2019/10/14

ゆる〜い求心力──高円寺

2019.9.28【東京都】──地下鉄 東西線を歩く_45

 東西線は中野までですが、直通運転終着の三鷹まで歩こうと思います。
 中野と高円寺は川も含め桃園(ももぞの)の記憶で繋がりますが、町の空気は環状七号線で分断されたような違いがあります。


 中野マルイ裏の飲食街にある右の桃園稲荷神社(町会の桃園会館前に鎮座)は、商売繁盛の神は場所柄から手厚く守られるようです。桃園会館は昔ながらの集会場ですが、町会行事日以外は一般に貸し出され、 駅に近く料金が安いため様々な催しが開かれる人気のイベントホール(演芸場)らしく、味がありそう。
 中野駅周辺の再開発は、レンガ坂の線路側が対象地域なので付近は含まれませんが、消えゆく線路脇の姿に、渋谷ヒカリエ以前の銀座線脇にあった飲食街を想起しました。
 周辺は八代将軍 徳川吉宗が桃の木を植えさせた桃園にあたり、飲食店のルーツはそのあたりなのかもしれないと。


 上は、桃園川緑道(暗渠化され現在は下水路)沿いにある見事なさびれ方のアパートで、蔦が人の気配まで覆い隠すようですが、玄関には人が出入りする生活感があります。共同住宅でも気楽に暮らせそうな印象で、騒がしい時は壁を叩き「うるせえ〜!」で済みそうと……

 右の高円寺(曹洞宗)は、三代将軍 家光が鷹狩りの度に立ち寄るお気に入りで、周辺を高円寺村に改称したそう。付近にも桃園が広がっており、本尊は「桃園観音」、寺は「桃堂」、門前の流れも「桃園川」とされる、桃づくしの花見名所でしたが、江戸末期には枯れてしまいます(徳川家衰退と同時期か?)。


 上は、高円寺氷川神社境内にある気象神社の絵馬掛けに並んぶてるてる坊主。旧陸軍気象部(高円寺北)の気象観測員が予報的中を祈願した、知恵・学問の神とされる八意思兼命(やごころおもいかねのみこと)を遷座したもの。神頼みだった時分に比べ、天気予報の確度は格段に高まりましたが、伝統的な(?)下駄の絵馬に願いを込めるのは(別の絵馬掛けがある)、表裏逆転の可能性があるからか?(映画『天気の子』の聖地だそう)。
 下は駅に近い長仙寺


 中野駅周辺には区の中心地(ビジネス街)の自負があるためか、女性もおしゃれに気を使うように見えましたが、隣の高円寺駅周辺ではそんな意識は感じられません。
 町の雰囲気が一気にゆるむのは、気取りのない町に吸い寄せられた若者が「ゆる〜く」暮らし続け、定着したためではないかと。JR高架下に続く高円寺ストリートで、ビールケースに腰掛け飲んで騒ぐ連中には、上野や新橋に比べ若い世代が多いとのこと。
 地域情報番組の取材に答えるカップルが、横浜から飲みに来たと話すように、若者を引きつける魅力があるようです。

 周辺には1970年代からライブハウス等が並び始め、音楽を志す若者や関係者が集まるようになり、音楽への夢を語る風土が培われます(フォーク・ロック聖地の、高円寺、吉祥寺、国分寺は三寺とされるらしい)。
 夢を追う若者たちが、物価・家賃が安く仲間の多い地域に集まったと言えそうですが、北口純情商店街周辺の下町的な空気にも誘われたのではないか。
 入口の純情アーチ(右)に顔を出すマスコットは「純ちゃん」ではなく、杉並区のゆるキャラなみすけとのこと。


追記──祝! ノーベル化学賞 吉野 彰 さん

 企業に在籍する研究者なので、ゴールは製品化と見定める姿勢は共感しやすいし、成果も日常に欠かせないリチウムイオン電池であることも身近に感じられるので、まっすぐに祝福・感謝できます。奥さんの話では、休日は何も手伝ってくれず、家でゴロゴロ充電しているそう……

 そんな祝福ムードも、台風19号直撃で一気に吹き飛ばされた感があります。自分は被害を免れても各地の大きな被害を目にすると、連休気分は消え去りました。
 丸一日家から一歩も出なかったのは、いつ以来だろうか……

 そんな沈む気持ちに勇気を与えてくれたのが、W杯ラグビー日本代表が初の決勝トーナメント進出を決めた快挙です! 世界に胸を張れる素晴らしいチームです。元気をもらった分、また応援しましょう!

 スタンドで他国の国歌を唱う姿が注目されましたが、日本人のメンタリティに抵抗感はないので、みんなで唱って盛り上げられたら素晴らしいことです。

0 件のコメント: