2016/09/12

池ノ上は「ぬけられません」

2016.8.21【東京都】──「目黒川を歩く_10」 北沢川_7

 今回は、小田急線 東北沢駅と井の頭線 池ノ上駅の間に位置する、三角橋交差点付近を水源とする北沢川 溝ヶ谷支流を歩きます。



※地形判別のため流路表示をやめました。


駒場公園(旧前田家本邸


 以前、小田急線 東北沢駅近くを水源とする渋谷川水系の上原川を歩きましたが、そこから数百メートルの地に、目黒川水系の水源があることに驚きます。双方の川も丘陵地を急峻に浸食することから、水量の多い地下水脈があったように見えます。
 また、その狭い分水嶺の尾根筋に、三田用水(玉川上水の分水で、世田谷区 北沢から港区 三田方面への灌漑用水)が通される様子にシビレたので、機会を改め三田用水も歩かねばと思っています(三角橋付近は三田用水分水地で、流れが三方に由来するそう)。
 上は、洋館玄関脇の水鉢。


 明治期付近にあった駒場農学校は東京帝国大学農学部とされ、本郷に移転します。
 一方、本郷の敷地を明け渡した旧加賀藩主 前田家はこの地に移転し(赤門は前田家が建立した国の重要文化財)、駒場本邸として洋館・和館等を建設します(昭和4〜5年)。
 当地の建物も国の重要文化財とは、前田の殿様の財力に驚きますが、当主の死後(1942年)も戦渦を逃れ、戦後米軍に接収されたことが施設保存につながったようにも。


 和館の説明員の方は、日本建築の粋とされる「欄間の透し彫」の説明に熱心で、聞き手の女性が「素晴らしい」と納得するまで大きな声の説明が続きます。
 それがなければ、とても落ち着ける空間なのに、とも。


ぬけられない井の頭線の盛り土

 右は、井の頭線が通る盛り土の下流側ですが、付近に線路を横断する道はありません。上流側は川をせき止めるダムのようで、地下流路が詰まると一帯が水没しそうな「どん詰まり」です。
 以前あった池が池ノ上駅名の由来らしいも、地名に残らないことから、鉄道建設で生まれた池だったのでは?
 上流側から渡れる踏切は駅の脇まで無いが、下流側からしか入れない袋小路の踏切には「ぬけられません」の表記があります。宅地開発後、線路沿いの鉄道会社所有地を分譲する際に設置した踏切か?
 鉄道建設が最優先された時代(1933年:昭和8年)の痕跡が見て取れるのは楽しいも、整備最優先地域に見えました(背後は東京大学先端科学技術研究センター)。


北澤八幡神社〜淡島交差点付近


 丘陵地の上には高級住宅、傾斜地には建設に腐心した住宅、谷底には「旧流路の上?」まで家が並びます。
 池を埋め立てる際の意識は、谷底の流路ではなく「池の畔」のイメージで宅地化したように見え、危なっかしい印象を受けます。(1枚上の続き)

 上は地域の鎮守 北澤八幡神社のアミがかけられた手水舎(ちょうずや)(カラスなどに汚されるのか?)。
 祭には出会えなかったが、下北沢や池ノ上で目にする例大祭の旗や貼り紙に、現在の住所区分とは異なる氏子中の広がりを感じます。

 上の第二淡路湯(淡島湯温泉)は、地下100m程度で掘り当てた天然温泉とのこと。温泉法をクリアできず規定泉とされるも、東京でよく目にする茶色の重曹泉なので、ツルスベ感が人気らしい。
 「しばらく休みます」の貼り紙はあるが、コインランドリーは営業中なので、廃業ではないことを。

 前回、富裕層の散歩道とした北沢川散策で、淡島交差点付近からガラッと雰囲気が変わった印象を、路地で物干し台がある家の町並みに、再確認します。
 旧中心地の面影が残る谷筋に漂う空気には、幼少期の記憶をよみがえらせる「におい」が潜んでいるようです……


追記──祝! 広島カープ25年ぶりの優勝

 シーズンを通じて「一番元気のあるチーム」の印象がありました。
 何より黒田投手(新井選手も?)の花道をお膳立てした、選手たちの心意気に拍手を送りたい(それだけではないが…)。
 いま思うと、開幕前にセリーグ全監督が勢揃いしたTV番組で、緒方監督がどっしり構えるように見えたのは、すでに手応えがあったためか?

 一方のパリーグは日本ハムが優勝し、MVP選考で大谷翔平選手が「投手?」「野手?」と頭を悩ます状況を楽しみたいと、外野(熱狂的なファン以外)は願っているのでは?


追記──意味が理解できなかった「築地市場の移転延期」

 小池さんが東京都知事に就任し、すかさず「築地市場の移転延期」を表明した理由が分からなかったが、東京都が組織ぐるみで「ウソ」をついていたとは……
 情報を耳にしながら疑問も感じなかった、移転決定時の石原〜猪瀬〜舛添知事たちは、黙認していたことになります。このままでは東京も、五輪開催前の「リオは大丈夫?」と同様の印象を世界に与えそうです。
 この問題周辺に疑念を抱いた知事が、「小池が東京都の窮地を救いました!」と花火を上げるパフォーマンスに仕立て、「政治家やのう〜」と支持を広げたとしても、前任者の「負の遺産」の尻拭いをさせられること自体が情けない……

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