2015/01/12

住民自慢の森──井の頭公園

2014.12.27【東京都】──「神田川を歩く_1」

 若い時分、井の頭(いのかしら:学生時代地方出身の同級生に読めないと言われた記憶が残ります)公園にはあこがれ的なイメージがありましたが、ようやく周辺環境・地域文化アピールの場であると、理解できるようになりました。




井の頭自然文化園

 入園の際「アジアゾウ『はな子』の公開は15時で終了します」の案内は、高齢による健康を気遣うためですが、エサを口まで運べてないように見えました。
 思い入れのある方は、早めに会いに行かれますよう(2月1日「はな子68歳のお祝い会」があります)。
 1947年タイ生まれ。49年に戦後初めて来日したゾウで、戦争中に餓死させられたゾウ「花子」の名前を継ぎ、現在日本では最長寿とのこと。
 右は室内(頑丈な鉄格子の中)にいる、はな子の耳。

 元は井の頭御殿山御料地(皇室財産)で、1905年(明治38年)渋沢栄一が東京市養育院感化部(非行少年収容施設)を開設し、その跡地に設置された「中之島小動物園」が、井の頭自然文化園のルーツになります(その経緯から一帯は恩賜(おんし:天皇から賜った)公園とされる)。
 青少年教育を目指す取り組みが、地域の進むべき道を示した好例と言えそうです。

 右は「リスの小径:檻の中を歩ける施設」で、それぞれの動物たちとのふさわしい接し方が用意できれば、パンダがいなくても楽しめるはず、と……


 動物園とせず文化園とするのは、一画の彫刻園に北村西望(せいぼう:長崎平和祈念像の作者)の展示館と旧アトリエがあるためのようです。
 公園の土地を借り建設したアトリエで、5年かけて長崎平和祈念像を製作したそう。
 彼の作品には独特の暖かみが感じられるので、初見の飛鳥山公園平和の女神像でも、あの作者と「ピンッ!」と伝わってきました。
 アトリエには上のような、切り出した板を鎹(かすがい)で止めた、板の貼り絵(?)が並んでいますが、大作製作の合間に作られたものか?
 これまで見過ごしたため初めてですが、動物園よりこちらのファンに……


井の頭恩賜公園

 様々な公園を歩いてみると、人工的に整備された施設と、可能な限り手を加えない「ありがたさ」を感じる公園の違いが、見えてくる気がします。
 付近にあるジブリ美術館の冠「三鷹の森」は、この公園そのものですから、地域住民の自慢に違いありません。
 武蔵野地区屈指の繁華街吉祥寺近くに、これだけの森と公園施設が維持されていれば、住みたい町ランキングで人気が高いことも納得ですし、町づくりの方針が正しかったと言えそうです(武蔵野市・三鷹市にまたがる)。
 歩くたび新たな魅力に出会える印象は、水辺が映す季節感によるものか……


 ここからようやく本題「神田川」のスタートです。
 上は源泉のひとつとされる「お茶の水」で、この水で徳川家康が茶を点てたことから、3代将軍家光が「井の頭」と命名したらしい。
 しかし現状は「目の前のマンション建設で水脈が枯れてしまい、以来水道水を流してる」と、そのレクチャーが日課のような近所のオヤジが解説してくれます。
 池を横断する橋は「七井橋(なないばし:下)」とされるように、以前は複数あったわき水も現在ほとんど涸れてしまい、池の水は井戸水で補給しているとのこと。
 環境回復は無理でも、わき水も地下水ですから現状で可能な手当はできているとも……


 2014年1月に、池の水を抜いて底を天日干しする「かいぼり」が行なわれ、期待にたがわぬ大モノが続々あげられたそうです(自転車ばかりかオートバイも…)。
 花見の季節にはたががゆるみ、花見名所では気持ちも満開になりがちですが、無礼講(何をやっても許される)ではないことを肝に銘じましょうね!

 以前、七井橋の中央部は階段でしたが、バリアフリー化により外観も変わりました。


駅前バス通り


 東京の西側で生活する者は、駅前の狭い道で「こんな道をバスが通るのか」の様を、「吉祥寺みたい!」と表現しますよね? 上は、その光景は変わらないという絵。
 道幅は狭くないが人が多いため、誘導員が人の流れを制御する必要があります。
 これは悪口ではなく、バスと歩行者がお互いを尊重し、折り合いを付けて共存する「町の風景」の表現で、雑多ながら住みやすそうな町、の印象によるものです。
 ちなみに、駅周辺は慢性的な渋滞のため地元の人々は、ひとつ手前のバス停で降り歩いて駅に向かいます。それが吉祥寺流。

 オヤジとしても楽しめたのでまた行こうと思うも、ここは結構遠いことを初めて実感しました……


追記──祝復活『ブラタモリ』!

 2012年の放送終了時点で東京を歩き尽くした感があり、「『笑っていいとも』が続く限り地方ロケは無理だが、希望としてはぜひ京都を!」の願いが通じ、スペシャル番組『ブラタモリ 〜京都〜』が放映されました。
 京都にもいる、地元をアピールしたい郷土研究家(オタクっぽい人々)を「乗せる」タモリが見事で、教養と共に楽しめました(テレビ朝日『タモリ倶楽部』の手法ながら「NHKさんなら…」と重い扉を開かせる様が実に痛快!)。2015年4月レギュラー番組開始予定。
 今回道連れの首藤奈知子さんは、仕切ろうとし過ぎ(まじめ)で、ライブ感を伝えたいタモリとはかみ合っていない様子。
 やはり、仕切ろうとして「ボケる」久保田祐佳ちゃんの「天然ぶり」がベストマッチ!
 そんな散策を目指しても無理なので、こちらはボチボチ歩きます……


おまけ──成人の日(1月12日)at ホテルニューオータニ


 千代田区「成人の日のつどい」が行われたホテルニューオータニでは、自治体の催しだけでなく短大等の催しも開かれ(短大卒業時はちょうど成人の年齢)、百花繚乱(りょうらん)お花畑のようでした。
 ですが、阪神淡路大震災の年生まれの彼女たちは、大災害の様子を知りません。当時覚えた衝撃を「大災害を知らない大人たち」に伝えねばならない立場となりました。

 世界中でフランスでのテロに抗議するデモが行われた日に、着飾ってお祝いできるのはこの国らしいが(中止もできないし)、思い出の片隅に刻まれれば、国の将来も少しは明るくなる? と思うのですが……

 右は、出合い頭の衝突のように出会った笑顔ですが、暗い場所だったのが残念。

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