2012/06/04

イキさを感じるリサイクル──西日暮里〜日暮里

2012.5.26【東京都】──「山手線を歩く! ⑳」

 この日は日暮里駅を起・終点として、西日暮里〜鶯谷付近に広がる谷中地区を中心に歩きました。
 起伏のある地域に加え夏日の散策に慣れてないこともあり、へばりましたがその分ビールがおいしかったこと!
 6月ですからまもなく梅雨入りのカウントダウンが始まります。
 今年は何度も「豪雨」を経験しているので、無くていい気がするも、キッチリやって来るのでしょう。


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日暮里(Map)


 駅東口は「日暮里・舎人(とねり)ライナー:ゆりかもめと同じ都営新交通システム(無人運転)」乗り入れに伴う駅前再開発により、かつての駄菓子問屋街は上写真奧に並ぶ3棟の高層マンションに置きかえられました。
 住居施設以外の商業施設を探しましたが、目に入ったのはスーパー程度なので、商店街などに配慮した再開発のようです。
 後で知った駄菓子屋がビルに入店した様子は、建物に入らなかったため目にできず。

 再開発の影響を受けない尾久橋通り先の繊維問屋街は健在で、その先には「EDWIN:ジーンズ」の本社があります。
 わたしには関係ない町ですが、生地屋・クラフト関連の店では、不器用な男でも楽しめるDOit的雰囲気のように、レジに並ぶ女性の目に「やるぞ!」とキラキラした意欲が感じられる気がしました(右上は革を展示するハンガー)。


谷中(Map)

 週末の下町商店街が「江の島の参道のよう!」な様相を呈しています。
 地域振興としては歓迎にせよ、「テレビは取り上げ過ぎ」なのでは?
 評判の店があるようで、原宿とは違いここでは揚げ物? を手にした姿が多く見られます。
 駅周辺からどうもザワザワしていたので、商店街通り抜け(?)は断念しました。

 猫ものんびり昼寝できない騒がしいスポットを避け、現在でも富士山が見通せる「富士見坂」ルートへ。
 近くに「6年ごとの御柱祭でけが人続出」で有名な諏訪大社ゆかりの、諏訪神社があります。
 立派な神輿庫(しんよこ:神輿を格納する倉)があり、どんな山車なのか見てみたいところです。


 富士山を望めない日も、街灯の富士山の飾りがなぐさめてくれる坂の上で、近所の子どもたちのメッセージを目にしました。
 そこには、この地から富士山の方角にビル建設の計画があり、完成すると富士見坂から富士山が見えなくなってしまうので、建設反対に協力して欲しい旨の訴えです。
 景観保全は地域文化に大切なことですが、相手が富士山となると地域内では解決できない問題になります。
 リンク先のダイヤモンド富士に集まる人々の群れには驚きますし、「愛されている」様子が伝わってきます。守られますことを……


 谷中地区は空襲被害を免れたため、東京の中では古い建造物が残る地域になり、そんな地域遺産を活用する取り組みが広がっています。
 右は1716年(江戸時代)〜1940年(昭和期)まで営業した質店の土蔵(大正期)と店舗(江戸期 右側)を、展示スペースに活用する様子です(2000年国の登録有形文化財登録)。
 下写真は古い民家を再利用した地域の催事会場脇の路地にあり、店舗のように見える。
 また、銭湯の建物をギャラリーとするなど、この町の財産を「あるままの姿で使おうとするリサイクル指向」が感じられます。
 空襲で焼け残っちゃったではなく、生き残ったことを伝えていかねばという思いが、古い建物に息吹を吹き込んでいるようです。

 しょせん京都には追いつけないも、東京なりの文化を育てていこうとする姿勢こそが「粋」の原点ではないかと感じました。


 右下写真の女性は、シャッター押してあげたからいいだろうと掲載。
 そのカメラが、半押しかシャッターか分かりづらく、確認してもらったら写ってないため、再度ポーズをとらせてしまいました。
 言葉の感じでは韓国出身という印象か? 彼女に関する情報は以上です。

 大木はヒマラヤスギで、鉢植えから根を張り育ったらしい(左はパン屋)。

 前回の資料調べで初めて知った「藍染川に沿って被差別部落があり、道灌山下には非人溜め」の記述を確かめたく付近を歩くも、いまどきそんな痕跡が残るはずもありません。
 その書き込みは、2チャンネルのような書きっぱなしではない、結構お年の方が集まり昔話に花を咲かせるサイトに記述されていました。

 被差別地域ではないと思うが、「小石川周辺の谷地もスラム街で、大塚の台地の先にもスラムがあり、『本郷もかねやすまでは江戸のうち:本郷三丁目の角「かねやす」の土蔵までが江戸』で、見返り坂(東大付近から)は場末とされ、岡場所(非公認の売春業)は根津、白山にあった」とも。
 耳にしただけの情報も含まれる印象があるも、それは小石川にあった「氷川下セツルメント:スラム街などにボランティアが居住し生活改善をはかる活動」の記録からも確認できます。

