2016/06/06

オアシスを断つ町づくり──元麻布

2016.5.21【東京都】──「渋谷川水系を歩く_13」 旧赤羽川

 旧赤羽川は、麻布十番付近で古川(渋谷川)に流れ込んだ支流で、勤務先は流域内あるため「下水に響く水音はきっと湧水」を確かめようと、休日出勤(?)に向かいます。




 テレビ朝日のお天気コーナーによく登場する毛利庭園は、「三本の矢」毛利元就(もとなり)の孫 秀元が、上屋敷を設けた際の庭園に由来。
 昭和期、ニッカウヰスキー東京工場だった時分は、「ニッカ池」とされる湧水があったが、六本木ヒルズの建設で息の根を止められたのではないか? 旧池は「埋土保存」され、その上に現在の池が作られたそう。
 テレビ映像では、庭園のアップ+広く見せるための引いた絵を映すのでサイズ感を錯覚するが、実際の庭園は周囲の構造物が大きいためちっぽけに感じられます。


中国大使館


 付近には、中国政府が日本に向けた発言をする度に、拡声器をつけた街宣車がお礼参りにやってくる、騒がしい中国大使館があります(上は大使館の外壁)。
 周辺にはバリケードを備えた警官が張り付いているので、治安はいい地域(?)と言えそうですが、拡声器のやかましさや、その度に身動きが取れない渋滞となる状況を知る者は、近くに住みたいとは思わないでしょう。
 上の撮影で呼び止められたが(それを経験したかった面もある)、中国はサミットに関係ねえだろう!




 江戸時代、旗本屋敷の池に棲む大がまが人殺しの罪をわびて、防火につとめると誓った言い伝えが残る池(旧赤羽川水源のひとつ)で、十番稲荷神社にがまの像があります。
 現在はマンションの敷地とされ、以前NHK『ブラタモリ』で、マンションの住人に撮影を依頼した? 印象から、のぞけないと思っていたが、現在駐車場となる場所からチラッと見えました。中央左側に見える波紋は、カメ or 鯉によるものか。
 以前はタイトルリンク先のような庭園でしたが、水量が減っても埋め立てないのは、湧水の上に建築物を建てるのは容易ではないためか?

 付近の麻布学園(おもしろそうな学校)グラウンド下の狭い谷筋には、以前の水場に集まった住宅が残り、日本のオアシス(谷筋)の典型的な姿と出会えます。
 いまどきは、背後にそびえる元麻布ヒルズのように高級ブランド的な再開発をしたいらしいが、窮屈そうでも地域文化に根付いた庶民の生活空間は、したたかに根を張ります。
 付近に越してきた外国人に、ゴミ出しの説明をする様子(?)に遭遇し、「Youの日本文化への関心の持ち方は正しい。Good Choice !」と声をかけたくなりました。


 周辺にはいくつもの湧水が現存しますが、水量減少・水質悪化から上水に利用できないためそのまま下水に流されます。もったいない気もするが、六本木ヒルズ周辺では埋め立て(土を盛る)だけでなく、地下水脈を断つような工事が行なわれたのではないか?
 湧水を断ってしまうと土地は潤いを失い、やがて砂漠となりそうだが、水分を抜いて地盤の強度を高めることが都市整備と言われれば、反論の余地はありません。
 確かに、都心の宅地は斜面ギリギリまで土地活用を目指すので、水分を多く含む湧水付近の土地では土砂災害への対策が必要になります。
 その一方、人工都市の上では、管理された水辺が人々を潤わせています。


 上は、以前の谷筋(中央の道路が流路と思われる)を、丸ごと再開発した地区。
 高層ビルの建築制限地域かも知れないが、地形を生かした低層の再開発は、流路を道路とするコンセプトを含め、ひとつの理想型に見えます。上空を利用できないので超高級物件となりそうですが、売れちゃうのが不思議です。
 地下水脈を止め、排水設備をどれだけ整備しても、大雨時に水が流れ込む場所柄は変わらないので(舗装された道路の上を濁流が流れます)、不動産購入時の事前チェックって大変そう、と思ったりします(これは完全に負け惜しみ……)。


狸坂

 いまどきの陽気のいい季節には、時折自宅まで歩いて帰りますが(40分弱程度)、その際下から見上げるこの坂には常々「こんな急坂は登れない」と感じるも、普段とは違う機会に登ってみるかと。
 坂の下が上述の谷筋で、谷の反対側には狐坂の名を持つ坂があります。「狐と狸の化かし合い」では、狐は女性に、狸はお坊さんに化けたらしい。
 狸は現在も都内で生息が確認されるも、狐はいつ頃まで見られたのか? 狐は神話という気もしますし、神の使いと俗世の生き物が対峙する「生活の場」だった、とも受け止められる名称です。



 にぎわいが響く右の施設は結婚式場で、教会は坂の上が似合う立地に加え「麻布の教会」という響きのよさも、女心をくすぐりそうです。
 土曜日は在宅率が高いためか、付近で不動産関係らしき営業マンを見かけます。交通が不便で「陸の孤島」だった時分から残る古い民家を目指すようです。

 人と狸が共存していた時分の環境というのは、自然界と人の暮らしの距離感が保たれたようで、誇張はあっても映画『平成狸合戦ぽんぽこ:1994年』の主張が、抵抗無く受け止められる気がしました。
 オアシスの湧水を断ったり、下水に流すのではなく、自然の流れの畔での生活が理想と思うが、難しそうです……


追記──「ゲス」なく、是非「アモーレ」に!

 今年の流行語(?)として、ハマりすぎる場面で使われる「ゲス」は食傷気味なので、「アモーレ長友」の流行を期待したい! 何と言っても、彼の態度には男としてのカッコよさを感じるし、祝福しようと笑顔になれます。
 世間にも、吐き捨てるような「ゲス」ではなく、祝うような「アモーレ」が響けば、どれだけ明るくなることか!

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