2019/10/21

地元に愛される活性化を──阿佐ヶ谷

2019.10.5【東京都】──地下鉄 東西線を歩く_46

 気は使わないが猥雑な高円寺よりも、おっとりとした落ち着きが感じられる阿佐ヶ谷の方が暮らしやすそうと……



 上の馬橋公園には以前陸軍気象部があり、高円寺氷川神社境内の気象神社は付近にあったようです。
 旧馬橋地区は、高円寺駅と阿佐ヶ谷駅の中間に位置し、北端の早稲田通りから青梅街道の南側まで縦長に広がり、現在暗きょの桃園川に架けられた馬橋に由来します。
 大正期に、桃園川と中央線が交差する付近に馬橋駅設置が決まりかけますが、周辺住民(農民)の反対で頓挫し、高円寺駅と阿佐ヶ谷駅が設置されることに(中野駅〜荻窪駅間2分割が3分割とされた)。そんな経緯を知ると、休日の快速通過も仕方ないかと。
 右の木々に囲まれた屋敷に通される私道(?)では、虫の標的に……

 以前早稲田通り南側には、お伊勢の森とされる阿佐ケ谷天祖神社(神明宮)の旧社地があり、お伊勢の森児童遊園、杉森中学校に名が残ります。陸軍の兵士がラッパの練習をしたことから、近所では「ラッパの森」と呼ばれたそう。
 江戸時代の武蔵野は杉の植林が盛んで(高井戸の杉は良質で評判)、領地境界の目印として植えられた青梅街道(現在 地下鉄丸ノ内線が通る)の杉並木が、杉並区名の由来とされますが、現在は消滅しました。
 高井戸の杉は、舟竿、幟(のぼり)や国旗掲揚塔の竿に人気だったそう(ガキ時分は木製だった記憶がある)。

 右は杉森中学校に隣接する「Aさんの庭」とされる施設(「Aさん」とは利用者の皆さんの意味だそう)。
 元は、大正時代の民家(木造平屋建て、2LDKの間取り)で、宮崎 駿 著「トトロの住む家」で注目されます。保存運動を受け杉並区が整備中の不審火で焼失しますが、宮崎さんのデザイン画を元に再建されます(2010年)。
 華やかなさはなくても、愛着を持って暮らせそうな家や庭が「トトロの住む家」のイメージのようで、宮崎さんの提案に賛同します。
 下は阿佐ヶ谷神明宮の見事な能楽殿。


 JR高円寺〜阿佐ヶ谷間の高架下では、高架下芸術祭が開催されています。銭湯 小杉湯とコラボしたライブペインティングや、絵画・演劇の若手アーティストが通行する方と作品の制作工程を共有する催しが行われるらしいが、この日は気配すらありませんでした。
 多少の傾斜はあるが、一直線で傘いらずの歩きやすい歩道の活用促進として、JR東日本が2014年開業し注目を集めた阿佐ヶ谷アニメストリートですが、19年に閉鎖となりました(右)。アーケード付き(?)の動線は利用価値が高いと思うので、まずは地元民が愛着を感じる空間を目指すべきではないかと。

 中央線沿線はサブカルチャーの町とよく耳にしますが、イメージできる映画館については、ミニシアターが馴染みやすい町のように見えます(栄枯盛衰は様々ある)。
 右のラピュタ阿佐ヶ谷(名称は『天空の城ラピュタ』より。1998年 48席)は、絶滅寸前の名画座で日本映画の旧作上映を増やしたいとの、応援したくなる志を持ちます。地下に小劇場のザムザ阿佐谷(名称はカフカ『変身』の主人公)が、裏手にはユジク阿佐ヶ谷(名称はロシアのアニメーションのハリネズミの名。2015年 41席 ←ベルイマン特集をやってます! ビル・エヴァンスの映画も…)と、かなりマニアックな感性(昭和の感覚)は刺激的で、応援を兼ねて一度足を運ばねばと……


追記──W杯ラグビー 準々決勝 南アフリカ戦(10月20日)

 ラグビーの基本は力勝負なので、力で勝る相手に意地を見せたい気持ちは伝わってきたが、すべての面で格が上でした。日本中がこれだけ熱狂する大会に盛り上げてくれたのは選手たちの奮闘のおかげですから、汗が似合うナイスガイたちに拍手を送りたい! 
 プロ野球 日本シリーズが裏番組だったように、スポーツ観戦が多様化したことは素晴らしいことと……

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