2020/06/29

季節の色彩──堀切菖蒲園

2020.6.14【東京都】

 梅雨入り最初の土曜は外出できませんでしたが、日曜午後は予報通り雨がやんだおかげで人出も少なく、季節の花の人気スポットをのんびり歩けました。天気があやしい日向けの企画です。


 堀切菖蒲園は葛飾区の植物園で、現在マスク着用が義務付けられるため、湿度が高いこの日はムレムレです……
 江戸時代の旗本が品種改良に取り組み(現在約5,000種)、群生する姿を想定した江戸系の品種が、日本最初の観光花菖蒲園(当園)で評判となり、観光地となりました。当時周辺にはいくつも菖蒲園があったそうで、江戸時代初期まで、大雨のたびに川筋が変わる「あやし川」と呼ばれた綾瀬川の氾濫原に、栽培地が広がったようです。

 下は屏風画(尾形光琳 筆 燕子花図:かきつばたず)を想起する光景で、創作意欲を刺激する色彩かもしれないと。


 来場者の多い施設のため、地面のいたるところにソーシャルディスタンスのマーキング(密防止、一方通行 等)があります。雨上がりで人出も少ないため、気にすることなくしっとりした季節の花を楽しめましたが、人が群れていたら近寄れなかったかもしれません。

 ここは千住の荒川対岸にあたり、最寄駅は京成本線の堀切菖蒲園駅になります。隣駅のお花茶屋駅の名称由来はショウブ 等の花ではなく、徳川吉宗が鷹狩りの際に腹痛を起こし、茶屋の娘「お花」の看病で回復したことによるんだそう。脱力してしまうオチが見事です……


 右の荒川河川敷にある堀切水辺公園には、地元の方が管理している花菖蒲田があります。
 奥は首都高速中央環状線で、手前の荒川と並行する綾瀬川の堀切菖蒲水門(右側)は、下流で合流する中川や、海からの逆流を防ぐための施設。荒川と綾瀬川・中川が合流せず並行して流れるのは、川の長さの違いで豪雨時の水位上昇に時間差があるため、荒川から綾瀬川・中川への流入を防ぐためだそう。

 近くの玄関先に咲くアジサイ(下)もキレイですが、色彩がみな同じ系統になってしまったのは、季節の色ということで……(今回はスマホ写真)


東京の新規感染者が増加傾向に

 国や都は想定の範囲内と考えているようで、特段の反応を見せません。ですが、「感染者数が増えた」の発表だけでは都民全体が一律に不安を感じるばかりで、詳細な内訳が公表されなければ行動の参考にもできません。
 周知のデンジャーゾーンを気をつけるように、行動に目安(メリハリ)がつけられないと、経済活動が再開された社会全体が、緊張の連続で疲弊してしまいそうと……

2020/06/22

自衛隊に学ぶべき!──千住

2020.6.6【東京都】

 プロ野球が開幕し、Jリーグ対戦予定表を「懐かしい!」と感じ、学生たちのクラブ活動が再開される様子に、スポーツの大切さと希望を再確認しました……



 千住神社の緑のしめ縄(上)は「疫病除け」を願う、薬草で抗菌作用のあるイグサのイメージではないかと(匂いはなかった)。
 6月末に神社で行われる「夏越しの大祓」の、茅の輪(ちのわ)くぐりへ行こうと思うように、努力だけでは叶わない疫病除けの神頼みは「いまでしょ!」の願いは、皆同じではないか……

 右は慈眼寺にある藤棚の柱の補強がはがれ、内側からさびた「千住商店会」のプレートが現れた様子で、町との一体感がうかがえます。

 足立区の町名は千住とされるため、北千住という町名はありません。隅田川南側の荒川区では、千住南組の名称から南千住の町名とされます。歴史を残したい側と、記憶を消したい立場の違いのように(南千住には小塚原刑場がありました)。
 千住は銭湯の多い町ですが、立派な構えの大黒湯(「キングオブ銭湯」とされる)は、現在も人気があるそうです(右は煙突)。銭湯の立地はどこもこんな場所柄と思うも、いまどきは煙突より高い建物もあるので、苦情があったりしそうです……

 右は厄除地蔵尊で、昭和初期に隣接の小学校が火災に遭い、土地整理の際に地中から出てきた地蔵尊を火難除地蔵として祀ったのが始まりだそう。祠(ほこら)には4体の地蔵尊が並びますが、きれいに手入れされており、建物が密集する地域の心情がうかがえるようです。

 下の大橋眼科の建物は、大正期に建てられた旧洋館のイメージを引き継ぎ、1982年に建てられたものですが(惜しむ声を反映したそう)、こういう個性(味)を歓迎する土地柄に魅力を感じてしまいます(ここだけアーケードが途切れています)。


自衛隊に学ぶべき!

