2016/02/22

オヤジの聖地包囲網──虎ノ門

2016.2.6【東京都】──「汐留川水系を歩く_4」

 近ごろ高層ビルがニョキニョキ生える六本木一丁目から神谷町にかけては、「ヒルズ」と呼ばれる建物が目につきます。でもそれは丘の上限定ではなく、平坦地でも虎ノ門ヒルズですから、立地ではなく高級感を演出するブランド名のようです。




麻布台


 飯倉交差点付近にある宗教団体の異様な建物のエントランスから、映画『未知との遭遇:1977年』の宇宙船を想起します。
 建物の中には、いったいどんな世界が広がっているのか? 怖いもの見たさで未知との遭遇をしたい方もいるでしょうが、わたしは遠慮しておきます……


霊南坂教会

 大正期に建設された旧会堂は、東京駅を設計した辰野金吾によるもので、山口百恵と三浦友和(永遠に百恵ちゃんの名が先?)が結婚式を挙げ名が広まります。
 以前は、ホテルオークラとアメリカ大使館の間を通る霊南坂沿いにあったが、開発に伴う移転時に新会堂を建設。
 山口百恵ファンではないが一度足を運びたかった。

 隣接するアメリカ大使館には「キャロライン(・ケネディ駐日米国大使)がいるかも♪」と浮かれたが、周囲は「テロ対策特別警戒中」の厳重な警備で写真も撮らせてくれません。
 でもアメリカのテロ対策って、ずっと続くのでは?


ホテルオークラ東京


 現在ホテルオークラ東京の本館は建て替え中(高層ビルとして2019年開業予定)。隣接の虎の門病院も建て替え中で周辺が騒がしいことも、大使館警備をピリピリさせる要因のようです(虎の門病院は、国立印刷局、共同通信会館一帯の再開発計画に含まれる)。
 上はホテルにあったオークラ公園の外塀。新本館開業後の緑地は旧公園よりも広くなるとのこと。
 スキーシーズンも終わりですが、札幌の大倉山ジャンプ競技場は、大倉財閥2代目が私財で建設し札幌市に寄贈したもので(サッポロビールつながり?)、市長の命名によりその名が残されます。葛西選手のレジェンドは来季も見られるのだろうか?


愛宕神社(愛宕山)

 壁のような石段は「出世の石段」(徳川家光が山上の梅を所望し、馬で石段を駆け上がり枝を持ち帰った曲垣平九郎は、一躍馬術の名人とされた)と呼ばれます。
 周囲は切り立った崖の孤立した高台で、天然の山としては23区内で最も高いそう。

 すぐ脇の建設現場では、工事を中断して発掘調査が行われています。東京であまり見聞きしないのは、ここは高台から見下ろせるが、発掘調査のほとんどが工事フェンスの内側で行なわれているからと。

 ここは、徳川家康が江戸幕府を開く際、防火の神様として祭った神社ですが、江戸期の火災、関東大震災、空襲などにより幾度も焼失します。ふもとの火は山を駆け上がりますから仕方ないところでしょう。

 こぢんまりとした愛宕神社は、近親で挙げる結婚式に程よいサイズ感で、両家の家族が「ポッ」と暖まる場にふさわしい印象です(オープンスペースなので寒そうですが)。
 やはり、出世を願ってここを選んだのかしら?


虎ノ門ヒルズ&新虎通り

 虎ノ門ヒルズの地下を通る環状2号線の愛称は「新虎通り」(タイガースに関係ないが響きはいい)とされ、将来は有明テニスの森まで通じる計画(「マッカーサー道路」の呼び名は単なるうわさらしい)。
 ビルの間を切り開いたため、外壁の化粧が間に合わない建物も多く、幅の広い歩道+自転車道が直線的に伸びる様から、映画『十戒』のように開かれた印象を受けます。
 東京都が立ち上げた「東京シャンゼリゼプロジェクト」の第1号地として、歩道上にパラソルを広げたオープンカフェが営業します。オープンカフェだけでシャンゼリゼにはならないが、今後は「東京のしゃれた街並みづくり推進条例:共同建て替えなどで街づくりを進める」を利用し整備するらしく、「ここ新橋?」となる日も近そうです。

 新橋周辺では、汐留再開発、イタリア街に続いてシャンゼリゼと、オヤジの聖地包囲網が迫り、JR高架橋の耐震補強工事によりガード下の古い店舗が整理されたりと、再開発は秒読み段階なのか?
 近ごろの繁華街では、高度成長期を支えた建物が更新時期をむかえると、地域のイメージアップに再開発計画を考えたくなるらしい。
 オヤジの街頭インタビューで露出が多いことよりも、「新しい街に生まれ変わりました!」と、胸を張りたいようです。
 再開発後のこぎれいな飲み屋で、行儀よくお飲みなさいとされても、居心地の悪いオヤジたちは立ち寄らなくなります。
 動き始めたら、あれよあれよとオヤジの聖地は消えゆくのか?

 右は、虎ノ門ヒルズのマスコット「トラのもん」。ピンとこなかったので、場所柄にお似合いの金ピカの鈴だけ。

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