2020/03/09

都電にゆられる時の流れ──王子

2020.2.23【東京都】

 明治時代に、石神井川・隅田川沿いの低地に旧王子製紙、印刷局が設立され、周辺には高台の軍施設を支える軍需工場が次々と立ち並び、一帯は工場地域となったそうです。



 王子は北区区役所がある地域の中心都市で、駅至近に「産業と文化の拠点」とされる北とぴあ(ホール、会議・研修施設 等)のビルがあります。
 1階ロビーに置かれたコンパクトなパイプオルガン(上)では、これから演奏会が開かれるらしく、教会等の本格的な音色を聴く機会は限られるので、身近で接することができるいい提案と。
 スカッと晴れた日なので、17階展望ロビーの人は途切れませんが(下)、客層は子供連れと年配者が多く、若者がデートで来ないのは仕方ないかと……


 国立印刷局王子工場に併設のお札と切手の博物館には、2024年度発行の新紙幣 1万円札 渋沢栄一、5千円札 津田梅子、千円札 北里柴三郎の見本が展示されます(撮影禁止!)。渋沢栄一とゆかりの深い地域なので(飛鳥山に邸宅があった)、ポスター・のぼり 等が並び「渋沢栄一祭り」のような様相です。生誕地の埼玉県深谷市では、青淵(せいえん:彼の号)まつりが行われるらしいも、申し訳ありませんが深谷ねぎの甘さを想起しました……


 都電荒川線(東京さくらトラム)王子駅前停留場は、遅延等の運行間隔調整のため、複数車両が停車可能な長いホームになっていますが、ちゃんと乗客を待ってくれるようです。ホーム手前に改札があり駅のイメージに近いも、ホームからの出口は開けっ放しだったりするルーズさが下町らしいと。

 右は、東京書籍(教科書出版)が運営する、教科書図書館の東書文庫。国語の教科書に印刷された社名が印象に残りますし、英語のNEW HORIZONも同社だったんですね。以前道を挟んだ地にあった、同社のかまぼこ屋根の印刷工場はホームセンターとなりました。

 空襲で焼け残った東書文庫、現役の古い鉄塔(右側)や、荒川車庫に並ぶ歴代の車両(下)を目にすると、それぞれが過ごしてきた時間経過は違っても、車窓から見えた気がする町の歴史は、錯覚ではなかったと思えます。
 都電には踏切が多いこともあり、線路沿いの道を走る車ものんびりモードで、都電にゆられる時の流れが、沿線地域の生活リズムのベースとなっているように。

 子供向けのレトロな印象のあらかわ遊園は、現在リニューアル工事中のため(2021年夏頃まで)、都電の絵が多くなってしまいました(調べておかないと)……


 そうそう、国旗が掲げられるように、この日は令和最初の天皇誕生日でした。一般参賀は中止となりましたが、彼なら腐らないと思えるのも、幼少期からメディア露出が多いため、信頼感や親近感を持つためではないかと。
 ですが、そんな期待を背負うことは大変な重圧なのだろうと……


追記──世界はひとつという認識の必要性

 国外からの流入者を遮断しても時すでに遅しで、全世界に新型肺炎の感染が広まりつつあります。国民の安全確保は各国の責務ですが、ウイルス対策においては保護主義は役に立ちませんし、つながりを都合よくコントロールしようとする施策は、現実的でないことが明白になりました。
 トイレットペーパーの争奪戦が各国で起こることを、背景の違いを含めて分析すれば、世界のつながりなしに庶民生活が立ち行かないことが鮮明になるのではないか。
 それにしても、納豆が売り切れる事態には驚きました(パート従業員の欠勤で生産力が低下した?)。長時間自宅にいる子供たちが納豆好きなら我慢できますが……

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