2012.1.28
【東京都】──「山手線を歩く! ③」
このところ東京では「この冬一番の寒さ」が日々更新されている印象がありますが、ひと息つける陽気が一日でもあると「この辺が底であって欲しい」と思うと同時に、春への期待感が芽ばえてきます。
全国的にインフルエンザは「警戒レベル」とされますから、まだしばらくは気を緩めぬようお気をつけ下さい。
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大崎駅(Map)
これまで大崎駅にはあまり縁がなかったため、少し前にでっかいビルが建ったことと、以前なぜか「キャッツシアター」があった程度の印象と言ったら、住民の方に怒られるか?
そうそう、山手線には「大崎止まり」ってやつがありますが、目的地が大崎より先の場合、あなたは乗りますか? 次を待ちますか? 普段から遅刻のいい訳に使いますか?
自分は乗る派ですが、他で車両故障があり「このまま運行します」の○もあるが、大崎駅で次の電車が来ないと地下鉄がないため、埼京線・りんかい線の開通以前には、ホームで立ち往生した×もあるので、悩ましい選択肢ではあります。
それは車両基地があるためで、山手線の運転ダイヤは始終点である大崎駅が基準とされます。
そんなのどうでもいいけど「ついてねぇ、大崎止まりだ!」と、憎まれ役としての認知度が高い気がします……
上写真は、山手線、新幹線・横須賀線と、湘南新宿ライナー・りんかい線・車庫線の交わるトライアングル地帯なので、鉄道マニアがいそうと思うも人影はなく、車両が通る度にほえる電車好きな犬(って結構いますよね)の姿しかありませんでした。
居木(いるき)神社(Map)
ここは丘の上にたたずむ居木神社で、創建年代は不明ですが現在の山手通り居木橋付近にあったとされます。
室町時代に品川宿から多摩方面への街道整備に伴い、目黒川に居木橋がかけられます。
古い地図は見てませんが、現在の地形からもおそらく目黒付近から川の周辺では氾らんが繰り返されたように思えますし、大崎から河口に広がる三角州のような場所に八つ山を削った土砂を利用して品川宿が整備された絵が思い浮かびます。
「浮浪雲:はぐれぐも(ビックコミックオリジナルに現在も掲載中らしい)」はそんな場所に出没したのでしょう……
上写真は門前にある、居木橋貝塚から掘り出された石で作られた灯ろうですが(ガサガサした表面は貝殻等のせい)、結構しっかりした石なので、貝塚ではないような気もします。
大崎という地名は、山手線内側にある御殿山とは目黒川をはさんだ西側に位置し、戸越や馬込の仲間である下町に属します。
それら集落の広がる丘陵地が東京湾に大きく突き出した姿は想像できるので、古くから住みやすい土地柄だったようです(地名由来には他説もある)。ちょうどこの辺りに江戸市中との境界線が引かれました。
この神社に奉納される絵馬には文字がくり抜かれた、厄除、八方ふさがり除、病門除、鬼門除、災難除の5種類があります。
「先を見通す」等の意味かと思ったら、手にした時点では抜かれる部分に彩色された「文字:災い」があるので、それを「落として」祈るそうです。
自分の手で不安を落とす行為には、きっとプラスαの実感が得られることでしょう。いいアイディアと納得です。
ゲートシティ大崎(Map)
でかい建物なのに山手線の車窓から見えないこともあり、「できたらしい」(1999年オーブン)印象のまま現在に至り、今回初めて足を踏み入れその施設の立派さに驚きました。
計画段階でバブル崩壊の影響を受け、見直し後の建造物がこれですから「バブルの後ろ髪を引かれる」印象が強く、運営が成り立つのか疑問に感じたりします。
以前はソニー・明電舎等の工場があった目黒川沿いの土地柄から周辺の再開発は進みませんが、2002年の埼京線・りんかい線・湘南新宿ライン開通から開発が加速されます(目黒川の洪水対策はクリアできたんですよね?)。