 自衛隊は、集団感染発生の「ダイヤモンド・プリンセス号」対応で感染者を出さず、陽性患者を多く受け入れた自衛隊中央病院でも、5月下旬まで院内感染は起きていないとのこと。それは、1995年地下鉄サリン事件、2011年福島第一原子力発電所事故で、「見えない敵」と戦った経験・実績によるもので、平素からNBC防護訓練(Nuclear:放射能、Biological:生物、Chemical:化学)をしているそうです。
 防疫は医療の基本ですから、感染予防法を自衛隊に学ぶべきかと……


自己防衛意識の必要性

 都道府県境をまたぐ移動自粛が解除され、人の流動化が再開しました。
 移動が必要なビジネスや、単身赴任で3ヵ月間家族に会えなかった 等の要件は理解できても、「大丈夫だよ」との裏付けのない自信には疑問を感じます。とはいえ、「大都市にいるより安全だよ」と郊外で深呼吸したい気持ちは、素直な欲求として理解できます。
 感染するのは勝手でも、拡散させた場合の責任を取れるのか? を含めて自己責任となるため、これまで以上に「自己防衛意識」を高める必要がありそうです……

2020/06/15

これからも続く憂鬱──千住大橋

2020.5.30【東京都】

 外出自粛は解除されましたが、週末に電車で外出する人は少ないため、リラックスできる状況こそ本来の休日とも(通勤電車に疑問を感じるきっかけとなるか?)。
 今回は、外出自粛前の続きとなる千住大橋から北千住方面に向かいます。


 2カ月ぶりに触ったカメラはバッテリーが上がり、「シャッターってこんなに重かった?」(スマホはタッチでOK)と、ちょっとリハビリが必要でした。

 いまどきの、猫も狛犬もマスク(?)には逆らえませんが、電車を降りたら外させて! 「マスク不着用での入店お断り」の店もありますから(店員さんも不安ですよね)、入店前に顔を隠すように(?)。
 右は、京成線 千住大橋駅に近い河原町稲荷神社。以前はやっちゃば(青物市場)の守護とされますが、現在足立市場は水産物専門とされます。


 堤防が整備された千住隅田川テラス(上)には比較的人が出ています(普段はもっと多そう)。水や水路を利用した工場が移転した後のまとまった土地を、緩傾斜型堤防化した場所をこれまでも何箇所か歩きましたが、このような堤防が続けば江戸時代のように川辺がにぎわうかもしれません(下町方面は水都でした)。
 彼女たちが手にしているのは、グラススライダー用のソリ。こんなのあるのかと驚くも、「ダンボールって昭和・平成の話?」とか言われそう……


 江戸時代は、上の千住大橋が江戸市中の境界とされ(佐倉街道、奥州街道、水戸街道、家康没後に日光街道も通る)、松尾芭蕉が奥の細道へ旅立った地とされるため(自宅は深川)、周辺では芭蕉関連の記述を多く目にします。

 右の裏手にある足立市場は、東京都中央卸売市場 足立分場として1945年(昭和20年)に業務を開始し、79年青果部の廃止後は都内唯一の水産物専門市場とされます。

 下の黒塀に白く点在するのは蚊柱で、紫陽花も咲くように、ウイルスとは関係なく季節は移り変わります……


相反する予防対策

 マスクに加え、熱中症予防が必要な季節となりましたが、同時の予防は無理です。マスク着用時は、顔全体の体温が上昇する測定結果があるように、人との距離を保てる場所(屋外 等)では、マスクを外した方が安全そうです。


これからも続く憂鬱

 東京での休業要請が全面的に解除されると、普段に近い活動が再開されるため、「新しい生活様式」の実践だけでは抑えきれない場面に遭遇しそうです。
 市民の願望としては「新規感染者ゼロ」ですが、社会は「爆発的感染がなければ GO !」したいように、隔たりは大きいものの、国が国民を養う経済力を持つわけではないので、注意を払いながら活動することになります。
 「夜の街」の集団検査でようやくウミが出始めたように、やっかいな問題をつぶすことが最優先でも、「品行方正な市民」との切り分けをしないと、圧倒的多数からの反感を買うことになります……

2020/06/08

東京アラートの受け止め方

2020.5.24【東京都】

 この日はまだ外出自粛中ですが、「もう近所に歩くところがない」状況でひねり出した、埋め立て前の旧海岸線沿いを歩くルートになります。


 葛西沖開発事業(埋め立て工事)開始は1972年なので、69年開通の東西線は、数百m海の上(堤防の海側)を通っていました。上の交差点まで海だったため、現在も陸地に鉄橋が続いています。
 以前の地図(ここは神社付近)を見ると、周辺は東側の旧江戸川の土砂が堆積した様子がわかります。荒川は30年(昭和5年)の開削時から管理されるため、地形に影響を及ぼしません。

 右の江戸川区球場の利用は再開されたようですが、高校野球の応援が聞こえないのはさみしい限りです……


 上は、旧左近川河口の海岸水門(水門は取り壊された)から、新左近川親水公園(水門の海側が新左近川)を望む絵で、埋め立て後も付近は船溜りとされました。
 水面に浮くのはカヌーポロ(リンク先Youtube)の設備で、以前見たプレーは遊びのようでしたが、本来はYoutubeのような激しいスポーツらしく、いつかここでもそんなプレーが見られることを!

