2013/11/04

染みついた記憶──西新宿五丁目〜中野坂上

2013.10.27【東京都】──大江戸線を歩く_20


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十二社(じゅうにそう)池(弁天池)跡地周辺(Map)

 現在、新宿駅西口から山手通りまでの一帯は西新宿とされますが、いまも旧町名「角筈:つのはず」の名称を見かけます(歌舞伎町も含まれ、郊外とされた地域か)。
 1898年(明治31年)淀橋浄水場完成(東京の近代水道発祥地)から住宅が建ち始め、関東大震災(1923年)で下町を焼け出され、山の手郊外に土地を求める人が増えます。

 両親双方の祖父母とも東京への流入組で、それぞれ親類が深川や向島の下町にいたことを思い出すと、震災の教訓から世田谷や中野(どちらも当時はど田舎)の地を選んだ時代背景が、おぼろげに浮かぶような気がします。
 右は旧角筈町の面影を残す町から見た高層ビル。

 前回歩く予定が甲州街道方面の誘惑により、足を運べなかった地区のフォローです。

 このホテルはアラーキーが撮影に使用したとされ、本能的欲求をあるがままに受け入れてくれる施設だったようです(2000年閉鎖)。
 この階段には、男女がさまざまな決断をしたであろう生々しさが、いまも残るような印象があります。
 下の階段上から見下ろす奧には、水辺こそがふさわしく(井の頭公園を想起する)、心中でなくてもある種の「覚悟」を持たねば進めない、いばらの道へと続く階段だったようにも思えます。
 結論はいかようでも、この地に染みついた記憶は、墓場まで連れて行く類のもののように感じられます……


 近ごろ、わざとボロ家のレトロ感を演出する店を目にしますが、付近には年季の入った店が健在です。
 歌舞伎町やゴールデン街とルーツは同じようで、楽しく飲めればいい、店を目指したようです。
 繁華街からはみ出した場末でほそぼそと続く店には、それぞれにあじや個性の魅力はありそうでも、なじみになるとやっかいな「ベタベタ感」がまとわりつきそうです。
 だから、ドライな隠れ家的な店が受けたのか?


山手通りの換気塔(地下を通る首都高速の施設)(Map)

 地下を通る首都高速中央環状線の整備により、とても見通しの明るくなった山手通りですが、所々に換気施設の高い換気塔が点在します。
 ここでは、建造物のある場所に換気塔をぶつけてきたように見え、目の前にこんなモノ作られたら困ってしまう。
 でも逆に考えてみて、土地や税金が安いであろう場所の格安マンションは、人気があったりするのだろうか?
 不動産屋が「風向きによっては多少影響があるかも」としたら、「オススメではない」と理解すべきです……
 右は、曲線状の外壁に沿う非常階段。
 ドラマか何かで目にした気がする、舞台装置としてはとてもスリリングな階段です。
 屋根もなければ、支える柱も無いので(それが売りでしょう)、サスペンスの逃亡シーンには向いていても、銃撃シーンでは狙い撃ちされそう。

 高所でも大丈夫だった大井川の吊り橋には、身近に何とかひっかりそうなネットやロープがありましたが、ここは無理。だって、手すりの下は地面ですから……


成願寺(じょうがんじ)(Map)


 中野坂上に向かう坂の途中に、境内の石像に暖かみが感じられるお寺があります。
 ここは曹洞宗(永平寺を開いた道元による座禅を主とする教え)のお寺で、道元のように「座禅をしていきませんか?」と招き入れる姿勢が、地域の人に受け入れられたのではあるまいか。
 台風一過の日曜日なので。昨日来られなかった方、お墓の掃除に来た等、パラパラながらもお墓参りの方が途切れない様子に、足を運びやすい寺という印象を受けます。

 「中野長者」と語られる紀州出身の商人が若くして娘を失い、大雄山最乗寺(神奈川県足柄)での修行により開いた寺という経緯からも、地域のためにとの願いがあったように感じます。


中野坂上(Map)

 近ごろ再開発が盛んな中野坂上には、高層オフィスビルが4〜5棟建ち並びます。
 これまでも、地下鉄丸ノ内線の荻窪方面(本線)と方南町方面(支線)の分岐駅でしたが、都営大江戸線の乗り入れと首都高速の開通がトリガーだったようです。
 ですが、地下鉄はどちらも新宿経由が必要な袋小路なので、便の良さを感じる人は限られるようにも。
 物流は山手通りと青梅街道の交点で、首都高速の出入口至近はメリットでも、渋滞の常習地区という気がします。

 右の鉄骨は汐留の日本テレビに似た印象があります。
 よく見なければ違いが分からないほど類似しても、ウケのいいデザインのようです……


 追記──心震えた! 日本シリーズ

 楽天 vs 巨人というより、星野 vs 巨人という構図や、原監督無念の退陣の際に星野監督の胸で涙した間柄などが思い出され、近ごろ珍しく「どちらの監督も応援したい」(でも、どっちのオーナーも嫌い)お祭り気分で日本シリーズを楽しみました。

 強い巨人を敵役に仕立てた今回のシリーズでは、判官びいきで楽天を応援するも、コテンコテンにやられると思う人が多かったのではあるまいか?
 星野監督が好きそうな則本の第一戦登板は、抑え投手が不安なシリーズ後半で抑え起用のためとは「勝ちたいんや!」だけではダメだった教訓からの采配のようです。
 不敗神話が断たれても連投を直訴するマー君は、沢村賞を受けた上、稲尾という伝説に挑むようにも映りますが、「勝利に貢献したい」志願をくんでくれるのは星野監督以外にいないという「出会い」が、最高のフィナーレを演出します!

 久しぶりに毎試合見た「これぞ日本シリーズ!」に興奮し、感動させてもらいました!

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