2009/07/20

「トトロの森」という名の重み──狭山丘陵

2009.7.11
【東京都、埼玉県】

 関東地方は梅雨明けが発表され、連日暑い日が続いています。
 よく「梅雨明け10日」(暑さの厳しい晴れの日が続く)と耳にしますが、関東地方だけが梅雨明けという変則的な状況のせいでしょうか、今年の本格的な夏の到来は、もう少し先のようです。
 それでも、各地を襲っている梅雨末期の大雨が、関東だけは「もうありませんよ」の予報は当たっているようなので、納得できるところです。


 村山貯水池(多摩湖)(Map)(東京都)

 幼少期の体験によると思いますが、どうも「貯水池」という響きには、イコール「遠足」というイメージがあります。
 通っていた小学校から、子どもの足で徒歩1時間半程度(?)の場所に貯水池があり、歩いた覚えがありますし、この地(後述のユネスコ村を含め)も訪れた記憶があります。
 その時にどう感じたかは別にしても、「貯水池に行ったこと」は印象に残っていますから、施設の存在を記憶に焼き付けることはとても大切なことと思われます。
 通った高校が前者の貯水池の近くにありましたが、当時は近寄ろうともしませんでした。
 そんな年頃の「気分」って、何なんでしょうね? 心中までは覚えていませんが、部活のランニングにしても近寄らなかったことだけは覚えています……

 ここは1924年に完成し、東京近郊の水源のひとつとされています。
 東村山浄水場、境浄水場に原水を送水するそうですが、バックアップ用として東村山浄水場経由で朝霞浄水場及び三園(板橋区)浄水場にも送水するそうです。
 そんな送水ネットワークがあること、初めて知りました。さすがと言うか、安心な暮らしには、それだけのライフライン整備が必要なようです。

 付近一帯には、西武グループによるレジャー施設群が密集しています。
 ダム脇には西武遊園地があり、遊園地と西武球場を結んでいる、西武山口線という路線があります。
 以前は「おとぎ列車」という遊戯施設の一部でしたが、1984年から新交通システムとして再スタートしたそうです。
 車窓からゴルフ場が見えるのですが、丘陵地帯を「地形のまんま」に設定したコース(斜面に芝生を植えただけ?)には驚きました。
 プレイヤーたちは夢中でしょうから、気にならないのかも知れませんが、コースを回るだけでも「いい運動になりそうだ」と思ってしまいます……


 旧ユネスコ村(現在ゆり園)(Map)(埼玉県)

 何だか、お供えの花のようですが、花の盛りを過ぎたので入園無料の「ゆり園」から撮ると、花が少ないのでこうなってしまいます(背景は西武ドーム。試合中なので声援が響き渡っています)。
 ──話しはそれますが、現在暮らしている新丸子の中原街道沿いでは、旧盆(7月15日が中日)に「迎え火」「送り火」の風習を続けている家が多いことに驚きました。街道沿いでは、古くからの家が代々続いているようです。


 以前この場所には、ユネスコ村というテーマパーク(世界各地の家屋や建造物のレプリカを展示した施設)があり、幼少期に遠足等で何度か訪れ、大きな風車があったと記憶しています。
 時期は忘れましたが再訪したことがあり、建造物群がハリボテの子供だまし的なモノであることを知り、ガッカリした覚えがあります。

 ユネスコ村は、1951年〜1990年まで営業の後、1993年から「ユネスコ村大恐竜探検館」として再開したそうですが、それも2006年で閉館し、現在は園内の一部が「ゆり園」となっています。

 大きな風車は丘の上にあったという記憶があるのですが、こんな急傾斜地にさまざまな建物があったとは思いませんでした。
 おそらくガキの頃は、この坂を駆け上がっていたんだろうと思います。
 もう、階段を上がるだけで汗だくです……


 山口貯水池(狭山湖)(Map)(埼玉県)


