2016/02/08

新たな夢を築く地──国立競技場跡地

2016.1.24【東京都】──「汐留川水系を歩く_2」

 丘陵地の上に広がる明治神宮外苑は、東に汐留川水系、西に渋谷川水系が接する分水嶺にあたります。
 隣接する赤坂御用地内から外まで続く谷の痕跡を探すも、それらしき地形は見当たりません。考えてみれば、旧紀州藩屋敷(現赤坂御用地)の庭園を造るなら水源まで敷地としたいわけで、傾斜地の境までを敷地としたようです。




国立競技場跡地


 解体・整地後は、 2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会に向け、新たな夢を築き始めるはずの国立競技場跡地は野ざらしのままです。
 競技場設計やエンブレム見直しの際に「透明性を重視」と耳にしたが、競技場設計ではA案・B案をチラッと見せて、すぐに決定されました。不正防止のため応募詳細を公表しない姿勢は理解するも、国民が抱く不信感の払しょくにもう少し努力が必要ではなかったか……


カナダ大使館

 右のカナダ国章がイギリスのものに似ているのは、イギリスの植民地時代以来の関係(イギリス連邦:旧植民地から独立した主権国家による緩やかな国家連合)が継続しているためで、イギリスの国章にカナダ的な要素が加えられたそう(中央下側にカエデの葉)。
 フランス語が公用語とされたのは(英・仏語が公用語とされるが英語地域の方が多い)、最初に移住してきたフランス人の「プライド」にイギリスが折れたためか?

 付近から、乃木坂、檜町公園の間に点在した旧大刀洗川の水源は枯れ、流路は暗きょ(下水)とされますが、谷筋・窪地などの地形に往時をたどることができます。


草月会館(いけばな草月流の総本部)


 草月流との接点はありませんが、三代目家元勅使河原宏(2001年没)監督の映画作品に刺激を受けたことや、しなやかな竹のオブジェが印象に残っています。
 以前、併設の「草月ホール」で勅使河原監督関連の映画上映があり、高校時分には「三百人劇場」「岩波ホール」と並ぶマニアックな印象がありました(ここは未入館)。
 上は、京都 涉成園(しょうせいえん)を想起する石のオブジェ(イサム・ノグチ作)が飾られるロビー。ガラスに映り込むのは、道を挟んだ赤坂御用地。


乃木神社

 外苑東通りの四ッ谷三丁目〜麻布台間は、東は汐留川水系、西は渋谷川(古川)水系に接する尾根沿いを通されます。整備の始まりは、玉川上水からの幹線水路敷設と思われますが、後年の道路建設も通しやすい場所から着手したようにも。

 右の乃木神社(明治期の陸軍大将 乃木希典を祭る)の境内には、乃木の師 玉木文之進と、その甥の吉田松陰(共に維新期の没。松蔭の妹が主人公の昨年大河ドラマ『花燃ゆ』は幕末ものとしては弱かった…)を祭る正松神社があります(玉木とは親戚筋)。
 明治維新を生き抜き、欧米列強に日本の存在感を示し、明治天皇の後を追う生き様も、現代の礎とされます。


東京ミッドタウン(檜町公園)


 冬の風物詩的なアイスリンクが開設されますが、日陰で寒そう。右手に下る檜町公園付近は、旧大刀洗川支流の水源地らしく(現在は人工の池)、そこから旧流路をたどるように奥の低地を下ると、地下鉄千代田線赤坂駅付近に至ります(その先は旧溜池)。

 右は六本木交差点(左端は俳優座)付近から、アークヒルズ(赤坂)方面に下る坂。背後の交差点反対側のアマンド脇から下る芋洗坂は、麻布十番方面の古川(渋谷川水系)に向かいますから、幅の狭い尾根であることが分かります。

 ムムッ、この日のルート(国立競技場〜六本木)はポール・マッカートニーコンサート中止(当初は延期)の帰りにトボトボ歩いた道だっけ……

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