2016/11/14

支え合いの道筋──谷戸前川

2016.10.15【東京都】──「目黒川を歩く_16」 谷戸前川(やとまえがわ)

 今回は、東横線 祐天寺〜学芸大学駅間にある複数の水源から、目黒川に流れ込んだ谷戸前川を歩きます。線路付近は北側の蛇崩川にそそぐ水源もある分水嶺になります。




 この日寺では、十夜会(じゅうやえ:浄土宗寺院の念仏会)が開かれるため、参道に花が飾られます。
 会場玄関前に並ぶ受付等のテント付近に、檀家送迎のために多くの僧侶や職員が立つ様子からも、行事の重要さがうかがえます。
 下写真左側の白い壁は工事用のフェンスで、現在複数の施設が壁に覆われることから、歓待は施設修復費用の寄付に対するものと察せられます。
 内訳は不明でも、勧進(かんじん:寺院・仏像の修復、再建の寄付を求める)というシステムは、やすらぎの提供という実体のない霊感商法のようでもあるが(失礼…)、それをよすが(縁)と求める姿は理解できるところです。

 この寺は、芝 増上寺の法主 祐天上人(江戸時代の代表的な呪術師!:怨霊を念仏で成仏させたと伝わる)の弟子が、寺の建立が禁止される時代に将軍 吉宗の許しを得て、徳川家菩提寺である増上寺の寺領に開いたもの。

 境内に柳原愛子(やなぎわら なるこ)の墓があるそう。大正天皇の生母ながらも一般の寺院に眠るのは、明治天皇の典侍(てんじ:宮中女官で側室の役目もある)を勤めた平民ということらしい(勲一等宝冠章を受章)。姪に柳原白蓮(『花子とアン』の蓮さま:仲間由紀恵)がいる、議奏(ぎそう:公家職)の家系。
 この国を縁の下で支えた人々が眠る地を、檀家に支えてもらう道筋を守ることが、寺の役目のようです。



 スルーするつもりが、屋外展示に目が止まりそのまま吸い込まれるように……
 1978年長泉院住職の渡辺泰裕氏が収集した彫刻展示に始まった施設で、「現代」の看板にしては分かりやすく力強い作品が並びます。寺が管理する施設で入場無料(坊主丸儲け? を、社会還元する姿勢には好感を覚えます)。

 右奥の煙突は目黒川沿いの清掃工場で、以前勤めたオフィスの窓から毎日目にしていました。
 距離的には近いが、当時施設の存在を知っていても、目黒川を挟んだ反対側の坂を登ろうなんて、思わなかっただろうなぁ……




 旧谷戸前川は、祐天寺駅〜学芸大学駅間の流れを集め、祐天寺裏を通り目黒区民センター公園付近で目黒川に注ぐ公共溝渠(こうきょうこうきょ:広めの側溝のような存在)で、かんがい用水に利用されたらしいが、1975年下水道化され上部は緑道として整備されます。
 上付近の深く浸食された谷は、日も当たらず暗い印象のためか、明るいブルーで塗装されています。下の目黒区民センター公園の幼児用プールも同系色で統一されますが(?)、プールって一般的にブルーでしたよね……


 付近に勤めていた時分は、時折目黒川から悪臭が漂った記憶がありますが、現在は改善されたようで川沿いには新しいマンションが建ち並んでいます(オフィスビルにネズミが入ってきたことがある)。
 目黒通り南側の下(しも)目黒の地名とは別に、土地の高低から目黒川沿いは下(した)目黒になりますが、川の氾濫や悪臭がなければ、川沿いの桜並木を見下ろせ、目黒通りの商業地も近いので、結構のんびりできそうとも。
 桜の季節にやかましいのは仕方ないが、ネズミの生命力はすごそうとも……


追記──まさかの、トランプショック!

 大方の人が「NO !」と踏んでいた事態が現実となりました。それは、現状に不満を抱く米国民が求める大胆な政策転換「再チェンジ」への期待感のようです。
 先が読めない不安感が世界中を駆け巡りましたが、翌日から世界各国は、共和党に協力を求めるだろうと、政治的圧力により暴言の実行抑止を目指す態度に変わります。
 「2番目に嫌いな候補を選ぶ」史上最低の大統領選挙で、トランプ以上に嫌われたヒラリーの人望の無さは、アメリカでは常識なのかも知れません。
 一方、政治経験は皆無の次期大統領に、現代のアメリカンドリームを託す人々は、「彼のビジネス手腕が生活を潤してくれる」との期待の裏で、失政の際には「お前はクビだ(You're fired)!」と叫ぶ準備をしているようにも……

0 件のコメント: