2019/09/16

歩くたび引かれる──雑司が谷

2019.9.7【東京都】──地下鉄 東西線を歩く_41

 前回の都電の坂道を上り、雑司が谷に寄り道します(町の空気に引かれます)。
 都電は時折行き先を変更しますが、知らずに乗った外国人旅行者に気遣いで行き先を確かめ、その旨を運転手に伝えるおばさんに、感心しきりです。外国人旅行者を意識したTokyo Sakura Tram(東京さくらトラム)の愛称や、Tokyo2020のボランティアも大切ですが、われわれも笑顔だけでは「おもてなし」にならないと気づかされます……


 雑司が谷 大鳥神社の例大祭は9月9日に近い週末に行われます。江戸時代に定められた五節句、1月7日 人日の節句(七草粥)、3月3日 上巳の節句(桃の節句)、5月5日 端午の節句、7月7日 七夕の節句、9月9日 重陽の節句(知らなかった)は、奇数が重なる縁起のいい日と考えられました。
 七福神の恵比寿様を祀り、社紋は巾着(福包み)(神仏分離で鬼子母神から独立する際、社跡から出てきた)とされますが、商売繁盛ではなく巾着の賽銭箱にお金を吸い取られそうと感じるようでは、お金は貯まりません……

 雑司ヶ谷霊園(古い施設名なので「ヶ」の表記らしい)に夏目漱石の墓があり、故郷近くに落ち着け安堵しているのではないかと。


 神田川の面影橋から鬼子母神表参道(きしもじん:鬼のツノの点は無い)への道は旧鎌倉街道とされますが、右の法明寺は平安時代創建なので、街道は寺や集落に通じる古い道を整備したようにも。
 室町時代に建立された鬼子母神(子供と安産の守り神)を核に門前町が発展したため、地域の中心と感じますが、法明寺飛地境内のお堂になります。
 法明寺は関東大震災で倒壊、空襲で焼失しますが、それらの免れた鬼子母神堂(母たちの祈りが届いたか?)は国の重要文化財とされます(床板のきしみ音に味があります)。
 上は、法明寺 塔頭(たっちゅう)の観静院の香炉。


 鬼子母神境内にある上川口屋(駄菓子屋)は健在です(年配のご夫婦も)。
 祭りの日なので人出は多くても、子どもたちの関心は出店に向くため、閑散としています。ラムネの空き瓶は結構並んでいましたが、普段はもっと多いのかもしれません。


 鬼子母神表参道周辺も大鳥神社の氏子町なので、町神輿を担いで宮入します(上)。
 日蓮宗 法明寺では、毎年10月16日~18日に鬼子母神御会式(おえしき 日蓮の法会:ほうえ)が行われ、最終日には池袋駅前から和紙で飾られた万灯(まんどう)が練り歩きます。行事同様、鬼子母神門前町の風情を守ろうとする姿勢は、地域を愛する地元力と言えそうで、また歩きたくなる町の大きな魅力と(ケヤキ並木が付近のシンボルです)。


 表参道沿いの木造2階建アパート 並木ハウスアネックス(昭和8年)に、雑司が谷案内処があります(奥の並木ハウスには手塚治虫 氏が暮らしたそう)。
 祭りのにぎやかさを耳にしながら、淡々と手作業(何かを作る)を続ける姿が、この町に似合っていると(鬼子母神前にあるレトロな外観の洋装店も健在です)。


 上はのぞき坂とされる都内屈指の急坂。運転席からは足元が見えないでしょうから、当然坂の手前でブレーキをかけます(奈落に落ちるような感じでは?)。
 レジ袋を手にした女性が日常生活の雰囲気で降りていくと、チラホラいる見学者も「すごい坂だなぁ〜」の声が小さくなります。運動のためとしても、少し手加減してくれる坂を希望します……


 この日早稲田周辺でも、水稲荷神社西早稲田天祖神社(上)の祭りが行われています。
 ですが水稲荷氏子地区の大隈通りでは、「うち7人なんだよ」「こっちなんか2人しかいない」と、今後が心配になる声が聞こえます。町内会の小さな神輿でも「結構重いなぁ」(体力不足)ですから、すでに厳しい状況のように。
 日本のハロウィン(収穫祭)? を継続するための知恵を絞らなければ、途絶えてしまうかもしれません……

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