 右・下は旧海岸堤防沿いの遊歩道で、岬付近には「将監(しょうげん:武家官位)の鼻」の碑があります(御船手奉行 向井忠勝 由来の地名があった)。以前は遠浅海岸の沖にのりひびが並び、アサリやシジミがとれたそう。


 旧堤防沿いの遊歩道は、首都高速湾岸線付近で旧江戸川に至ります(海側は葛西臨海公園)。対岸はディズニーランドですが(下)、いまはゴーストタウンのようでは? 状況を考えると営業再開の判断は難しそうで(複合商業施設「イクスピアリ」は再開)、慎重になるのはディズニー本社の姿勢かもしれませんが、施設内でのクラスター発生は何としても避けねばなりません……


「東京アラート」の、都庁とレインボーブリッジのライトアップは不気味ですが……

 「まだ時期尚早」の声は多いが、「早く元の生活に」の気持ちも高まっています。
 拘束力のない「東京アラート」は単なるスローガンに聞こえる面があり(状況を理解する人には再確認でも)、若者に「やばい!」と感じさせるインパクトが欠けるように。
 そこで出てきた「夜の街で働く従業員が定期的にPCR検査を受診できる態勢づくり」には、現代の赤線? と感じたりします。非合法とは言えない営業活動を管理する対策ですが、非常時には社会のグレーな部分や、政治のダークな面が表出しますから、ひとつずつ潰していく過程を国民は注視すべきと……

 マスクは「北風」が吹く季節の装備のため、「太陽」の季節には暑さで息苦しくなり、屋外では外したくなります。口の周辺がムレムレです……(花粉症の方の苦しさを知りました)


追記──元「北朝鮮による拉致被害者家族連絡会」代表 横田 滋さん死去

 本来は、温和で優しい方と思いますが、心からの笑顔を拝見できませんでした。
 何も言葉は出ませんが、無念さは国民に伝わっています……


追記──連続テレビ小説「エール」

 志村けんさん出演されていました(失礼しました…)。もっともセリフが多かった撮影オフショット(リンク先NHKのTwitter)の、ギャップがあの人らしいと……(女性と一緒だから?)

2020/06/01

スポーツ界始動の明るさ!

2020.5.17【東京都】

 街を歩く人の表情もゆるみ、公園・広場に子どもたちの歓声が戻るも、通勤電車の憂鬱が目前のため明るさを実感できませんが、野球・サッカーなどのスポーツ始動の知らせを目にすると、「これが明るさ!」と励まされます。


 上は、左の荒川と右の中川を隔てる背割堤の上を通される首都高速中央環状線(葛西橋より)。普段は歩けますが、現在護岸工事中のため立ち入ることはできません。
 どちらの岸からも橋を経由する必要があるため(橋も限られる)、人が少ない密フリー(怪しげな響き)の開放的な場所になります。対岸から見える人影の「何やってんだ?」の姿は、結構楽しめたりします……


 上の葛西橋(補剛ゲルバー桁:吊橋に見える部分は補剛材とのこと)、下の清砂大橋(斜張橋)とも力強い構造に見え、上流のスマートな船堀橋よりも橋の主張が感じられます。
 橋の完成は1963年(当時は都内で最長)、東西線開通は69年(西葛西駅設置は79年)、葛西沖開発事業(埋め立て工事)開始は72年ですから、この橋の重要さがわかります(清砂大橋は2001年)。


 荒川西岸はロックゲート付近から下流は江東区とされ、広い河川敷に公園や花壇が整備される様子を、東西線車窓からうらやましく眺めています(東岸は河川敷がない)。
 近頃は遠出ができないため、広い空間(川+河川敷+空)を求めて、よく足を運ぶようになりました。


 河口に向かうにつれ寂しげな景色になりますが、この先は夢の島ですから、ゴミの埋立処理場当時を知る方の記憶につながる絵かもしれません。
 付近ではソーシャルディスタンスではなく、フィッシャーマンディスタンス(互いにじゃまをしない)が数十m程度の等間隔で保たれており、釣り人同士のマナーが見て取れますが、距離は普段より広めかも……


追記──スポーツ界始動への期待感と各個人の自覚

 千葉ロッテの新人 佐々木 朗希投手は、小学生時分に陸前高田で東日本大震災に襲われ、走って津波から逃げた経験を持つそう(父と祖父母が亡くなる)。昨年夏の岩手県大会決勝で登板回避し敗れた監督の「故障予防の選択」に対する思いも背負うでしょうから、「張り切り過ぎないで!」の応援がようやくできそうです。

 東京では、夜の街に蜜を求める連中の感染が増加中とのこと(G.W.明けの感染か?)。接待の場合は要求する者がいるわけで、「社名の公表」をチラつかせては? 店舗側も感染を出したらアウトな状況下で「体を張る」つもりでも、感染者数の増加による社会活動制限の網は、感染に怯える一般市民にも及ぶことになります。自覚を持てない人に対しては、世論を反映した営業停止命令があってもいいのではないか? いまの世間は、とても敏感になっています……