2013/04/15

都市生活を下支えする──昭和島、京浜島

2013.3.16【東京都】──「ベイエリアウォーク 26」


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昭和島(Map)

 東京モノレール誕生は1964年東京オリンピックの年で、以来バスやタクシーをのぞく羽田空港へのアクセスを独占しました。
 空港拡張工事により、1993年ビッグバード(現在の国内線旅客ターミナル)がオープンすると、1998年に京浜急行線が乗り入れてきます。
 市場独占企業は競争に弱いとの通説通り(?)、2002年JR東日本傘下とされます。
 その成果なのでしょう、2007年昭和島駅に追い越し可能な待避線が完成し(乗り換え可能な施設でも通過していく)「快速」の運行でスピードという武器を手にします。
 ライバル京急もスピードを意識するあまり、「蒲田飛ばし:京急蒲田駅通過」のダイヤ改正では、地元大田区にこっぴどくたたかれました(現在停車本数は増加中)。


 現在羽田空港の利用者は空港 or 区間快速に乗るため(各停は3本に1本と少ない)、通過駅に目は向かないかも知れませんが、各駅停車だけの時代には「車両基地のある駅」程度の認識を持っていました。
 駅に隣接する引き込み線で目にした軌道分岐の記憶には、見慣れない遊園地の乗り物のような新鮮さがありました。
 一般鉄道のポイントに赤信号で進入すると、進路をふさいだ線路に「乗り上げ」ますが、ここでは「落ちる底」が迫るだけに、ストッパーの有無にかかわらず事故率は低そうに思えます。
 ヘビのような切り替え動作から(リンク動画で通過待ちと乗務員交代の様子が分かる)竹製のへびおもちゃの動きを想起するも、これって通じるだろうか?


 これまでスピードが速いと感じるのは、見下ろす景色とゴムタイヤの振動のせいと思っていましたが、最高時速100kmと聞き驚きました。
 どこでも目いっぱい走ろうとする京急線の同区間最高時速は110kmとされるので、モノレールの速さは本物のようです(踏切が無いので、運転手の脇見が多い気がします)。

 駅を認識しても、旅行に向かうウキウキ気分の目には「この駅に降りることはないだろう」と映った昭和島周辺を歩きました。が……


 駅では盛り上がったものの、この埋立島には羽田鉄工団地(中小鉄工所の集まり)と下水処理場しかなく、どちらも中をのぞけません。

 森ヶ崎水再生センターは日本最大規模とされ、大田・品川・目黒・世田谷・渋谷・杉並区など、23区面積の約4分の1に当たる地域の下水を処理しています。
 上は処理水の放流口に海鳥が群がる様子で、魚のエサが発生する→魚が集まる→鳥が群がるの連鎖と考えると、処理施設の放流水に理由があるのでしょう。
 放流水の温度が高ければ、プランクトンが局地的に繁殖する状況は説明できますが、妙な物質は流れ出ていませんよね?
 処理で生じたスラッジ(汚泥)は、城南島の南部スラッジプラントへ運ばれると知り、ここも放射線の影響があったと想像されます。


京浜島(Map)

 羽田空港の新・旧管制塔が重なる絵はここでしか撮れないと思ったものの、これでは輪郭が分からないと反省。
 手前の旧管制塔は1993年ビッグバードと同時に稼働しますが、2001年再拡張計画(D滑走路建設)において、滑走路全域を見渡す新管制塔が必要とされました。
 2010年新管制塔に業務が移され、実稼働17年程度で「遺産」となります(現在のバックアップ機能も大切です)。
 空港庁舎と一体化した旧施設には「練られたデザイン性」を感じますが、新管制塔には「高さだけが要件」の印象があります。
 116mの高さは世界で3番目、国内では最高層。


 京浜島北部には、大田清掃工場、不燃ごみ処理センターなどの施設があるため、周辺には産業廃棄物処理業者が並びます(上はクレーン車の駐車場)。
 人けや騒音は無いも工場は稼働しているようで、搬入待ちトラック運転手のうんざりした様子から、待ち時間の長さがうかがえます。

 羽田空港に近い場所柄、送迎付きの駐車場は人気があるようで、3〜4階建て立体駐車場への出入りをポチポチ見かけます。

 ここは工場島なのに2名の住民登録があるらしいが、郵便局だけでコンビニも無さそうな島は、生活の場という環境には思えません(登録だけか?)。


 前回城南島から撮った羽田空港進入灯の別アングルで、撮るモノが無く困った写真。
 ここには飛行機見学用のテラスもありますが、この日は風の影響かこちら側から離陸するため、はるか手前で空に上がってしまい迫力が感じられません。
 それでもパラパラと人出があるので、隠れた名所のようです。
 島内は立ち入り禁止の場所が多いのですが、海から臨めればいい絵が撮れそうな「レジャーボート造船所」などがあったりします。


追記──アウンサンスーチーさんの輝き

 先日訪日した彼女の姿に「うわっ、キレイな人:アジアンビューティ」と改めて驚きました。苦労されてきた方ですから、その輝きは内面から放たれるのでしょう(吉永小百合さんと同年代)。
 国際社会から民主化の進展が認められるようになったミャンマーですが、まだ山積する課題を平和的に改善しようとする彼女の視線は、軍政に後戻り不可能な「民主化の成果を示すこと」を見据えています。
 民衆の期待が彼女を奮い立たせ、その力を自分の活力に取り込むことから輝きが生まれるのでしょう。
 ミャンマーという国に関心が持てるようになったのも彼女の力によりますし、市街地に並ぶ金色に輝く寺院を、一度目にしたいと感じさせられます……

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