2012/07/30

経済の中心地、再生の季節──東京駅周辺

2012.7.22【東京都】──「山手線を歩く! 28」


 経済の中心地である大手町に林立するビル群は、老朽化から時を同じく立て替え工事が行われていて、これまでよりはるかに巨大なビル群が建設される様子は迫力があるも、「借り手はどれだけいるの?」と思ってしまいます。


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 徳川家康が江戸城に入った当時の江戸城は海に面しており、下写真の「ランナー増えすぎ」が取り上げられるお堀付近は海でした。
 現在のJR東京・有楽町駅付近は「江戸前島」という砂州のように砂れきが堆積した海岸で、漁師の船小屋がある様な場所でした。
 そんな場所の天下普請(てんかぶしん:幕府が大名に命令し行わせた土木工事)を命じられた大名は、同時に自分たちの屋敷を作るため自主的に日比谷入江(お堀外側の大手町から日比谷公園方面にかけて)を埋め立て大名屋敷を造ります。
 その結果江戸城正門の大手門前には、自分たちで海を埋め立てた譜代(ふだい)大名(徳川家と懇意、仕えて認められた大名)の屋敷が建ち並び立ぶようになり、それこそ「家康の思うつぼ」の都市整備が実現します。


皇居東御苑(Map)


 ここが江戸城跡で、本丸、大奥、松の廊下等がありました。
 上写真は天守跡の石垣で、天守は3度築かれますがすべて焼失します。
 4度目の建設計画に「城の守りに必要ではない」と却下され、名実ともに天下太平の世とされたようです(1657年)。
 江戸時代の始まりは1603年なので、50年程度の時間を要しました。


 ここは「エドジョー」天守跡Topにあるベンチで、海外からの観光客が占領する様子には「城はないのか?」という、落胆の表情がうかがえます。
 外国人労働者の多い六本木とは違い、グループ単位(団体ではなく家族・友人の集団)の小波が途切れなく押し寄せるような、明治神宮に似た観光スポットで、洋の東西を問わず、外国人の密度が高い印象を受けました。
 日曜の訪問場所が限定されるのならば、そこに新らしい提案ができればビジネスチャンスが見つかるかも知れません……


お堀端(Map)

 近ごろ「皇居周回ランナー」のマナー悪さというか、人が増えすぎた弊害についてよく取り上げられます(右は人の少ない日曜の様子)。
 皇居前広場には道幅の広い区間があるも(反時計回りがルール)、大手門〜千鳥ヶ淵間は一般的な歩道幅なので、ランナーが次々と横を走っていく状況には、歩きにくさを感じます。
 周回コースなので決まったスタート地点はないも、人気があるのは「竹橋トイレ付近」「半蔵門・東京FM前」「桜田門前広場」だそう。
 前の2つの近くには人気の「ランニングの駅:ロッカー、シャワー施設完備」があるようで、最後にはアシックス提供の「時計台」があるらしく、ランナー向けの環境が整えられているようです。
 近隣のホテルには「ランニングプラン」があるそうですが、泊まりがけで走るの?(でも中毒の人はいるようです)。

 都市部の歩道では歩行者の迷惑になるため、道幅が一定で幅広い歩道の整備された「神宮外苑周回コース」が誘致に名乗りを上げています。
 もともとスポーツ施設の多い地ですから、ランナー向けのサービスアピールなのでしょう(夜はちょっと暗そうなイメージがある)。

 ブームの火付け役が東京マラソンでは、しばらく続きそうな気がします。


大手町・丸の内(Map)

 ここは2012年5月にリニューアルオープンしたパレスホテルです。
 立地のいい住所は「丸の内1-1-1」で、以前あったホテルは戦後に接収されますが、1961年に建て替えられ「パレスホテル」が開業します(もっと古いと思っていました)。
 地域の再開発では後発なのに50年未満での建て替えは早い気がしますが、ホテルでは仕方ないのか?

 明治政府は付近の武家地処分後に確保した広大な敷地に、当時の内務省、大蔵省、文部省、大蔵省印刷局を建設します(軍施設を含む)。
 後年、関東大震災後の土地区画整理事業により、最初の「ビルヂング:付近にはこの名称が多く残る」が建設されます。
 戦後占領の解除から、分散していた中央官庁が霞ヶ関に統合され、付近の遊休国有地が払い下げられ(1952年以降)、日本開発銀行、日本長期信用銀行、読売新聞、日本経済新聞、経団連会館、農協ビルなどが建設されます。
 現在の状況からすると、建設から60年というのがビル立て替えの目安とされるようです。


 いまも健在の「大手町ビルヂング」地下飲食店街の、ビジネス街らしい「オヤジ向けランチ:豚汁定食など」が好きなので、建て替え後に「トラットリア オープン!」とされたら、お父さんたちはどうするのか? と心配です。
 オシャレを気取っても、突出した特徴・魅力がなければ埋もれてしまいますから、地道なオヤジ相手の商売の方が、爆発的な人気は無いも安定した商売になる土地柄と思います。

 オフィスビルと住居では違うとしても、現在のアパートは1966年建設ですから、あと10年程度? の見当は、大きく外れていない気がします。
 上写真は丸ビル35階展望フロアのビルしか見えない展望。


東京駅(Map)

 東京駅丸の内駅舎改修工事は継続中で、現在内装の仕上げ段階のようです(創建1914年:大正3年。戦災で焼失した部分が復元される)。
 きれいな外観を目にする機会が増えたのは、覆いが外されただけで完了予定は2012年10月だそうです。
 工事担当の鹿島建設(株)ホームページの、図面で「工事前は2階建て」、写真で「南北のドームが無い」様子がよく分かります。
 「工事前も内側からはドーム状に見えた」印象が、「そうだったんだ……」と認識の低さを思い知らされました。
 駅舎奧のクレーンは、反対の八重洲口側の工事で使われていて、完了にはまだ数年かかるようです。

 東京ステーションホテルは1915年、築地精養軒(開業は築地だが関東大震災で全焼後は、現在の上野静養軒)が開業しますが、現在はJR東日本系列のホテルが運営します。
 復元された3階部分はホテルのゲストラウンジとなるようで、是非一度! と思う施設です。

 この建物の設計者辰野金吾は、「鹿鳴館」「ニコライ堂」設計者ジョサイア・コンドルの教え子で、この建物着手前に現存の「日本銀行本店」などを建てています。

 完成時にはさまざまなメディアで紹介されるでしょうが、丸一日かけてでも歩ける場所はくまなく歩きたい、関心が高まってきました……


追記──夜間の熱中症対策

 猛暑が続き、ニュースでよく目にする「最上階の暑さ」を実感しています。
 鉄筋でも古い建物では断熱対策がされていないため、最上階(屋上の下)では夜間でも熱が残る、とのレポートは「その通り!」で、いつまでたっても暑さがなくなりません。
 以前暮らした、5階建ての5階は築10年程度のためか気にならなかったが(MAXでも30℃程度)、現在の10階建ての10階では、帰宅後の温度計は32〜4℃を示しています。
 上層階は眺望がいいとされるも、目の前はビルですし、共益費(エレベーター費用など)も高いことに加え、階下より光熱費も高いのでは「外れクジ」を引かされたような気分で、猛暑の夏を過ごしています……

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