2020/09/14

「真夏の夜の夢」の喪失感──向島

2020.8.22【東京都】

 向島の名称に「川向こう」の差別意識を覚えるためか、「負けねえぞ!」の心意気から感じる芯の強さが、周辺の魅力かもしれません……


 NHK連続テレビ小説「エール」の、芸者が唄うと耳にした瞬間の「向島か?」の反応に、昭和初期の向島芸者の人気ぶりを感じたりします(9月14日より放送再開)。
 向嶋(以前の表記)の花街は明治期に始まり、最盛期には芸妓が1000人以上いたそうで、いまも健在の料理屋(料亭)の佇まいには、粋なカッコよさがあります。右は料亭美家古(リンク先は座敷の絵!)で、ここは常連さん専用口か?
 向島の地名由来が、「隅田川の向こう側の島」だったに納得するのは、島の名を持つ地名が多く残るためで、隅田川の東側は江戸にあらずと認識されていました。

 周辺は空襲で焼き尽くされたため、整理された区画が整然と並びますが、街並みのように襟を正していると感じるのは、地元に対する誇りではないかと。花街への出入りの多さや、関わりを持つ人が多いため、乱れた姿を見せられない心構えのようにも。そんな「気取り」が江戸っ子の自慢であり、やっかみでもあり、大衆文化の原動力だったのかもしれません。
 右のような店が健在な町ですから、まだまだ庶民文化は衰えないことと。
 来年の花の季節には、自粛されることなく芸妓茶屋(芸者茶屋)が出店されることを楽しみに……


 上は三囲(みめぐり)神社神楽殿の千社札。穀物の神(宇迦之御魂神:うかのみたまのかみ)を祀り、三井家の江戸守護社とされるため、商売繁盛が祈られるそう。

 隅田公園に隣接する牛嶋神社(本所の総鎮守で、東京スカイツリーの氏神)にある撫牛(なでうし)像は、牛頭天王(ごずてんのう)に由来し、天満宮の牛の像もそこにたどり着くらしい。

 下の隅田公園(水戸徳川家の屋敷跡)南側の整備が終わり、以前とは比べ物にならない今風の明るい公園となりました。これで、隅田川花火大会の観客席は増えましたが……


 東武線鉄橋脇の「すみだリバーウォーク」(下)は、浅草とスカイツリーをつなぐ動線として設置され、散歩にはちょうどいい距離ですが、スカイツリーは子どもが多く客層が違うようにも。
 スカイツリー側の高架下には「東京ミズマチ」が整備され(2020年6月)、北十間川沿いも歩けるようになりました(現在は隅田公園に面した西側のみ)。以前その頭上には隅田公園駅がありましたが、利用率が低いため廃止されました。
 一連のオープンは、当然隅田川花火大会の時期をターゲットとしますが、たった一夜の「真夏の夜の夢」でも、夢が失われた喪失感はいかばかりかと……



23区の時短営業要請解除

 東京都はコロナ感染状況の警戒レベルを、2番目の「感染の再拡大に警戒が必要」に引き下げ、23区内の飲食店やカラオケ店への午後10時閉店の時短要請終了を発表しました。
 店舗側には明るい知らせで、「待ってました!」と繰り出す連中もいるかもしれませんが、リスクを負ってストレス発散できる? と感じるのは、年齢のせいだろうか。
 常々、残業でギリギリ最終電車で帰宅する者と、泥酔者が同じ扱いとされることに理不尽さを感じましたが、酒の席で注意散漫となり、濃厚接触していそうな連中を避けるため、これからは自己防衛として「残業の時短」を意識するのではと……


信念を貫いた大坂なおみ選手

 黒人差別への抗議マスクで戦い、全米オープン2度目の優勝を果たした大坂なおみ選手の快挙は、暴動によらない抗議活動への道を示すのではないか。
 人種差別を受けていると感じない(理解できない)島国育ちのわれわれにも、考えるきっかけを提起したことは、プレーと共に大きな意義があるのではないか……

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