 そこからわたしが想起できたのは、被差別地域の人々は「着物は渋染、藍染とすること:派手な身なりをしてはいけない」の達しから、藍染しか許されない地域ゆえ、染め物の伝統と川の名称に歴史を残したといえるのではないか? ということだけです。
 駒込にある、気軽に入れそうな藍染屋をのぞいてみようか、と……


 京都では「目の前の現実」に思考が停止してしまったので、一度整理したいと思っていました。
 差別用語である「非人」の表現は仏教に由来し、平安時代反逆罪に問われた役人が姓・官位を剥奪され、天皇から「非人」の名を受けました。ですが復権したことから、当時は形式的な名称だったと思われます。
 また「穢多:えた」とされる階層も平安時代に起源があるらしく、江戸時代に確立された「士農工商」に含まれない最下層身分の蔑称として定着しますが、明治時代に廃止されます。
 「士農工商は身分制度」と教わった気がしますが、そこには貴族や僧侶、そして穢多、非人も含まれません。
 考えてみるとそれは「税金の取り立て区分」に思え、含まれない存在は免除だったの? と思ったりします(経済的指標で判断する現代人の悪癖?)。

 西日本のように古い慣習が残らなかったのは、東京が新しい(歴史のない)都市だったおかげなのでしょう。
 また、そんな若い都市(当時300年の歴史もたかだかとされる国です)が首都とされ、しがらみが無いおかげで「明治維新でリセットできた」と思えますし、その後の発展への可能性を広げたのではあるまいか……


谷中霊園(Map)

 右は江戸時代最後の将軍、徳川慶喜の正室の墓です。
 慶喜の墓は左側にありますが、そこにはおしゃべりなガイドボランティアのおっさんがいて、訪れる人に自分から次々と話しかけその場を動こうとしないため、あきらめました。
 ほかのサイトでもそんな記述を目にしたので「話しを聞こうとしない相手への嫌がらせか?」と思ったりします。

 慶喜は幕末の動乱で朝敵(天皇の敵)とされるも、明治時代には公爵(華族の最高位)を与えてくれた明治天皇への感謝のため、葬儀は仏式でなく神式で行なう旨を遺言します。
 そのため、徳川家菩提寺である増上寺・寛永寺の徳川家墓地ではない谷中霊園に、明治天皇の父である孝明天皇墓所(仏式から古式葬に改められる)に倣った円墳が建てられます。
 以前の染井霊園同様、明治時代の「神仏分離政策:神道と仏教を区別させる」によるお寺以外の墓地不足解消のため、1874年政府は天王寺(焼失した谷中五重塔を所有)の土地を没収し、東京府管轄の公共墓地として谷中墓地を開設します。
 そのため谷中霊園には、移動できない天王寺や寛永寺の墓地が飛び地として点在することになります(慶喜の墓はそんな寛永寺の飛び地にある)。

 東京という都市がいい訳とする、空襲で焼け野原と化した地が広大なため、そこに並ぶバラック地域の整備をする間もなく、高度成長期に向かい新規インフラ整備を進めたため、都市の要である「都市計画」を後回しにしたことは、戦後60年以上経過した現在に「高コスト」として負の遺産を残します。
 空き墓地の整理をするにも「動かしがたい墓所」の存在を無視した、開設時のビジョンの無さは致命的で、この先も谷中の町同様に墓地は迷路のように歩きづらいままかも知れません……(霊園の飛び地付近は抜け道がない)


 追記──「梅ちゃん先生」

 先日買い物で蒲田の町を歩き、商店街に堀北真希ちゃんの笑顔があふれている様子に「梅ちゃん先生の舞台は蒲田だっけ」と……
 彼女の素材を前面に出したとても可愛いポスターなので、蒲田限定でなく他でも貼ってくれれば目にするたびになごめるのに!

 映画『ALWAYS 三丁目の夕日』を想起させる路線で、彼女にしか出せない空気感を期待して毎朝タイマーをセットしています。
 タイトルバックの聴診器をあてる姿に、服をまくり上げる人はいませんか?
 女優陣(倍賞美津子、南果歩、ミムラ)の素晴らしさには、来るべき「女性解放」(表現古っ!)や、テーマと思われる「女性の自立」に向け、女子力が前面に出てくるであろう後半を期待しながら、毎朝楽しみにしています。

 ちなみに梅屋敷駅と結びつけたのは京急のこじつけですが、梅屋敷公園には行ったことがないので今度是非。


 追記2──新藤兼人監督逝去 2012.05.30

 あの「ギラギラおやじ」が、キリのいい100歳で亡くなられました。
 与えられた「天寿」と、自らの「生命力」を全うされたことと思います。
 「正論をかざす」黒澤さんの格好良さと違い、「しつこくうるさい」近所の頑固じいさんのような新藤さんには「男の生きる道は、前進あるのみ!」と教えられた気がしています。
 ありがとうございました。

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