2017/05/15

驚く変化と気付かない変化──蒲田

2017.4.29【東京都】──「呑川(のみがわ)を歩く_10」

 付近の碁盤目のような町並みは、広大な水田地帯の名残りで、江戸時代には旧六郷用水(多摩川〜世田谷区、大田区へのかんがい用水)が池上本門寺前に通されました。





 駅構内の踏切は少なくなりましたが、池上本門寺の祭事には手動操作で電車を止め、ホームに滞留する乗客を誘導するそう。

 名物とされるくずもち(久寿餅)は、葛粉から作られる葛餅と違い小麦粉を加工して作られる別物で、川崎大師・池上本門寺・亀戸天神社の名物は、どこも「元祖」と主張するらしい。
 育った場所柄、川崎大師のお土産をよく口にし、蜜の甘さ+きな粉+「ぬちゃっ」とする歯ごたえを覚えています(女性陣は大喜びしていた)。




 ここは松本清張の小説・映画『砂の器』の舞台で、冒頭の「マグロ!」の表現から「死体」を想起し、表現・解釈は縛られないことを教わった印象があります。
 蒲田駅(付近の飲み屋)から徒歩で15分程度の距離を体感してみると、被害者(緒形 拳)が加害者(加藤 剛)に続ける説得を止めるには他の手段はないと、意思を固めるために必要な時間だったのか? との想像が可能になります。
 物語とはいえ当時の付近は、暗く、もの寂しかったように……



 蒲田にチンドン屋は似合い過ぎと思ったら、商店街が主催するゴールデンウィーク恒例のファミリーカーニバルとのこと。
 扮装させられた子どもは勝手が分からず、まるで愛想を振りまけません。笑顔で見守る右のオヤジは「芸に厳しそう」ですから、反省会は大変そう……
 人通りが多くゴチャッとした雰囲気が蒲田らしさのため、店舗の移り変わりに気付かなかったが、2012年堀北真希ちゃん主演「梅ちゃん先生」のポスターが貼られた時分から、かなり変わっているのかも知れません。

 一方、高架下と線路沿いの飲屋街の入れ替わりが多いと感じるのは、看板や装飾が派手なためか?(関心の違いですよね)
 以前は吹きだまりのようで、オヤジや汚い店でもOKの女性しか寄り付かなかったが、小ぎれいになった近ごろは、おばちゃん連中が幅を利かせていたりします。
 それって、飲屋街への女性進出というより、オヤジたちの衰退じゃないの? 日本銀行が「物価上昇率2%の目標」を達成しても、オヤジたちのデフレが底を打つことはなさそうですし……



 小さくても遠くから目に入る、蒲田のランドマーク「屋上観覧車」はリニューアルされたようです。
 屋上遊園地閉園の際、「残して欲しい!」の声に押され復活したとはいえ、以前の施設を化粧直ししただけのように…… にぎわう様子から、小さな子どもが遊べる近場の遊園地の必要性がよく分かります。

 周辺には、店頭にメガネ洗浄機を置く眼鏡店が多く、誘われてみればやはりキレイになります。
 サービスによる好感度を、売り上げにつなげようとする地域性は、同様に多かった御徒町に通じそう。



 工場跡地再開発による施設で、戦前は、現在のJR蒲田駅発車メロディ「蒲田行進曲」(リンク先YouTube)のルーツ松竹蒲田撮影所がありました(大船に移転→閉鎖)。
 「○○区民・市民ホール」から『8時だョ!全員集合』の会場を思い浮かべる年代ですが、高品質の音響・舞台装置を備える施設に生まれ変わっては、全盛期のザ・ドリフターズでも受け入れてくれないだろうと。
 充実した設備でも貸出料金が安いため稼働率は高いようですが、多くの自治体が箱を作りましたから、特徴を出さないと生き残れないようにも。




 長期に及んだ高架化工事完了後(2001〜12年)初めての訪問で、一帯の変わりように驚きウロウロしちゃいました(思い出せるのは、パチンコ店や立ち食いソバ程度ですが)。以前のゴミゴミした駅や周辺の記憶を一掃した新駅舎(上)と再開発は、工事中の想像をはるかに越える出来映えで、見事に「今風の駅前」となりました。

 蒲蒲線(かまかません:東急蒲田駅と京急蒲田駅を結び、羽田空港へ向かう)は、現在も検討中らしいが、京急が空港線好調により増益と聞けば動き出すかも知れません。「出没!アド街ック天国」なら、カルチャー・クラブ 「カーマは気まぐれ:Karma Chameleon」(リンク先YouTube)が流れそう……

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