2016/04/11

狭い場所が落ち着く?──渋谷

2016.3.20【東京都】──「渋谷川水系を歩く_5」

 渋谷の町は、旧穏田(おんでん)川や旧宇田川が流れ込む谷筋に発展し、谷底にある駅からあふれる出る人の流れは、鉄道を供給源とする湧水のよう…… などと、近ごろ縁遠くなった町を歩きました。






 原宿駅前の歩道橋で耳にした「路上でのダンスは禁じられています!」(代々木公園入口付近で踊る連中への警告)の響きから、竹の子族であふれていた時分の懐かしい「におい」がよみがえります(当時は歩行者天国だった)。
 体育館のコンサートに若い女性が群れる様子は、以前と変わらないように見えても世代交代しており、わたしも若者エリアから足が遠のくのも当然と。ここで、ブルース・スプリングスティーン、ドゥービー・ブラザーズを観た! ですから……

 いつ見ても曲線美にほれぼれする代々木第一・第二体育館は、広島平和記念資料館東京カテドラル聖マリア大聖堂を設計した丹下健三によるもの。



 この日のメインイベント「アイラブアイルランド・フェスティバル2016」で、グリーンを身につける姿を多く目にするも、手前の「タイミュージック グラミーアワード フェスティバル2016」(右)に引っ掛かります。
 肝の据わったふるまいや、浅草サンバカーニバルのように「わたしを見て!」と体を張る高揚感は、「巫女:神に仕える女性」の精神性に近いようにも感じます。
 日本人は「パッと咲いて、パッと散るイベント」と誘われると、結構乗りやすいかも知れません。


円山町、道玄坂


 ミニシアター「ユーロスペース」(上)が、客層の異なるライブハウスが並ぶ円山町に移転したのは、物件の選択によるためか? 看板(『リップヴァンウィンクルの花嫁』の黒木華)のおかげで魅力的なたたずまいに見えます。
 わたしが渋谷に通い始めたのは1980代後半のミニシアター全盛期からで、「ユーロスペース:アッバス・キアロスタミ」、「シネマライズ(閉館):レオス・カラックス」、「ル・シネマクシシュトフ・キェシロフスキ」等々が公開された時分。
 近ごろはシネマコンプレックスでミニシアター系作品が上映されるため、かつてのサブカルチャー的な存在感は失われました(新宿「シネマスクエアとうきゅう」、六本木「シネ・ヴィヴァン・六本木」も閉館)。往時の上映リストを眺めながら飲みますか……

 繁華街は表と裏の共存で成り立ち、裏の存在は男女の意識下に刺激をもたらしますが、近ごろは父親に代わり「こんな場所でデートするんじゃない!」と、いらぬ世話をやきたいと思ったりも……
 そんな場所でのドキドキ感は当事者にしか分からないので、いい経験となることを。

 繁華街での競争は激しく、目先を変えるリニューアルや、店の入れ替わりも頻繁なため、目的の店が無く途方に暮れる人をよく見かけますが、その多くは「記憶違い」ではないか?  「あったはずなんだよ!」が、あったのか、元々なかったのかはどうでもよくなり、「とりあえず入るか」に追い込む集客力が、繁華街の作戦と言えそうですが、飲屋街へ足を踏み入れた瞬間に、のどから手が出てしまうわたしは、格好のカモです。




 故 松田優作のTVドラマ『探偵物語(リンク先はYoutube):1979年』の、壁画の建物は建て替えられますが、店舗の裏側にラッピングする演出(上)や、TOKYO FM「スペイン坂スタジオ」公開生放送での集客など、変わらぬ仕掛け屋精神に感心します。
 PARCO一号店は池袋店(1969年)で、渋谷出店(1973年)から注目されるようになりますが、その時分の渋谷は、坂に囲まれ商業集積地に適さないとの評価だったらしい。
 当時のニューヨーク ハドソン川をスーツ姿で泳ぐ内田裕也のCM(リンク先はYoutube)は記憶にあります。ビル建て替えのため、2016年8月で一時休業とのこと。


旧隠田川・旧宇田川合流地(のんべい横町)

 前回の春の小川(旧河骨川:こうほねがわ)と合流した旧宇田川は、宇田川交番脇〜西武渋谷店の間を抜け、のんべい横町付近で渋谷川本流の旧隠田川に合流します。
 混雑する西武前交差点に近いも付近が閑散とするのは、渋谷川沿いの整備計画(1964年東京オリンピックの際に宮下公園を高架化:どぶ川を暗きょ化したかった)が、都市計画を無視して進められたためではないか(それゆえ、のんべい横町が安泰なのでは?)。
 付近は渋谷のエアポケットのようで、下側の黒い服の女性はスマホ片手に落ち着いちゃっています。




 初めて入った印象は、建物に奥行きはあるが横幅は狭い京都の「町屋」的というもの。
 平坦地が限られ土地の確保が難しい町では、上空利用しか活路が無いため、どこも井の頭線の駅ビルマークシティのような再開発となりそうです。
 駅周辺に数棟建つ予定の高層ビルも、フロア面積が限られ大企業の誘致は難しそうなので、小・中規模のベンチャー企業を誘致し「渋谷ビットバレー(BitValley)」の拡大を目指すことになるのか?(既にあやしい会社も多いが)
 それにしても、これ以上人が増えたら町を歩けなくなりそうです……


追記──「パナマ文書」でお仕置きを!

 世界各国の政府関係者が、タックスヘイブン(租税回避地)を利用し課税を逃れてきた実態があばかれつつあります。
 税金で養われている政府関係者が、税金を取られたくないならば、無給で働かせればいいが、税金は「引かれるもの」と課せられたサラリーマンが働かなくなれば、国は立ち行かなくなるため、どれほどの罰なら国民は納得するか? となるのでしょう。


追記──北島康介の背中

 5大会連続となるリオ五輪出場を目指すも国内の決勝で敗退しました。
 「レベル高けぇ〜」の言葉通り、彼を目標とした若手は、彼の想像を越えた強さで「北島康介の背中」追い越し、彼に感謝したのではないか。
 燃え尽きるまで、挑み続ける姿を見せてくれたことに、拍手を送りたい。
 貴方の背中は、頼もしい後輩を育ててくれました……

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