2009/04/22

思い入れのある者は急ぐべし──下北沢

2009.4.15
【東京都】

 駒場公園(Map)

 「駒沢」ではなく「駒場公園」なので、あまりなじみが無いかと思われます。
 東京大学の駒場キャンパス(教養学部)と、駒場リサーチキャンパス(先端科学技術研究センター、生産技術研究所)に挟まれた場所にある庭園です(京王井の頭線駒場東大前下車)。ちなみにここは目黒区で、区立公園になります。
 この地には昭和初期、加賀百万石と言われた(石川県)旧前田家の駒場邸が建てられ、現在も保存公開されています(洋館は土・日・祝日のみ公開)。
 まあ「前田の殿様」ですから、これくらいの屋敷を持っていても不思議はないのですが、時代も変わり明治以降は華族令によって「侯爵(こうしゃく)」と呼ばれていました。
 華族令とは貴族階級を規定する法令で、(偉い順に)公爵・侯爵・伯爵・子爵・男爵の5爵に階級分けされたそうです。
 きっと「殿様と侯爵と、どっちが偉いんかね?」という疑問があったでしょうね。
 侯爵は貴族院議員となれる特権を持っていたそうですから、お飾りであっても偉かったようです。
 第二次世界大戦敗戦後の1947年(昭和22年)、日本国憲法(現憲法)の施行によって貴族院と華族制度は廃止され、そんな階級も消滅します。
 現代においては、貴族階級という言葉の響きにはどうも「いやらしさ」を感じてしまうのですが、「殿様」という響きには、何か憎めない「おおらかさ」があるようにも感じられます。
 それは、水戸黄門など庶民派として描かれるお殿様の人気が高かったりと、時代劇をうのみにし過ぎるせいかも知れません(バカ殿は関係ないと思います)。
 本物の殿様の前では頭も上げられず、お姿も拝めなかったことでしょう……


 上写真は同じ殿様屋敷「和館」の広間にある化粧板に映るガラス戸と庭の様子。


 東大先端研(Map)

 何年か前に東大先端研(先端科学技術研究センター)を見学させてもらったことがあり、写真の建物内にある直径3mの風洞施設を目の前にし、鳥肌を立てて食い入るように眺め回していたことが思い出されます(子どものようでした)。
 風洞施設とは、巨大な筒を横にして風を流し、対象物を観察する測定スペース(5m程度)の先にある筒で風を吸い込む設備です(トンネルの間が5m程度見えているイメージ)。
 1930年(昭和5年)に作られたそうで、戦闘機のゼロ戦、YS-11(国産旅客機)、東海道新幹線などの実験に使用され、現在ではスキージャンプの練習などに使われるそうです。
 その風洞施設は航空研究所時代に作られたもので、当時この研究所では、エンジンの試作や機体に使用する合金等、最先端の研究・開発が行われていました。
 そこから生み出された「当時最新鋭」の戦闘機が、戦争につぎ込まれていったことになります。
 現在の先端研では「情報」「バイオ」「環境エネルギー」「材料」「バリアフリー」「社会」という研究分野をテーマにしているそうです。
 それらが、実現・完成したらすごいだろうという期待感は、戦前の戦闘機に対するものとさほど変わらないと思われます。
 重要なのは、平和的な利用だけに制限できるか、ということですよね!(賛同を求めています)


 下北沢(Map)

 下北沢駅では井の頭(いのかしら)線は高架なので、地上を走る小田急線が地下化すれば(現在工事中)、その空間を再利用できることになり、東京都、世田谷区は駅周辺の市街地整備計画を進めています。
 区画整理により、道路を新設して(緊急車両の通行を含め)駅前にロータリーを作り、バス停を設置する計画だそうです。
 ですが、国の都市再開発法の市街地再開発事業には含まれておらず、一般的な「再開発」とは言わないそうなので、反対派も交渉での上積みはあまり望めないかも知れません。
 そこで都側が気前よかったりすると、後で知事が怒るというような構図が想像されますが、いつになったら改善されるのでしょうか?

