2015/09/21

ペンの力は何処に?──旧藍染川

2015.9.12【東京都】──「神田川を歩く_35」

 今回は、旧石神井川が浸食した河道を流れた旧谷田川(現在暗きょ)が、旧藍染川と呼ばれた西日暮里・千駄木付近を歩きます。




開成学園


 東京大学合格者数34年連続首位(1982〜2015年)の無敵ぶりを誇る、進学校の開成学園は西日暮里にあります(関東大震災以前は神田淡路町に所在)。
 2014年度の合格実績は、東京大学:158名(157名進学)、慶應義塾大学:191名(50名進学)、早稲田大学:225名(33名進学)と、早慶を滑り止めにする連中が国の中枢省庁に入るようです。
 上の校章は「ペンは剣に優れり」を示すが、近ごろ「武力には、武力の圧力を」が世界の潮流らしく、ペンの存在感は薄れるばかりです。
 現在幹部の卒業生に失望するわれらは現役の生徒に、政治家の暴挙に「ペンの力」で立ち向かって欲しいと願っても、ペンの力など通じない世界と知った瞬間から、保身的行動に向かってしまうのだろうか……


森鴎外記念館

 右の絵柄から、正岡子規の写真を思い浮かべる方は多いのではないか?(わたしもそうでした)
 この森鴎外記念館は鴎外の旧居観潮楼跡地に建てられ、当時海を望めたであろう開けた高台に位置します。
 鴎外との接点は小説『舞姫』だけで、内容は忘れるも「品のある文章との出会い」との印象が残ります。
 陸軍軍医の側面には暗いが、ドイツ留学では北里柴三郎(日本医師会創立者)と共に行動したとあるので、医学においても国の第一人者だったようです。


千駄木ふれあいの杜付近


 きつい階段や坂道を上る際、なぜか未解決の課題や問題が思い浮かぶのは、肉体的負荷が精神的ストレスを呼び覚ますためではないか? と思うことがあります。
 ストレス解消に肉体運動が効果を示すのは、外的負荷を感じる中枢は一カ所のため、肉体的負荷の解消が精神的ストレスの不安を軽減するためではないか? と考えながら下った石段(鴎外の影響によるもので、課題は山積ながらも特にストレスを抱えているわけではありません)。

 付近の高台に、夏目漱石(猫の館)、高村光太郎等の文人や、寺田寅彦などの学者が多く暮らしたのは、東京大学が学問の府とされた時代背景によるようです。



 石段の下には広くないも「こんな自然林が残されているのか?」という、千駄木ふれあいの杜があります(鴎外の子どもが遊んだらしい)。
 正面の大きな倒木の朽ちる姿や、そこからの新しい芽生えを観察するようで、都内にしては腰の据わった取り組みに見えます。
 先日の千石緑地のように、住宅街にも自然林を残そうとするおかげで、人より寿命の長い樹木たちが、江戸時代の記憶(斜面は緑地帯だった様など)を伝えてくれます。


へび道


 旧谷田川がこの付近で旧藍染川と呼ばれたのは、以前藍染めが盛んだった旧藍染町に由来します。
 藍染めを身近に感じるのは、色鮮やかな染め物の着用を禁じられた庶民(身分の低い者)の色だったからか?
 差別のキーワードとされる藍染め(脱線しますが、リンク先は映画監督篠田正浩さんのエピソード)ですが、過去として切り離せる東京人は、そんな歴史を乗り越え新たな芽を育てています。
 上は路地裏の藍染の店舗。右はイベントスペース。

 数年ぶりのへび道(蛇行する旧藍染川上の道)にはオシャレな店が増え驚きますが、名称と共に人気が広まればより楽しい散歩道になりそうです。


追記──戦争法案成立

 「何としても成立させる」与党の方針に従った議員連中に、自主性はあったのか?
 経済疲弊の著しい地方から「武力活動範囲を広げて欲しい」の声があるとは思えない。
 党の方針に従った連中の態度は保身行動であり、戦時中の軍上層部に逆らえない現場指揮官と変わらないのではないか?
 国民の半数を越える異議を無視し、「説明は十分出来た」として押し切った連中に主権者のパワーを見せつけねば、戦時中のような暗黒時代となってしまいます。
 結果はいずれにしても決するのは国民ですから、まずは情けない野党を「主権者の旗の元」に結集させ、「国民の意見を尊重する政治」を取り戻す必要があります。


追記──ラグビーワールドカップ日本代表のチャレンジ精神!

 終了間際の相手の反則で、コーチの指示である引き分け狙いのフリーキックではなく、逆転勝利を目指すスクラム攻撃を選択した選手の判断に、観る者は驚きます(レフリーも驚いていた)。実力では格上の南アフリカに挑む姿勢に、スタジアムも「こんなチャレンジが見たかった」と盛り上がったことでしょう。
 テレビ解説者も突進する姿に「行け〜!」と叫びましたが、スタジアム全体が「Gooo!」と叫んでいたのではないか?
 日本代表の魅力をアピールする見事な戦いぶりでした。次の試合でも周囲を驚かせるパフォーマンスを期待しています!

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