2014/09/01

いまも寅さんの帰りを待つ──柴又

2014.8.15【東京都】──「隅田川を歩く_23」


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 前回の四つ木で「葛飾区」に接した瞬間、距離的に遠い印象が消え去り「次は柴又へ行こう!」と、江戸川まで寄り道です。


帝釈天(Map)

 柴又駅に降り立つと心がゆるみ、寅さんの「おぅ、帰ったぞ!」のように、われわれも「元気でやってるか、労働者諸君!」と声をかけたい気分に誘われ、テンションが上がってきます。
 この町の楽しさは言葉のやり取りから始まるにしても、駅前の「金運がつく、金のうん○を触りませんか〜」はやりすぎと思うも、開運の報告があるらしい……

 現在は撮影見学の観光バスは来ないため、訪問者数が大幅に減ったのは仕方ありませんが、海外からの訪問者は以前より多い気がします(特にアジア系)。

 御前様を演じた笠智衆さん(1993年没 満88歳)は、亡くなる前年まで『男はつらいよ』に出演されました。
 ご本人は体調を整え準備万端ながら、山田監督に老人扱いされることを嘆きつつも、いわゆる「チョイ役」でも映画一本分の出演料に恐縮した旨を、本で読みました。
 日本映画の歴史的名優を、若い世代に認知させた山田監督の功績は大きく、観客からも「何で御前様は出ないんだ!」とされる看板役者ですから、丁重にお付き合いされたようです(松竹や日本映画の至宝でした…)。

 前回以来、帝釈天門前に近いそば屋「やぶ忠」に誘われていました。
 わたしは素朴な田舎風の「やぶ蕎麦」好きで、中でも「穀物と実感できるのどごし」に引かれるため、「東京ではここが一番!」でいいと思っています(素直なつもりでも、雰囲気も加味されそう)。
 以前お世話になった下町育ちの恩人の、「たかがそばに、千円も払うのかよ!」を理解できるようになったらしく、ここの「せいろ:600円」は必要十分条件クリア+好きです(つゆは辛いので気をつけて)。右も帝釈天。


山田洋次ミュージアム(Map)


 上は「山田洋次ミュージアム」の映画タイトルが並ぶ壁紙。
 江戸川に面した「寅さん記念館」に隣接し、2013年公開の『東京家族』が強調されるような2012年12月に開館しました。
 山田監督の施設もこの地をおいて他には考えられませんし、寅さんとのセットで足を運ぶ方も多そうです。

 山田さんは、わたしが映画に出会う以前から半世紀もの間「日本映画のエース」を張り続け、82歳の今年も新作が公開された「日本映画の大黒柱」と言える方です。
 松竹育ちでヒット作以来は相思相愛関係としても、これほどコンスタントに撮り続けられた監督はいません。
 映画人を育成した「撮影所システム」崩壊後は、映画配給会社は企画への投資会社となり、山田さんのような多作監督を生み出せない状況に至ります。

 右は、いまもリリーが寅さんの帰りを待つ、映画のタイトルバックのようです……


矢切の渡し(Map)


 現在も「矢切の渡し」は手漕ぎで風情を感じさせてくれるようです(もちろん動力は備えている)。
 不定期で、客を降ろして人がいれば「乗りますか?」と声をかけるのが営業らしい。
 対岸に見るものは無いにしても、戻る際「渡し船で柴又に帰る寅」気分に浸れるかも知れません(未経験)。


柴又駅前(Map)

 駅に降り立つ際は「帰ったぞ!」、帰りの電車には「ちょっと、行ってくらぁ」と言いたくなる柴又散策は、まるで映画に入り込んでいた時間のようです。
 帰る場所があるから「風の吹くまま 気の向くまま」では単なる勝手ですが、われわれもフラッと「帰ったぞ!」の気分で立ち寄ってもいい場所ではないかと……

 当然映画が見たくなり『寅次郎 相合い傘』を借ります。
 リリー(浅丘ルリ子)の背負う悲しみや、たくましさは寅さんとお似合いでも、「オレじゃあ、ダメなんだよ…」の吐露に寅の愛情が感じられます。


追記──欧米から「紛争地域」と見られる「東アジア」

 ニュースで知ったそんな評価に、目から鱗がポロポロ……
 外交につまずく日本以外にも、クーデター、国境や島の領有権等で隣国同士がにらみ合う問題など盛りだくさんの地域は、「野蛮な地域」と見られても仕方ないばかりか、北朝鮮からはロケットが飛びますから、中東地域の状況と何ら変わりません。
 近ごろの中国の行動を、ロシアに通じる共産主義的「自分勝手さ」と見てましたが、「集団的自衛権」騒ぎから、以前の日本の「帝国主義」を想起するようになります。
 眠りからさめた日本が爪を研ぎ始めれば、周辺地域がざわめくのは当然です。
 情報分析による避けられない選択としたら、ちょっと怖い気がします……


追記──延長50回はおかしいでしょ!

 全国高校軟式野球選手権準決勝、中京高校vs崇徳高校は4日間の死闘を強いられ、「可能性としてはあるが、あり得ない」と放置された、ルールの犠牲になりました。
 もはや高校生の競技ではなく、プロの見せ物でも自分の体を考えたら、途中リタイアするような状況です。
 その試合に勝った中京が2時間後のダブルヘッダーとされた決勝で勝ったからいいが、負けていたら目も当てられません……
 高校球児の熱戦を応援するのはいいが、社会は未成年の彼らを守る義務があるはずです。


追記──壊れた父の状況報告

 相変わらず話しは通じないも落ち着いたようで、デイサービスに足を運ぶようになりました。わがままなので、てこでも動かないと思っていましたが、楽しみに通うようになり、面倒を見る母・妹の負担が軽減され、ひと安心というところです(わたしも呼び寄せられる回数が減りました)。

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