土曜日訪問のためビジネス街の日常風景はうかがえませんが、飲食店街には「参ったなぁ、いつまでもつやら」の声が聞こえそうな印象がありました。
その一方、誰でも利用可能なフリースペースは盛況で、かなり広い円弧状のガラス越しに景色を眺められる座席は、全部埋まっています。
大規模再開発には、自治体や住民の意向を取り入れるよう定めた条例等があるのでしょうね、ここでの勝者は周辺住民ではないか、という気がします。
施設内には長めの動く歩道が複線であり、それをよろこぶ幼児が両親を引き連れて何度も往復してたりします。人の少ない土日の楽しみなのでしょう。
外は寒いですし、施設内で遊べば省エネになりますから……
大崎ニューシティ(Map)
ここは上述施設より早い1987年に完成した「大崎ニューシティ」で、名称は「?」ですが「ゲートシティ大崎」よりはるかにコンセプトが明確な再開発地区です(以前星製薬・日本精工の工場があった場所)。
オフィス棟と共に、ホテルニューオータニイン東京の宿泊施設、美術館、飲食店街が上写真の「O歩道橋:英字Oの形状による」で駅と結ばれ、ここにはサンリオ本社などが入居しています。
なぜ大崎の再開発が大規模かというと、1958年東京都が都心の機能分散を目的に池袋、新宿、渋谷を副都心に指定したことに始まり、1982年に上野・浅草、錦糸町・亀戸、大崎が、1995年には臨海副都心が追加され、7カ所が副都心(業務指定地区)に指定されたことによります。
当時耳にしたら、上野・浅草や錦糸町・亀戸と大崎が並ぶの? と思ったでしょうが、当局側には、りんかい線や湘南新宿ライナー開通のビジョンがあったようです。
いまどきでは、品川の方がふさわしいように思いますが、あの一帯は都が旗を振らずも民間企業主導で再開発が成立する、との読みは正しかったようで、メインの開発は民間主導に任せ、余り物(売れない土地)を都が面倒を見るようなスタンスに見えてきます。
アートヴィレッジ大崎(Map)
映画『スタートレック』に登場した宇宙船のような構造物が迎えてくれるのが「アートヴィレッジ大崎」で、ホームページを見てもよく分からないオフィスビルと、賃料月20万円以上の賃貸マンション棟があります(手前のビルには「日立システムズ」の看板がありそこだけは分かりやすかった)。
上写真も一環なのでしょう、ゲートシティも含めて周囲を「アート作品で飾ろう」とする、「アートで島おこし:生口島、直島、佐久島」的なコンセプトがあるようです。
田舎町であれば、多少気に入らない作品でも周囲のロケーションが借景として助けてくれますが、ビルの谷間では和ませようとする意図も伝わらず、「邪魔くせえ」と感じる「アート?」が結構多かったりしませんか?
アートは主張ですから、それがうるさいと感じるのでしょうね……
このビル群が建つ前に山手線から見えた「何でこの地に?」のキャッツシアターは、横浜みなとみらいに移転しました(跡地には大きなビルが建っているようです)。
大崎広小路(Map)
山手通りを五反田方面に向かうと、道路脇のバリケードの中に、巨大なタイヤを片側に8本も付けた(計16本以上?)クレーン車が止められています。
通り沿いの地下を通される「首都高の建設現場」と思うも、東急池上線「大崎広小路駅」付近の路上に巨大な橋桁が置かれる姿(上写真)を目にすると、「これを持ち上げるためか!」に結びつくので、かけ替え作業直前だったようです。
古い橋桁を外し、新しい橋桁をのせるのですから、通りを通行止めにできる深夜の作業になるのでしょう。
その付近の橋脚を見ると、年月を経てヒビだらけの頼りない姿に見えますから、東急沿線では大きな工事が続いたこともありますが、後回しとされたローカル線(?)でも、ようやく重い腰をあげたような印象を受けます……
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