 人口増加の著しい当時の東京市近郊への水源確保のため、上述の村山貯水池に隣接して建設され、1934年に完成したそうです。
 「水源地はできるだけ近場がいい」との発想はとてもよく理解できますが、ここからの供給量は限られています。
 工事中には、奥多摩湖の準備が始まっていたそうですから、おそらくここは、つなぎ的な施設として考えられていたようです。

 それでも東京近郊の水瓶と考えられていたため、二つの貯水池周辺には水源保護林が確保されており、東京近郊としてはとても貴重な、広域にわたる自然林が残されることになります。
 看板には、絶滅危惧種のオオタカも生息するとありましたから、かなりの広さがあるのだと思われます。
 裏(北)側には大学の施設もあるようなので、アプローチだけでもと足を踏み入れたのですが、水辺にありがちなホテルが並んでいるので、引き返しました……


 トトロの森(Map)(埼玉県)

 1988年公開の映画『となりのトトロ』において、舞台設定のモチーフにされたと言われる丘陵地が、この周辺になるそうです。
 ──もっと北側の、西武新宿線の狭山市駅方面であると勘違いしていました。

 付近一帯の狭山丘陵では、以前から自然環境や文化財等の保護運動が続けられていて、1990年「トトロのふるさと基金委員会」を立ち上げ、ナショナル・トラスト活動(寄付金や会費などによって森林や海岸、歴史的建造物を買い上げ、保全を行う活動)が始まったそうです。
 宮崎駿監督の賛同を得て「トトロ」の名称を使用しており、時折、宮崎さんが参加したイベントが、ローカルニュースで取り上げられていますが、組織にとっては大きな広報活動になります。
 2008年11月時点でこの団体は、所沢市内に9ヶ所のトラスト地(信託地:一定の目的に従って管理・処分を任せた土地。その合計面積は約1万5567平方メートル)を所有していて、その合計金額は約2億480万円に及ぶそうです。
 また、近くの東村山市(東京都)の雑木林を、宅地開発から守るために集められた募金を東村山市に寄付し、市側ではこの寄付金を活用して緑地を買い取ることにしたそうです(住民が「主」なのです)。
 ──近隣に、実在の地名として「八国山」の名があるそうです。映画での「七国山病院」を想起します。余談ですが、大阪府高槻市の保育施設の送迎用として「ネコバス」(デザインはちがいます)が走っていました。


 ここは、上述の貯水池の川下側にあたるので、水源地保全区域等には当たりません。
 それゆえ地元の人たちにとっては腹立たしい開発が、続けられてきたのかも知れません(それって西武批判?)。
 対象企業は他にも多数あるでしょうが、近隣住民の方々がここまでの行動を起こすというのは、とても大きな問題です。
 開発をするのは資金力のある企業になるのでしょうが、地元の人たちにも納得できるものを目指すべきで、それを放置してきた自治体に対する住民たちの「抗議ののろし」とも受け止められます。
 これは地域住民が、お金儲け側に群がっていた地方行政に対する「No !」を突きつけたことになります。

 「トトロの森」という名を利用する団体にとっては、知名度があるので応援を受けやすいと思われる反面、子どもたちの夢を育んできた「名」を汚してしまうと、リアルタイムから接してきた親世代を含めた人々にも、失望を与えることになります。
 何たってそこには、子供心を忘れられない大人(?)を含めた多くの人たちの「夢と希望」が込められているのですから……(これは応援です)


 ※「ポニョの浦」(広島県 福山市 鞆の浦)の、埋立て架橋計画問題は、何としても計画変更してもらいたいので、機会がありましたら足を運んでいただきたいのと、その率直な感想を広めていただきたい、と切に望んでおります。
 しつこいかも知れませんが、わたしはあのノスタルジックな景観を保った港を「瀬戸内海のヘソ」(最重要地域)と思っております。

 自分で書きながらも上記の文章を振り返ると、宮崎監督の問題提起は見事に伝わってきている、ことに気付かされます。
 各映画に対する評価のデコボコは横に置いといても、映画群から感じることは「信念の大切さ」なんだと思います。

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