2019/06/03

遺産を生かすのが文化では──丸の内

2019.5.25【東京都】──地下鉄 東西線を歩く_26

 現政府の経済政策も、数字が大きく国を代表する大企業を支援しているが、以前からそんな企業に蓄えられてきた莫大な遺産を、日本の中心で目にすることができます。


 この日、地下鉄大手町駅のパレスホテル東京出口に向かうと、警官、黒スーツの警護や外国人SPに加え、ホテル従業員も駆り出される状況から、米トランプ大統領の滞在先と見て取れました(ホテルオークラが建て替え中のためか?)。到着の何時間も前から威嚇を続けるのは大変そうでが、日本でテロが起きては困ります……


 和田倉噴水公園は皇居外苑なので、平成天皇の結婚時に大噴水が作られ、令和天皇の結婚時に再整備される等、皇室との関わりがあるため常に手入れが行き届いています。
 公園にあるパレスホテル直営レストランで結婚披露パーティーが開かれるのも、土地が限られる都心らしい活用法ですし、皇居前の会場に人気があることも理解できます(前身は官営ホテル)。

 右の日本工業倶楽部会館(1920年:大正9年)は会員制のため普段は入れないが、パーティなどに貸し出されます(内部はセットのような豪華さ)。一階に三菱UFJ信託銀行 信託博物館があるように、三菱が運営主体のようです。

 右の新丸の内ビルディング(2007年)は、新丸ノ内ビルヂング(1952年)を建て替えたもので、旧ビルの建設は戦争で中断したため、完成済みの基礎部分は防火用貯水池、戦後はプールや資材貯木場とされたそう。
 7階のテラスは、以前都市景観保護のため高さ31mに制限された旧丸の内スカイラインの屋上にあたり、周囲の丸ビルJPタワー(KITTE)にも名残は見られますが、つぎはぎのようで美しくありません。歴史の上に新時代を積み重ねるにはもう少し工夫があってもいいように。

 下の丸の内仲通りの歩行者天国は、オープンカフェに絶好の立地と思うもテーブルや人が少ないのは、高級ブランド店が並ぶので出店する隙がないためか?


 江戸時代の丸の内に並んだ大名屋敷は、明治期に取り壊され陸軍兵舎・練兵場となりますが、移転後は三菱財閥に払い下げられ、日本の中心地は三菱に牛耳られることになります。当時の財力がどれほどか想像できませんが、重要文化財として残される明治生命館(右 1934年:昭和9年 三菱グループ)には「うわ、すげぇ!」と圧倒されます。
 メールシュート(ビル内のポスト)、掃除用の吸引パイプ、ダムウエーター(配膳用小型エレベーター)、応接室ごとのマントルピース(暖房ではなく排気口とされた)等、当時の最新設備や贅を尽くした装飾は、一度目にすべきかと(見栄でできるものではない)。

 下の三菱1号館美術館は、1968年に解体、2009年に復元されたレプリカで、歴史的建造物保存に非協力的な三菱の姿勢(商売優先)が各方面から非難されました。
 この一角は丸の内ブリックスクエアとされる商業施設で、「おしゃれな中庭」との評判からベンチには女性がビッシリ並ぶ人気ぶりです。上の丸の内仲通りに面したカフェ・レストランの方がオシャレと思うも、お金をかけずに過ごせる観光スポットらしく、美術館の展示はフランスの近代美術が中心で、ベンチの女性たちがターゲット層のように。
 商業的には成功に見えますが、歴史遺産を生かさずに新しい文化は生まれるのだろうかと。


 トランプ氏はあれでも我慢しているらしく、後ろ盾を得た途端に暴言を吐きますが、アメリカ大統領ですから外交儀礼の歓待は必要としても、国技館の大歓声には「日本で人気があるのか?」との違和感を覚えました。あれがサクラだとしたら北朝鮮のようで恥ずかしいし、それが外交(営業)とされたら返す言葉もありませんが、ノーベル平和賞への推薦が日本国民の見解とされては困ります……

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