2015/07/13

アーチが生かされる──旧万世橋駅

2015.6.27【東京都】──「神田川を歩く_26」



聖橋(ひじりばし)


 関東大震災後の震災復興事業として1927年(昭和2年)に完成した、神田川随一の存在感と美しさを誇る橋です。
 東京医科歯科大学・湯島聖堂前の外堀通りをまたぐ橋脚には、車道と歩道の間にもアーチ型の窓が設けられており、隅々まで行き届いたデザインと関心します。
 対となる対岸の構造物はお茶の水駅新宿方面ホーム上にあり、背の低い通路? と困惑する空間は、上のアーチTop部分に当たります。
 重要な公共施設の橋と駅が共存する姿ですが、ビジョンの欠けた悪い手本とされることでしょう。橋名の由来は、両岸の聖堂(湯島聖堂とニコライ堂)を結ぶことによる。


昌平橋


 第5代将軍 綱吉が湯島聖堂(孔子廟)建設の際、孔子生誕地の昌平郷(全員が孔子の子孫を自称する地域のこと?)にちなみ命名します。奥は総武線の鉄橋。
 現在の橋は1923年に架け替えられた鉄筋コンクリート製で、完成直後の関東大震災にも目立つ被害はありませんでした。
 壊れたらまた作るという時代でしたが、最新技術が暮らしを守ってくれる? の期待感から、日本の近代化が広がったようにも……


旧万世橋駅、旧交通博物館


 旧交通博物館前で、蒸気機関車と新幹線の先頭部分を目にする度、ガキ時分から変わらないと思っていたが、消えてしまうとさみしく感じます(2006年に閉鎖)。
 周辺の再開発に伴いレンガ造りの旧万世橋駅が整備され、2013年「マーチエキュート神田万世橋」として生まれ変わりました。
 車窓から目にした草ぼうぼうのホーム跡や、神田川沿いのレンガ造りの建物に入れるとは思っていなかったので、初めて交通博物館に入るようなワクワク感があります。

 私鉄の甲武鉄道(立川〜新宿間)が建設を進めた万世橋駅は、開業時1912年(明治45年)には国有化され、生地問屋街に出現した豪華な駅舎周辺は大いににぎわいます。
 その後、東京駅開業1914年(大正3年)等の鉄道整備から利用客は減少し、1943年(昭和18年)駅は廃止されます。

 有楽町や新橋の高架下同様、柱の間をアーチ構造で支えますが、ここには柱を貫通する右の通路が2本並行しています(以前からあったらしい)。線路の格納庫ではないと思うが……


 アーチで区切られた店舗は小規模なので手作り感や身近さが伝わりますし、川に沿ったの抜け道のような通路には、アメ横の下町探索のような楽しさがあります。
 旧駅舎や万世橋の雰囲気に加えて、川の護岸を手入れすれば、ここどこ? というレベルを目指せるのではないか?
 川面は海水の影響もあり難しそうですが、その整備を最終目標としましょう!
 旧駅舎への階段も公開され、当時の雰囲気が味わえるので、是非!


淡路町・須田町の老舗街


 櫛の歯が欠けるような状況でも、老舗飲食店が評判を集める一画があります。
 旧連雀町(現 淡路町・須田町)付近は空襲被害を免れ、戦前に池波正太郎が通った佇まいが残されます。
 右の甘味どころ『竹むら』目当ての若い女性観光客は、アニメの舞台巡りのようです。
 いまどきの男女が向き合う場所は、告白も、別れ話も、酒ぬきの甘味どころが求められるのか?

 上は服飾関連店舗の看板上部と階上の窓で、気合いが感じられる絵になっています。


 火事で外観が変わった『かんだやぶそば』近くでは、同窓会的な白髪のオヤジ連中から「ちょいと、やぶでものぞいていこうや」の声が聞こえます。
 いわゆる「粋がる」表現ですが、そば屋では気取りもないわけで、やはり庶民の正しい「粋がり方」と感じます。

 上は『竹むら』に面した、あんこう料理『いせ源』。
 万世橋駅前のにぎわいが消えても食文化が残ったのは、庶民の味に対する愛着という気がします……


おまけ── 2015.7.10 六本木 朝日神社「ほおずき市」

 ニュースで浅草のほおずき市の様子を目にしましたが、六本木でも開かれるとは知りませんでした。
 境内は狭く催しなど無理と思っていたが、今年で10年目という神社おこし的なイベントのようです。
 ですが、足を運んだのは夕方とはいえ「本日販売予定のほおずきは完売しました」とありますから、季節感として根付いているようです(右はiPhoneで撮影)。


追記──気象衛星「ひまわり8号」の革命!

 2015年7月7日に運用を開始した気象衛星「ひまわり8号」の映像からは、雲の様子が生き物のように見て取れます。
 見る側はカラー画像の豊かな表現力に驚きますが、「それは一端でしかない」と理解の無さを嘆くほど性能が向上しているようです。
 巨額の予算を要しても、画像から受けたインパクトは「お金はこのように使うべき」の記憶に残ると思いますが、新国立競技場建設に従来大会の何倍ものお金をつぎ込む理由は理解できません。
 政治家は「海外へのメンツ」的な表現をしたが、それは格差社会で数少ない「上層」に属する連中のこだわりではないのか?

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