2017/06/19

別世界への誘い──等々力

2017.6.3【東京都】──「谷沢川を歩く_3」

 この日は、一度終点まで乗りたかった「等々力操車場」行きのバス(東急)で向かいますが、慶応義塾東門から所要時間50分って結構な長旅です。





 上下線の線路に挟まれた島状ホームに改札もあるため、ホーム両側に踏切があります。いまどきは平面交差も少なくなりましたが、効率を求めないのんびりとした空気が駅周辺の地域文化とも。
 東急は危険性回避(左端の警備員配置を止めたい)を含め、地下化を目指すようですが、ほど近い等々力渓谷を深く浸食した地下水への影響が心配になります。



 橋の脇で谷底に誘う別世界への入口のような階段は、足を踏み入れる者の期待を裏切りません。
 入り込んだ瞬間の、日常とのギャップがもたらす「快感」は、何度来ても色あせないので、変わらないでもらいたいと。
 上流から歩いてきたため、キレイな水ではないと知っていますが、渓谷周辺の環境が保全されるおかげで「森林浴してる〜」の声が聞こえるような、癒しの空間となっています。
 以前付近にゴルフ場があったことから、奥の赤い橋は「ゴルフ橋」とされます。

 下の等々力不動を建立する時分は、「山には雲が漂い、谷には清い泉が吹き出していた」らしいが、現在右の不動の滝は申しわけ程度の水がしたたるばかりです(季節差がありそう)。
 ビルの建設が増え、その影響が地下水に及ぶため都市部では飲用不可となり、湧水はそのまま下水に流されます。
 飲用は不可でも、湧水の潤いを感じたいとのわがままを(現在はマンホールから響く水音だけ)、水と闘い暮らしてきたこの国の英知で、何とかできないかとも……



 ここは、駅北側にある満願寺の別院で、ちょうど五月の春季大祭(弘法大師ら先人を祝う大護摩)の、茅の輪念珠潜り(右)が設置されています。京都 赤山禅院でも念珠の輪をくぐったが、茅の輪くぐりは神社の厄払い行事では?
 神社にくぐり方の作法案内が立てられるのは、ご利益があれば何でも受け入れる日本人の無作法を、しきたりで掌握しようとする戦略に思えます(ここにはない)。
 形式へのこだわりは日本的なので文句はないにしても、それゆえ窮屈さを覚えることもありそうと……




 ここは、下の野毛大塚古墳より新しい、5世紀中ごろ(約1,550年前)に造られた大型の帆立貝形古墳とされます(非公開)。
 保存を決定した時分の姿を守ることも大切だが、地上部くらいは公開してもよさそうと思うも、近隣の苦情に配慮が必要な住宅地なのかも。
 後の時代に立てられた石仏が並ぶ様子は、時代劇等で目にする街道筋の無縁仏のようにも……



 この古墳(5世紀初頭の帆立貝式古墳で、写真手前がちょうつがい部分)は、ゴルフ場跡地に公園やグラウンドが併設されたオープンな場所なので、ガキ時分に「東京の古墳で遊んだ」は自慢になりそう(以前、斜面がソリで削られた姿を目にした記憶がある)。
 周辺の野毛古墳群では最大規模で、中央(畿内王権)と結びつきを持つ大首長墓とされ、当時から多摩川を見下ろす高台は一等地だったらしい。

 隣接する国の公務員等々力宿舎は閉鎖され、今後世田谷区の公園に生まれ変わるそうで、完成後に是非。



 学生時代、三浦半島へ向かう際(地質調査? 遊び?)よく利用しましたが、スカッと走れるのはここだけなのに(日本初の6車線自動車専用道路)、渋滞続きの環状八号線やこの先の横浜新道をよく辛抱したと……
 少し前、同年代の車好きから「第三京浜(16.6km)を『ホテル・カリフォルニア:イーグルス』(6分30秒)が終わるまでに走り切れるか競った(153km/h) 」と聞き、知らなかったがやってそうな時代の空気感がよみがえり、不思議な時代だったと(高度成長後の個の目覚め?)。
 当時ここでは速度取り締まりをやってない、との都市伝説を耳にしました(どの車もガンガン飛ばしていた)。


多摩川との合流地点


 久しぶりの多摩川対岸には、ギョッとするような武蔵小杉のビル群がそびえています。機を待っていたようなビルも建設中で、まだニョキニョキと生えてきそうです。
 転居後も通った理髪店が閉店し(困ってます)、居住アパートの閉鎖まで1年を切り、希望転居先の以前暮らした小杉御殿も難しいようで、付近との縁も切れそうと。
 理髪店のおばちゃんとの「以前はハリガネのようだったけど、随分細くなった」なんて付き合いも思い出と……


追記──パンダの赤ちゃん誕生!

 騒ぎ過ぎとは思うも、無事育って欲しい願いは同じです。
 そんなニュースを受け、上野周辺店舗の株価がストップ高となりました。
 明るい話題が地域活性化の期待感を高め、ご祝儀(?)などのお金を動かす原動力になることが、相場の本来の姿ではないかと。
 まだ無事の成長を祈る段階ですが、パンダの威力のスゴさを改めて感じます……


追記──父が亡くなりました

 入院が長かったので覚悟はできており、不思議なくらい淡々と受け止めています。
 家族と見送るため、来週は休みます。

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