2009/06/08

人・物・鳥のスクランブル地帯──大井ふ頭周辺

2009.6.4
【東京都】

 城南島海浜公園(Map)

 公園を歩いていると「パン、パン」という音が盛んに響いてきます。
 工場の音かと思いきや、運河の向かい側にある羽田空港で、鳥を追い払うための威嚇音だったようです。
 先日も海外で、エンジンに鳥が吸い込まれて大変なことがありましたし、鳥害防止は空港運用上の重要事項になります。
 水辺にある空港ですから水鳥も多くいますし、近くの野鳥公園では鳥の生息域を確保して、観察のできる環境を整備しています。
 その一方で、飛行ルートからは排除させたいわけですから、かなり大変な取り組みだと思われます。

 ここは埋め立てられた島の、東京湾側と羽田空港側の海に面した一画を整備した公園で、人工の砂浜やバーベキュー施設などがあります。
 テトラポッド等が無いので、海がとても近い印象はあるのですが、そこにあるのは東京湾なんですよね……
 羽田空港等の夜景がキレイなのかも知れません。

 下写真奧の建物は航路標識で、船に信号を送る施設です。この「F」表示は航行制限無しのサインになります。


 JR大森駅からのバスを利用しましたが、第一京浜(箱根駅伝で走る道)から海側の広い道路は、何を運んでいるか分かりませんが、コンテナを牽引した大型トレーラーの交通量が非常に多い一帯になっています。
 これまで、臨海地域の奧まで立ち入ったことはなかったのですが、中央防波堤埋立地(現在のゴミ埋め立て地)へ続く道(海底トンネル)がある島、という関心から足を運びました。
 もちろん通行できませんし渡れないので眺めるだけなのですが、天気のせいかぼんやりとしか見えませんでした。
 ──お台場からバス路線があること、これを書いているときに知りました。残念……


 東京港野鳥公園(Map)

 近くでじっとしてくれたのはサギだけでした。警戒心はそれほど強くないのだろうか?
 鳥の名前も知らず、特に野鳥が好きでもないのに、野鳥観察公園によく足を運ぶのは、必要最低限の手入れしかされない自然環境に、接することができるからだと思います。
 ですが、観察小屋は目立たないように草むらなどの暗い場所にありますから、夢中になってファインダーをのぞいていると、靴下の上からも虫に刺されたりします。
 マイ双眼鏡をぶら下げ、結構気合いの入ったいでたちの親子(父と息子)が、かなり落胆したように「カワセミなんかいないじゃないか!」と吐き捨てて、ネイチャーセンター(観察・学習施設)を出ていきました。
 東京近郊でもカワセミが見られるようになったとはいえ、簡単に出会えないからこそ、出会えたときの喜びが大きいと思うのですが、それじゃダメなの?


 この公園は、大田市場(東京都中央卸売市場の一つで、青果物、水産物、花卉(かき)を扱います)に隣接した場所にあります。
 ──大田市場の各建物の屋根には、鯛、ぶどう、竹の子、カブ(花もあるそう)等のシンボルが飾られています。

 と言いますか、前回訪問時は公園を主体に考えていたので気がつかなかったのですが、地図を見ると、市場や倉庫などに使われずに余った土地を、公園に仕立て上げた様子が見て取れます。
 工場等を誘致する地区に作られた、都民のご機嫌取りのような施設で、恵まれた条件ではないにせよ、このような環境・施設を実現させた活動に対しては、声援を送るべきですよね。


 下写真は、月周回衛星「かぐや」の映像ではなく(間もなく役目を終え月面に墜落するそうです)、潮の引いた水辺に現れたハゼの住みかだそうです。
 ガキのころ、金沢八景(横浜)のハゼ釣り大会で、初心者でもバンバン釣れた記憶があって(天ぷらにして食べました)、ハゼを小馬鹿にし過ぎているのではないか、という自戒の気持ちがあります。
 ここで初めて接した子どもたちがどんな印象を持つのか、ちょっと聞いてみたい気がします。


