2009/11/23

冬支度前の楽しみ──昭和記念公園

2009.11.15
【東京都】

 この日のような暖かい陽気には、紅葉を楽しみながらも、気持ちでは冬支度を始める、そんなふうに季節感を楽めたらと思うのですが、いきなり寒い日がやって来たりします。
 「冬支度前」なんて書きましたが、最高気温が10℃以下という日もありましたから、もう寒い季節の扉は開かれているようです……


 昭和記念公園(立川)(Map)

 植物等の季節感が欲しくなった時には、この公園を頼ってしまうところがあります。
 所要時間も1時間程度で、四季を演出するための整備もキッチリ行き届いていますし、何といっても広々としているので、近場でリフレッシュするにはいい場所です。
 普段は入園料400円(ちょっと高い)ですが、この日は「天皇即位20周年」のお祝いのようで、無料開放されていました。
 現在は平成の時代なのにと思いつつも(この公園は昭和天皇の即位50年を記念して作られました)、素直に喜んで入らせてもらいました。

 今日の主題は、イチョウ並木だったんですが、もう葉が散っている……


 地面が黄色いので、葉がかなり散っていることが分かると思います。
 右写真の右側が西の方角になりますが、西側の並木はもう散っている状況だったので、両側に葉が残る場所を探すのは難しい状況でした。
 そのくせ、まだ緑の葉も残っているのですから、タイミングを狙うにしても難しそうです。

 天気も良かったので、モデル連れの写真撮影が行われていました(篠山紀信の屋外撮影でないのは残念?)。
 人出の多い中では関心を集めますし、男性としてはモデルの容姿に視線が向くわけで、アベックで来ていた彼が「趣味じゃないなぁ」と彼女につぶやく声も聞こえました。
 3〜4人いましたが、1人だけ可愛い娘がいました。事務所の戦略ですね……


 トイレの洗面台に「ここでギンナンを洗わないでください。排水が詰まってしまいます」の張り紙がありました。
 地面に落ちた実のニオイは強烈ですが、おいしいですよね。
 食べたくなってきました……

 イチョウの木は雌雄が別株であるところから、ギンナンの悪臭対策として雄株だけを植える研究がされていますが、種から育てると雌雄判明まで十数年もかかってしまうそうです。
 その対応策として、雌雄不明の若い株に雄の木を接木したものを植えているのだそうです。
 ってことは、将来街路樹下でのギンナン拾いができなくなるってことになります。
 まあ、町中では仕方ないところでしょうか……


 お母さんまで髪を振り乱して、バウンドしています。
 ここは「雲の海(ふわふわドーム)」とされる、巨大なトランポリンのような施設です。
 子どもが好きそうな施設に違いないのですが、みんな飽きることなく「Jump !」しています。
 きっと「ほこりセンサー」(そんなものがあれば)等で計測すると、もの凄い状況に思えますし、マスクしながら飛んでる子もいませんから、遊んだらちゃんとうがいをしようね……

 付近には、子どもたちがはしゃぎ回れる施設が集中しています。
 「霧の森」(人工的に霧を発生させる施設)や「虹のハンモック」(クモの巣のように張られたネット)等がありますが、公園の設計が見事なのは、周囲を森で囲んでいるので外周道路等、他の施設から見えないように目隠しをしていることです。
 子どもたちがどんなに大声で騒いでも、文句をいわれない防音効果となっています。
 また、森のすき間から聞こえる子どもたちの歓声は、シェイクスピアの『夏の夜の夢』等に描かれた、森の妖精たちの声を想起したりします。
 森を抜けて、声の主をたどっていくと、子どもたちはみんな怪獣だったりしますが……

 ガキの遊び場と、大人が楽しめる空間をキッチリと分けているのは見事と思いますが、それは広さがあるからできるのでしょうね。

 多様な植物が植えられている園内でも、晩秋の季節感は十分感じられますが、日本庭園ではかえでやもみじが見られます。
 ここ立川は郊外ですし、都内では寒い地域になりますが、もう十分な見頃と言えます。

 訪問の前日には、かなり雨が降ったこともありますが、道を外れて木々の下を歩くと、落ち葉に含まれた水分が「グジュグジュ」音を立てています。
 この公園も、落ち葉をちゃんと集めて土に戻すことにより、動植物が生息しやすい腐葉土作りを目指しているようです。
 まあ、これだけ来場者が多いのでは難しいかも知れませんが、将来はカブトムシやクワガタなどが暮らせるようになれば、しめたものと思いますが(目指していたりするかも……)。


 海外の方も多く訪れていましたが、中国・韓国からと思われる方も多かったようです。
 調べたところでは、韓国には紅葉狩りという習慣があるそうですが、中国は広いですから地域が限られるようです(中国では、大陸・乾燥気候により、紅葉の発色が良くない場所もあるそう)。
 それを踏まえると、平安時代から京都の上流階級でもてはやされた、紅葉を楽しもうとする造園の趣向は、韓国の影響を受けていたと言えるかも知れません。
 確かに、韓国の映画(韓流と言われる以前のもの)を見ていて、感性や情の厚さなど、根っこが近しい民族ではないか? と思ったことがあります。
 それにしても、気性は大きく違う気がします。
 歴史的にも、大国に脅かされ続ける地理的条件に置かれた国と、のほほんと海に浮かんでいる「ひょっこりひょうたん島」のような国では、社会を支配する気分というものが、まるっきり違うことは容易に推察されます……

 近ごろ、ススキを撮りたいと思っているのですが、あまりいい絵になりそうな景色に出会えません。
 ガキの時分には、そこら中にススキが生えていて、そんな場所で遊ぶもんだから、ススキの穂まみれになって家に帰りしかられた記憶もあります(葉で指をよく切った覚えも……)。
 いまどきは、河川敷などの水辺でしか見られなくなった印象があります。
 そこでも、葉は似ていてもススキでない(外来種か?)勢力の方が強そうに感じられたりします。

 今ごろ琵琶湖近くの西の湖辺りの水辺は、一面がススキに覆われているのではないかと、想像したりしています。
 そう考えるとやはり東京周辺では、昔ながらの景色は年を追うごと失われていることに、気付かされます……

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