2016/05/02

陽光のいざない──根津美術館庭園

2016.4.16【東京都】──「渋谷川水系を歩く_8」 笄川(こうがいがわ)

 春の陽光を浴びる新緑がまぶしい根津美術館庭園を堪能したので、今回はその庭園の様子を掲載します。




根津美術館+庭園


 根津美術館へは東京メトロ表参道駅から向かいますが、表参道沿いに設置された喫煙所のさりげなさに、これが本来のあり方ではないかと感じます。
 分煙の方針として、互いに気を使う意識を持った「まちづくり」を目指す姿勢は、大人の対応を根付かせるにはふさわしいし、この地にはまっているように見えます。
 ですが、時計の奴隷であるサラリーマンがいっせいに同じ行動をする町では、「仕事を言い訳」にするやからが多いため難しそうです……
 上は藤の花のつぼみ。


 この時季に公開される美術館所蔵「国宝 燕子花図屏風:尾形光琳」(燕子花:かきつばたの読みには自信が無いため、クイズ番組の回答者のような苦し紛れに…)は、伊勢物語の一節を描く作品のため、同時に伊勢物語絵巻も展示されます。
 前座のような伊勢物語絵巻の「雲の細くたなびきたる」もしくは背景省略表現の、端が「⊂」の形をした雲(?)が描かれる屏風絵の、のんびりとした空気感にハマります。
 でもそれは上流階級に限られたことで、庶民は生活を守るために、現代よりも厳しい条件下で自然と格闘していたのでしょう。


 上は燕子花の緑が密集した池の様子で、花が開く前から「燕子花図屏風:国宝」を公開する、季節感先取りの演出は申し分ないものの、花の時季は人気のあまり、庭も絵も落ち着いて見ていられないようです(散策路は交通整理が必要な人出となるらしい)。
 確実に増えたと実感する海外からの見学者に、桜が散った後の新緑の楽しみ方を伝えられれば、四季の中で生きる日本人の理解につながるのでは? とも。

 改築工事を経て2009年新装開館した美術館は、新国立競技場のデザイン案(今度は大丈夫?)に採用された、隈研吾(くまけんご)さんによるもの。
 交差点のすぐ先にあるエントランスながら、竹に囲まれた異空間のような回廊には、足を踏み入れた瞬間に俗世を忘れさせるようなインパクトがあります。
 近くにも、改修中で写真はないが「クマさんの設計」と店員さんが説明する、角材を組んだ建物があります。
 大胆なデザインでも木材を使用すると、受け止める側に印象を和らげる作用が働くようなので、新国立競技場を楽しみに!

 現在も庭園内には、少量ながらもいくつか湧水があるそうで、以前は笄川(こうがいがわ:青山〜広尾は次回レポートします)水源のひとつとされました。
 湧水の豊かな地に、邸宅・庭園造成〜保存されたおかげで、以前の面影に接することができます(東武鉄道元社長 根津嘉一郎の私立美術館)。
 それが、成功者の社会還元なんですね……


追記──ゴールデンウィークも容赦ない熊本地震

 G.W.までに、九州の南北を結ぶ新幹線、高速道が復旧し、被災地復興に欠かせないボランティアや観光等の、人・物資の輸送路が確保されたことは何よりですが、根源たる地震活動が静まらなければ、何も始められません。
 これまでに経験のない地震活動ですが、「小さな断層の集まりが断層帯を形成する地域」「各断層の余震がいくつも重なって発生しているのでは」「震源が浅く押さえつける力が弱いため地盤が割れやすくなる」等により、原因整理の道筋は見えそうですが、地震活動を止めることはできません。とにかく早期の収束を願うばかりです……

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