 この野鳥公園や大井ふ頭のある人工島には島の名称が無いようです。
 ですが埋め立て地名というものがあって、その名は「大井ふ頭その1」。隣接する城南島の埋め立て地名は「大井ふ頭その2」なんだそうです。
 そういえば、お台場のある13号埋め立て地にも島の名称はありませんよね?
 間もなく始まるらしい、「その1」と「その2」の間にある運河を埋め立てる工事が終了後に、新しい名称がつくのかも知れません。
 ということはやはり、東京湾をズズーッと埋め立てる計画があるように受け止められます。
 確かに、江戸時代から海に向かって生活域を広げてきたわけで、江戸開府前の古地図を見ると、江戸城(現皇居)辺りまで海だったことに驚いたりします。
 これまでは、海に向かって攻めていきましたが、これからの温暖化の時代(?)には、海水面が攻めてくることを考慮した埋め立て計画が、必要になるのかも知れません……


 東京貨物ターミナル駅(Map)

 上記大田市場の建物の地下から一本の線路が地上に現れ(川崎の臨海部までトンネルで続くらしい)、反対側にあるJRF(日本貨物鉄道)の敷地内へと続いていきます。
 この先には貨物用の車両基地があるのか? と向かってみると……


 この付近には「東京貨物ターミナル駅」という名前の駅があるんだそうです。
 敷地が広すぎてどこに何があるのか不明ですが、周囲には運送会社やさまざまな企業の大きな倉庫がありますし、東京湾側に面した岸壁は大井ふ頭になるので、数多くのブラックボックス(コンテナ)がここにたどり着き、運び出されているようです。
 この一帯が、東京における物流の一大拠点であることを、今回初めて認識しました(用事のない人は立ち入らない場所だと思われます)。
 ここでの光景もやはり、何を運んでいるのか中身は分かりませんが、わたしたちの生活に必要と思われるモノが、列をなした大型トレーラーで運ばれていくものになります。
 積み荷に危険なモノはないにしても、近ごろ事故のニュースをよく目にするので、運転には気をつけてくださいね。

 隣接して新幹線の車両基地があるのですが、その付近だけフェンスで目隠しされており、近くからの写真は撮れませんでした。
 陸橋の上から何か投げ込まれて、トラブルの原因になっても困るので、仕方ないですよね……


 鈴ヶ森刑場跡(Map)


 江戸時代(1651年)に開設された刑場で、旧東海道沿いの江戸の入り口とされる場所になります。
 第三代将軍徳川家光の政策によって、職にあぶれた浪人たちの犯罪が増えてしまったので、見せしめのために街道筋に開設されたそうです。
 処刑された人物には、丸橋忠弥(由井正雪と共謀し幕府転覆を謀った)、平井権八(演劇等では白井権八:金品目的の辻斬り)、八百屋お七(放火未遂)等がいるそうです。
 権八やお七などは、浄瑠璃や歌舞伎などの題材に取り上げられたおかげで、広く知られているそうです。
 わたしは詳しくはないのですが、白井権八(劇中名)からは幡随院長兵衛(ばんずいいんちょうべえ:侠客の元祖らしい。歌舞伎の場面で、権八を「お若けぇの、お待ちなせいやし」と呼び止めるセリフが有名だそうです)を連想する記憶を、どこかでインプットされたようです。
 大学時代バイト先で、そちらっぽい家庭に育った社員の方に「お前、バンズインチョーベエ知らないの?」と言われたのがとても印象に残っているのと、映画『泪橋』(あまりオススメではない)の印象がミックスされたのか?
 鈴ヶ森の刑場へ送られる罪人を見送った(立ち会う)のが「立会川」とされ、この世のなごりに振り返ったのが「涙橋」(濱川橋)とされるイメージは、なぜだか強烈に残っています。

 上写真の左の石には、丸橋忠弥が磔(はりつけ:こんな漢字使わないから読めない)された柱が、右にはお七が火炙り(ひあぶり)された柱が、それぞれ立てられたそうです(文字を打っていても怖くなる文字列です)。


 しながわ水族館(Map)


 規模は大きくありませんが、近所の方が散歩がてらに立ち寄れるような気軽な印象があります。
 イルカやアシカのショーもあり、突然予想もしていない方向から水しぶきを浴びた子どもが泣き出すような、親近感が持てる(?)サイズの施設です。

 この日目についたのがベビーカーを押した母子連れで、そんな赤ちゃんを連れてきても分からないんじゃないの? とも思ったのですが、お母さんのリフレッシュ、と割り切ればすんなりと理解できる気がしました。
 上写真はゴマフアザラシで、顔は左下側になります。

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