京成線より前に建設された。
 川に合わせるため線路のカーブも急ですし、この先に桁下1.7mの陸橋があるのも、経路変更の影響かもしれません。

 駅のすぐ隣には、荒川と隅田川をつなぐ旧綾瀬川の水路があり(右)、流れを制御する隅田水門が荒川の土手に構えます。
 以前の綾瀬川は隅田川と合流していたため、周辺一帯は大雨のたびに洪水を起こした氾濫原と思われ、そんな地が菖蒲の育成に適したことから、堀切菖蒲園が開設されたようです。
 現在、川の周辺に広がる平坦な土地は、南千住にあるJR貨物隅田川駅のように活用されますが、以前は治水に苦労した様子がうかがえます。


間違ったサインとならぬよう

 新規感染者が都市部から全国に広がりつつある中でも、何もしようとしない政府の態度には「これ以上、びた一文出さない」決意が感じられます。政府の「移動自粛の必要はない」との姿勢には、当初とは状況が違うとはいえ、「怖がらなくていいんだ」との、間違ったサインに見える恐れがあります。連日東京の新規感染者200人超の発表に、「だいじょうぶだぁ〜」と感じる国民はいないと思いますが……
 加えて内閣官房長官は、感染再拡大を「東京問題」と言い放ちましたが、連携が必要な非常時の仲間割れのような発言には不信感を覚えます。都民は小池都知事の対応に不満を感じていても、政府の判断にこそ大きな疑問を感じていることと。

2020/07/06

東京は怖いところだから……──北千住

2020.6.27【東京都】

 周辺で見かける外国人に西洋人が多いのは(東洋系の人は一目でわからない)、古いものを好む傾向のためではないか(家賃も安いらしい)。歴史あるものがきちんと主張し続けられる町が、23区内にあることが素晴らしい!



 6月末なので、先日立ち寄った千住神社の「夏越の祓(なごしのはらえ):年越の祓と対となる無病息災を祈る神事」で、もちろん「疫病退散!」を。祈りとともに行動を戒めることで(夜の街に出かけない?)、この国の民は存続してきたのだと。
 神職の方が鳥居のしめ縄に「紙垂(しで):紙の飾り」をつける作業中でしたから、準備を始めたばかりかも。あまり盛り上がらないのかもしれないが、門前の「夏詣(なつもうで)」のぼりは、うまい表現・提案と拍手です!(2014年浅草神社で提唱され、今年で7年目だそう)

 右上は、旧千住郵便局電話事務室(車の通路)で、現在はNTT千住ビルとされます。郵便事業と電信電話を包括していた旧逓信省時代( 昭和4年:1929年)の建造物で、外壁は全て手焼きのレンガだそう。

 旧日光街道は、駅前商店街きたろーど1010:←せんじゅ」を境に、南千住(隅田川)方面は「千住ほんちょう商店街」、北(荒川)方面は「宿場町通り」とされます。
 南側は新しい建物の門口に、以前の木製の看板(商売や屋号)が並びますが、北側には古い建物の商店が現存します(右は衣料品店)。

 右は、吉田絵馬屋門口の柊鰯(ひいらぎいわし)。柊の棘で鬼の目を刺し、鰯の臭気で鬼が近寄らないとされた節分の魔除け。かなり古そうですが、まだ効き目はあるのでは? 長圓寺門前にあるめやみ地蔵の絵馬は、こちらで描かれたそう。
 長圓寺の観音像を説明してくれた地元の年配の方は、「足立区は古いものを壊すことしか考えてない」と憤慨しますが、23区内ではもっとも江戸の風情が残される地域と思われるので、現存のものを可能な限り残してもらいたいと。
 この向かいにある横山家住宅は文化財。

 右は荒川に架かる鉄道橋で、手前から地下鉄千代田線+常磐各停、常磐快速線、つくばエクスプレス(常磐線各停と快速の乗り換えが難解だった記憶があります)。
 江戸時代は千住大橋が、佐倉街道、日光・奥州街道、水戸街道が通る交通の要衝でしたが、現在では北千住が東方面へのターミナル駅となっています。
 奥には東武伊勢崎線の鉄橋があり、半蔵門線が押上(スカイツリー前)駅、日比谷線が北千住駅からの乗り入れ、ゴチャゴチャしているところに、「東武スカイツリーライン」の名称で、利用しない者には理解不能に……(北千住に駅のない京成線が絡むとさらに…)

 北千住を舞台とした曲に、あいみょん『ハルノヒ』(リンク先Youtube。クレヨンしんちゃんの映画主題歌)があることを、帰ってから知りました。飾らない等身大のラブソングの舞台として、文句は無いも華やかさもない街の選択(恋愛にも通じる)は、ふさわしいと感じます(しんちゃんの舞台は東武線の春日部だそう)。
 世代も年代も違いますが、恋愛ソングは心に引っかかってきます……

 右はずっと川を眺める若い女性たち。「どんな未来が こちらを覗いてるかな」(ハルノヒ)が似合いそうですが、「これ、おいしいねぇ〜」「また食べたい!」ってところかも。


東京は怖いところだから…

 大都会のオアシスなのでしょうか、自粛解除と同時に夜の街へ繰り出した若者たちの間に、あっという間に感染が拡大したように見えます。そんな当事者を除く都民・国民が恐れていた悪夢が、現実となりそうな気配です。
 ようやくディズニーランドも再開しましたが、「東京土産の持ち帰り」「迷惑な持ち込み」も全国に広がっているようで、「東京は怖いところだから、行っちゃならねぇ」の、地方側の自衛策は理解できます。さらに「東京もんに近づくな:東京差別」の状況となったら、地方出身者には四面楚歌の状況となってしまいます……