2019/12/02

井の頭池が「モネの池」のように? 

2019.11.9【東京都】──地下鉄 東西線を歩く_52

 池の畔に並ぶ圧倒的な桜並木も、2017年に開園100周年を迎え、樹齢とともに傾くものが目につくため(土壌が柔らかいためか)、植え替え時期が迫っているようにも……


 井の頭自然文化園(動物園)のゾウ舎では、アジアゾウの「はな子」(1954年〜2016年)が飼育されましたが、ガランとした光景が喪失感を増幅するように感じられます。舎内の追悼展示を見たいのは母親らしいが、経緯を知らない子どもは当然「ゾウいないの?」の反応になりますから、機を見て今後の方針を決めるべきかと……

 敷地内の彫刻園には、長崎の平和祈念像を制作した北村西望(1884〜1987)の作品が展示されています(1953年公園の土地を借用し個人のアトリエを建設した)。
 右は加藤清正の像。

 井の頭池に面する水生物園(分園)近くの噴水は、水中に空気を送る曝気(ばっき)装置でしたが、現在運転を停止しています。近年は「かいぼり」(水を抜いてゴミや外来魚 等を取り除き、湖底を天日干しする)等、自然の力を用いる方法に変更したおかげで、「モネの池」(リンク先の絵は目を疑うほど)のようと評判だそう。その光景は確認できなかったが、沈んでいた自転車を引き揚げる等、汗を流した方々は成果をよろこんだことでしょう。
 雑木林のように、池も手入れして蘇らせる「武蔵野スタイル」は、これから定着するのではないか(水を抜くだけではない)。


 スワンボートが増えて白鳥の湖のようになったのは、屋根がAV対策になるためか?
 以前は向き合って座る手漕ぎボートがメインで、漕ぎ手の男が張り切る姿はマンガのようですが、そんな愛すべき男たちの姿をよく目にしました。
 そんな時分には、湖畔に祀られる井の頭弁財天は嫉妬深いため、カップルでのお参り・ボートに乗ると破局する、との都市伝説(?)がありましたが、いまどきはSNSでも話題にならないのかも……


 池周辺には規制があるのか、出店は限られています。上の店舗は人気があるように、公園利用者をターゲットにするサービスはまだまだありそうです。
 訪れる人が公園に求めるのは、にぎやかさではなく「ちょっと大人の雰囲気」(代々木公園とは違う)の落ち着きのようで、確かにベンチには大人のカップル(表現が難しい…)や女性一人の姿が多く見られます。広場がないので騒ぐ連中はおらず、ざわざわする中でも景色をのんびり眺められます(花見の季節は別世界のように変貌します)。
 スワンボートより、右のボートカップルの方がロマンチックではないかと……


 井の頭公園駅周辺にはしゃれた店が並び(駅舎は2006年リニューアル)、夜の公園は暗く静かですから、隠れ家にはもってこいではないかと。
 駅から公園に下る階段が以前のままなのは、利用者が少ないせいかもしれないが、すぐ隣の鉄橋下(上)は生活路とされるようで、場所柄にしては自転車を含めた人通りが多く、手の届きそうな鉄橋も変わらぬ姿で愛着を感じます。


 公園の野外ステージは立ち入り禁止とされるようで(柵が見える)、バイオリン弾きのパフォーマー(右端)は、池と太陽を背にして演奏しています。ベンチの人々は池や夕日を眺めたいので、お互いちょうどいいのかも。
 野外ステージが作られた当時は、人が集える場所が求められたようですが、いまどきのイベントは騒ぎたい連中が集まるため、公園から排除されたのかも(キラリナ京王吉祥寺屋上はイベント会場となっています)。
 公園の喧騒にはバイオリンのメロディはピッタリですが、弾き手には「もっと!」の意欲があっても、聞く側は「もういいか」とパラパラ席を立ちます……

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