2015/12/14

西洋化の実験室──兜町

2015.11.28【東京都】──「日本橋川を歩く_4」

 今回は、日本橋に隣接する金融の中心地兜町を歩きますが、まるで用の無い町なので、おそらく初めてではないかと。



 明治維新当時の周辺は「西洋化の実験場」のようで、競って西洋風の建築物を造りましたが、関東大震災の被害を受けたことで、耐震性を意識した「日本向け西洋建造物」が生み出され現代に至ります。
 銀行:第一国立銀行、郵便局:日本橋郵便局、百貨店:三越など「日本で初めて」とされる施設が、五街道起点の陸路や、当時日本橋にあった魚河岸への水路が開けた、流通の中心地で始まったのは当然と言えそうです。
 付近に通された日本初の私鉄「馬車鉄道」は、路面電車〜東京市電(後の都電)となります。
 右は付近のレストラン。


兜神社

 兜町の由来には、平将門の兜を埋めて塚にした、源義家が奥州遠征の際に暴風を鎮めるため鎧を沈めて祈り(鎧橋の由来)、帰途に兜を埋めたなどと伝わります。
 いずれの言い伝えからも「戦の支度を解く」場であった様子がうかがえますが、現在では兜や鎧ではなく、頭脳を武器に戦いが繰り広げられる戦場となりました(株取引に重要なのは、頭脳だけじゃないような気がしますが)。
 右の証券界の守り神は、「商売繁盛」ではなく取引業務の無事を祈るため、派手さではなく堅実さが求められた姿のようです。


東京証券取引所

 よく目にする矢印のロゴは「営業中 なう」という意味のようで、取引のない土曜日には表示されないらしい。
 兜町はビジネス街の中で、週末に最も人気の無い町ではないか? 市場休業日は出勤してもやることがない(休日出勤無し)としたら、何とハッピー! なんてことはないか……
 株券売買立会場での取引(大勢が指でサインを出していた)が終了後は、皆パソコンの前で鼻をほじっているのか?(どうもジジ臭いイメージがあり、失礼!)
 内部見学は平日のみですが、是非一度!


 前身の東京株式取引所は、日本初の公的な証券取引機関でしたが、戦後GHQにより投機的な取引が制限され、世界基準のルールに従う東京証券取引所が設立されます。
 米軍は東京を空襲する際、戦後の占領統治ビジョンに従い、兜町を含む日本の中枢機関周辺の攻撃を控えたとされます。
 庶民を焼き払い、中枢機関を生かし利用する占領軍のやり方には憤りを感じますが、日本軍も同じだったのかも知れません……

 上の郵便受けや右の二重扉は、周囲に木造家屋が多かった時代の防火対策で「信用の糸口は防火設備」という時代背景がうかがえます(いまも必須条件だが)。
 関東大震災で火災の被害を受けても、木造の家を建てるしかない庶民にとって石造りのビルは堅牢に見え、安心感を与えたことでしょう。
 ですが、次の大地震でどうなるか分からないので、可能な限りの準備をしておくべきと、現在暮らす公団アパートは取り壊されます(平成30年4月30日までとされました)。


阪本小学校

 右は中央区立阪本小学校にある像で、小学校のホームページにも『少女』 山本正道氏作 1992年としかないが、小学校の門にふさわしい像と感じます。
 見る側の受け止め方で、遊ぶ友達を待っている、雨の日に迎えの親を待っている(長靴に見える)など、日々子どもたちは違った解釈ができるのではないかと。
 ここは、関東大震災後の復興事業で建築され(1928年:昭和3年)、明石小学校の仲間とされる都内最古の小学校のひとつで、小説家 谷崎潤一郎の母校。


茅場町(第2井上ビル)

 右は、亀島川に面した味わいのあるビルで、映画の撮影に使えそうな空気感を持ちます。
 以前水路沿いに発展した町の名残りのようですが、当初のモダンが現在のレトロとして利用されるためには、頑丈な建物を作る必要があります。
 建設当時(関東大震災後の1927年)の、いかに頑丈な建物を造るかというテーマが現在のエコの原点と考えると、時代のトレンドを目指す際にも、「将来のビジョン」をしっかり持つ物だけが生き残るように感じました。


追記──金星探査機「あかつき」復活!

 軌道投入失敗から5年の間、背水の陣で最後のチャンスに向け準備を重ねてきた関係者の執念に、拍手を送ります。
 研究とは「あきらめないこと」と耳にしますが、それは日常生活や社会生活も同じで、苦境を乗り越えた先には大きな達成感・期待感が持てるはずです。


追記──ノーベル賞ウィークの笑顔!

 受賞決定から授賞式までは、これまでの研究活動に対する「ごほうび」のような笑顔の日々が続きますし、その姿を目にしたわれわれも明るい気持ちになれます。
 1901年に始まる同賞はスウェーデンの機関が決定するもので、授賞式が行われるストックホルムの町は「功績を讃え、学ぶ」という、前向きな文化を構築してきました。
 笑顔にあふれる町では、物質文化から解き放たれる瞬間が経験できそうです……


追記──テレビ東京ドラマ「釣りバカ日誌~新入社員 浜崎伝助」終了

 映画シリーズが始まった頃「漫画とイメージが違う」の声を聞きましたが、回を重ねるうちに馴染めたように、世界観を楽しみたいとすれば「次は映画!」でしょう。
 三国連太郎さんも、映画を愛し続けた映画バカ(大きな借金をして映画を作った)ですから、きっと「スクリーンで観てみたいですね」と言ってくれるのではないか……

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