2017/02/13

早咲きの桜がキモ──桜新町

2017.1.28【東京都】──「呑川を歩く_1」

 今回から、東急田園都市線 桜新町駅付近を水源とし、東京モノレール 整備場駅付近で東京湾に注ぐ呑川(のみがわ)を歩きます(上流部はほとんど暗きょ)。「呑兵衛」を想起する字面の由来には、大雨時に流れが周囲を飲み込んだ、等の説があります。




 「サザエさんの町」とされるのは、作者が暮らした当時の三河屋等が作品に登場したためで、現在では、長谷川町子美術館を核としたテーマパークの町とも。
 地域では、サザエさんに描かれる、懐かしく、暖かみを覚える町の現代版を目指すようで、愛着の好循環が「住みやすそう」な印象として伝わってきます。
 新玉川線(現 田園都市線)が、旧玉電ルート(旧大山街道:呑川の谷を迂回)に通されたため、頭上に首都高速が通る246号線(新玉川通り)沿いのような喧噪はありません。そのおかげで交通量も少なく、運転もやさしく感じられることは、地域の財産と言えそうです。
 右は、美術館を案内する像。

 桜新町商店会では、高度経済成長期で人手不足に悩む1952年(昭和27年)時分に、地域ぐるみで新潟県に求人募集を出します。その求人で多くの若者の就職が決まったことが、集団就職の先駆けとなったそう(駅北側の工場群の求人も含まれた? 工場は健在らしいも未見)。
 映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の商店街にも通じる空気感のルーツは、同じと言えるかも知れません。

 地域住民の目指す町づくりが、漫画の世界観としたらちと驚きますが、地域全体の取り組みで実現できれば魅力的な町になりそうです。それも、万人に愛されるキャラクターのおかげかと…… 右は店舗脇の看板。



 ここは、明治時代に復興された古神道の神習教(しんしゅう:かみならい→布教するため)の神社で、中臣鎌足が大化の改新で藤原姓を賜った時代の神道とのこと。

 梅の咲き始めにしてはピンクの色が濃いと思えば、さくらのえんむすび花帯(リボン)が満開の姿でした。
 結ばれている「えんむすびの木」は早咲きの河津桜(ここがキモらしい)なので、もうつぼみがふくらんでいます。いまどきの季節に祈願すれば、成就も早咲きとなるかも? 縁が結ばれたら、今度はサザエさん一家のような温かい家庭を築けるよう祈るのだそう。
 春を待つ気分には明るい期待感があるので、他人に対しても「早く春が来ますように!」と、無責任に応援してしまいます……




 親水公園区間だけ川が姿を現し、流路には水生植物の植生域が整備され(一部からは草ぼうぼうの苦情も)、岸辺には桜並木が続くので春には華やぎそうですが、肝心の水が流れていません。
 桜新町駅に近い呑川水源付近では、現在もマンホール内から湧水の様子が聞こえるも、水質に問題があるためそのまま下水に流されます。そのため、親水公園(246号〜駒沢通り間)には循環水を流すらしいが、冬季は休止?
 水路には、それぞれ異なる凝ったデザインの橋が架けられており、世田谷区のちょっと力を入れちゃった感がうかがえます(上)。




 日体大の始まりは、成城學校(陸軍士官学校・陸軍幼年学校への全寮制予備校)内に1891年設立された「體(体)育會」で、体育教員志望者・運動好きや能力の高い受験生が集まるも、戦争が始まると「体育」は「軍事教練」へ向かうことになります。

 本学は、体育教員・スポーツ指導者の育成を目指すもので、トップアスリートの養成が目的ではないため、トップを競えない競技があってもあまり叩かないように……(北島康介は卒業生)



 1908年(明治41年)日本で最初の園芸専門学校として設立されたため、校内にはお宝がたくさんあるらしい。
 ここは小高い丘の上で、隣接する矢沢川との分水嶺と思えば、校門前に「兎々呂城:とどろじょう」の石碑があります(北条家家臣 南条氏の居城)。
 鎌倉時代には土岐氏、室町時代には吉良氏による世田谷城の支城が築かれるように、地域支配・軍事拠点に適した見晴らしがあったようです。
 そんな土地は日当りもいいので園芸に最適! との発想の転換は素晴らしいと。


医王寺、深沢不動教会(不動堂)

 医王寺は、上述の兎々呂城内にあった寺の末寺で、明治11年(1878年)境内に地域の分校(現 深沢小学校)が開校します。
 同境内には、地域住民の成田山信仰の高まりから深沢不動堂が建てられ、毎月の縁日には大護摩が焚かれるなど、いまも地域住民との縁がつながるようです。

 この日は散髪(以前から通う武蔵小杉の床屋)に行くため、付近から自由が丘駅行きバスに乗りますが、乗り出があり混雑する車内からは、交通の不便さがうかがえます。
 また、自由が丘駅バス停は駅前ロータリーにあるため、繁華街の狭い道にあふれる歩行者をかき分けバスが通るのは、何とかすべきと……


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