 小田急線では延々と複々線化工事が続いていますが、現在工事中である下北沢駅付近の完了予定は2013年度だそうです。
 計画には、いにしえの出来事と思えるような、代々木上原からの千代田線接続工事(昭和53年開通)も含まれているそうで、もう追いかけるのやめました。まだ新宿方面にも工事計画があるんですって。
 そうそう「輸送力増強設備投資のための運賃値上げ」(工事費を前倒して運賃に上乗せする:乗客に借金)がそのままではあるまいか?
 何でも「特定都市鉄道整備促進特別措置法」という、10年以内の積み立てを可能とするが工事終了後は利用者に還元する、という法律があるんだそうです。
 でも小田急のように、部分完了したら次の区間が始まる、という方式では、わたしたちの目の黒いうちには値下げの恩恵は受けられそうにありません。
 でもこれはある意味、将来への投資であるわけで、年長者が後継者への還元(お金ではなく便利さ)を期待した積み立てになるわけですから、ビジョンとしては成り立つと思われます。
 困るのは正反対の構図になる年金制度です。官庁に任せていては、らちが明かないので、何かいいモデルのアイディア(これからでも、団塊世代をその気にさせて積み立てさせる方策等)はないでしょうかねぇ?


 小劇場、ファッション街、飲み屋はいまも健在ですが、わたしの記憶には上写真(2枚)の駅前食品市場の印象が強く残っていました(ガキのころ、父方の伯母と買い物に行った思い出かも知れません)。
 1980年代までは栄えていたそうですが、いまや風前のともしびです。
 経営者の高齢化等もあったのでしょうが、町が生まれ変わる時期がちょうど潮時なのかも知れません(戦後の闇市の名残なんだそうです)。

 若いころからこの駅を利用しており、小田急線下りホームの先頭車両付近で電車を待つとちょうど正面に、渋めのビリヤード場が見えていました。
 ずっと「大人の世界」と感じていて、一度だけ入った記憶があります。「なるほど、こんなもんか」と感じたことが思い出されます(あこがれなんてそんなものですよね)。
 そのホームからの絵が撮りたくて真っ先に向かってみれば、工事用の鉄板に覆われていて何も見えませんでした(営業はしていました)。
 下北沢の風景が変わってしまうのは時間の問題です。思い入れのある人は急ぐべし!


 代々木八幡宮(Map)

 訪問の動機は前回感じた「駅名は知っているのに訪れたことのない場所」へ行ってみよう、というものです。
 鎌倉幕府第2代将軍、源頼家の家来によって建てられた、鶴岡八幡宮の流れをくむ神社だそうです。
 参道に敷き詰められた玉石が印象的で、場所柄も小高い丘にあり、たたずまいには貫録があります。
 しかしこの丘からは、縄文時代の住居跡などが発見されており、代々木八幡遺跡の史跡に指定されているそうです。
 神社を建てたときには、そんなこと考えてもみなかったことでしょう。
 見晴らしのいい場所だ、と思ったら先客がいた、というのは良くある話しで、縄文〜鎌倉時代までの日本人の感性は似かよったもののようですが、さて、平成時代の感性はというと……

 神社前の山手通りに巨大な建造物が何本も立っています。何だと思います?
 首都高中央環状線(C2)の建設は地下方式と聞いていたので、この上に道路を作るものではありませんし、これはもう完成型です。
 地下道路の排気ガスを排出するための換気塔なんだそうです(45mの高さがあるそう)。
 平成時代の願いとは「排気ガスよ、天まで届け!」というものになるのでしょうか?
 その反論として首都高速道路(株)は、「地下には9ヵ所に換気塔が設置され、地下の排気ガスはここから濾過装置を使って、二酸化炭素を90%、浮遊粒子を80%除去して排出されるため、地上を車が走るより、ずっと環境に優しい道路と言えます」という、優等生的に胸を張った設計理念を披露しています。
 ならば、走る車を全部そうした方が、全国的にも「はるかに、エコ!」なのでは、と思ってしまうのですが……
 そこは譲って、この場を実験場として効果が確認されたなら、他でも導入してもらいたいと思います(お金掛かりそう…)。
 しかしそこには、いくらお金が掛かろうとも、東京は世界に誇れるニッポンのシンボル都市にする必要がある、という意図が見える気がします。
 それは東京が、それだけ劣悪な環境であることを認めていることにもなるのですが……


 代々木公園(Map)


 薄紅色の花はもう十分なので黄色い花を撮りたいと、菜の花の記憶をたどって代々木公園まで歩きました。
 あるにはあったのですが、花壇に植えられている程度しかありませんでした。
 以前は他でも、菜の花をよく見かけた気がするのですが、何か絵になる風景には出会えません。
 これからテーマにしてちょっと探してみます。
 ──隣接する明治神宮は、菖蒲の季節にと考えています。

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