2012/11/26

ここは、中防ですよ!──中央防波堤埋立処分場

2012.11.10【東京都】──「ベイエリアウォーク⑧」



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中央防波堤埋立処分場:中防(Map)


 今回は、色気のない地で現実的なテーマに向き合う、このブログ本来の姿であること(?)をご覚悟下さい。

 以前歩いた東京ゲートブリッジを渡る一般自動車道は、中央防波堤埋立処分場(中防)を通り、海底トンネルを経て大田区城南島に至ります。
 ならば埋立地への立ち入りは可能と思い、公共交通の都営バス「波1」路線(東京テレポート駅前〜中央防波堤)を見つけ、アタックしました。
 この路線は、環境局中防合同庁舎などの営業時間に合わせるため、平日・土曜の朝・夕以外は1時間に1本程度、日曜は朝に1本だけ(夜勤明け対象?)の運行です。

 現在一般人が立ち入れる施設は合同庁舎だけで、訪問の土曜は営業日でも館内の照明は落とされています(要予約で埋立処分場の見学プログラムがある)。
 そんな日は案内の方もいないので、暗い館内をカラーコピーで作られた案内に従い、ゴキブリのようにコソコソと進みます(普段から利用者の少ない印象を受けます)。
 10階には明るい展望フロアがあり、俯瞰の写真はここからのものです。
 
 上写真中央、逆「く」の字状の構造物が中央防波堤で、埋め立て計画を知らない時分に地図で目にし「何でポツンと防波堤があるのか?」と感じた記憶がよみがえります。


 中防は「東京23区から出されるゴミの最終埋立処分場」とされるため、23区以外はそれぞれ処分場を持つわけで、どこに? の疑問から、ちと寄り道です。

 例えば武蔵野市など多摩25市1町では、西多摩郡日の出町「二ツ塚最終処分場:青梅近くの山間地」を利用しています(結局ゴミ処分場は海か山にしか作れません)。
 今どきゴミの焼却灰は、エコセメントとして全量資源化されるため、その時点では処分されないそうです。拍手したいところですが、処分を先延ばしすることを「リサイクル」と表現します。
 「エコ」という響きに満足するだけでなく、少しは勉強しないといけません……

 この地は、内側埋立地(最初の写真右側:埋立完了)、外側処分場(上・下写真:埋立中)、新海面処分場(上写真左奧:埋立中)と拡張されるも、その沖は急深かな海底地形のため、東京都の埋立地としては最後の海域とされます(その後どうするの?)。

 埋立中の外側処分場(上)でも整備済みの地区は、既にコンテナヤードに利用されます。周辺の道路は大型コンテナ通行を想定した設計のはずですが、お台場の青海(あおみ)では、舗装道路に車重によるわだちの凹みが見られます。
 過積載(重量オーバー)車の責任としますが、想定外とのいい訳をする前に、何で取り締まりをしなかったのかを、聞かせてもらえませんか?


 2011年10月この地区では、放射性物質が検出され処分保留となっていた多摩地区の焼却灰等の処分が認められ、埋め立てが開始されます。
 現在は確認できませんが、右上奧の山にシートをかぶせたような姿だったと。

 見解では、放射線量の基準値を下回ったものに限るそうですが、受け入れ口は他にないため集積されることとなり、「ちりも積もれば…」となってしまいそうです。
 都のシナリオとしては、海水は放射線の拡散を防ぐので、上からコンクリートでふたをしてほとぼりが冷めるのを待つ、という算段かも知れません。
 ですが、民家の床下から放射性物質が出てきたように、必ず尻尾は捕まれます。
 そんな事態は「次の担当者に何とかしてもらおう」などと考えているから、税金泥棒どころか告発につながりそうな苦情が無くならないのではあるまいか?
 他に道が無いのならば、責任を持った処分方法選択と、その記録を残すべきでしょう。

 当初は役人側の、放射性物質に対する知識不足・時間尺度解釈の間違いを指摘したものの、知恵を授けるはずの学者連中にも「人生という時間尺度」で物を言う輩が多いようで、「その後は任せた」という自分本位な態度や、こころざし(学者としてのレベル)の低さに驚かされました(拝金主義的な錬金術は科学ではない!)。
 理想と現実のはざまで汗する研究者の方がはるかに多いことは、承知しています……


 東京ゲートブリッジが何度も登場する理由としては、沖は東京湾なので常に陸側から接する橋の周囲は空と海に囲まれるため、象徴的に撮りやすいようです。
 華やかさのない、力学的な荷重計算からの設計としても、巨大なトラス橋としての「美しい形状(=最もシンプルな姿)」には、とても力強さを感じます。
 マッチ棒を組んで作っても「最強の構造」となりそうなので、模型があれば組み立ててみたい気がします。

 右端にある円筒形の構造物は橋の遊歩道からの昇降施設ですが、まだ使用できません(現在左の若洲側から歩けるのはその手前まで)。利用開始は下述の開園時では?

 右写真の風車「東京風ぐるま:東京臨海風力発電所」奧の木々や空き地の一帯には、23区内で最も広い公園の建設が計画されています(2016年一部開園予定)。
 そこに込められたメッセージには
「ゴミと建設発生土で埋め立てられた中央防波堤内側埋立地に、苗木を植え、美しい森に生まれ変わらせる計画が「海の森」プロジェクトです」とあります。

 明るいビジョンは大切ですが、現在の施設と併設するつもりではないですよね?

 ゴミをガラガラ捨てた時代と違い、埋立地に余裕のない現在は、上や右のような中間処理施設が重要です。
 これらの施設では、分別されたゴミを細分化し、リサイクル可能なものは再生され、不可なものは焼却されます。
 そのこころは「もう埋め立て場所がないんです……」の、埋立地を守ろうとする意識と受け止めます。

 ゴミを減らすためさまざまな薬品が使用されるらしく、「これまでに経験したことのないような『異臭』」に襲われます(表現の仕方が分からない不快なにおい)。
 処理施設間輸送の荷待ちトラックが並ぶ中、荷を積んだトラックが通り過ぎる際に強く感じる度、以前豊洲にあったとされる東京ガスの工場を想像してしまいます。
 空気が乾燥していたこともあり、唇をなめた際「しょっぱさが強い!」と驚きます(これ海水の塩じゃない!)。
 埋め立て当時の「夢の島」を目にし、埋立地には近づくもんじゃないと感じたことを、今ごろ実感しています……

 バスから降り立ち最初に受けた洗礼は、合同庁舎前の交差点に「歩行者用信号が無い!」こと。港湾施設の車道幅は広く、渡る途中で車道の信号が変わり道路のまん中で立ち往生します。
 そんな設備からも、人が歩く場所ではないと警告しているのかも知れません。
 一度は見ておかねばと思っていたものの、しばらくは足が向かないだろうという程のインパクトがありました……


お口直しに……
 2012.11.24──もみじ狩り in 新宿御苑


 埋立地ばかり歩いていると季節感を見失う気がして、「紅葉を感じたく」新宿御苑を歩きました。
 園内には武蔵野の雑木林を再現する一画があり、最初の木に「これクヌギの葉だよね!?」と食いつき、そのままガキ時分に遊んだ近所の林に迷い込んだ気分に……
 秋の雑木林「黄、橙(ダイダイ)と褐色の秋色」を探しましたが、うまく撮れず今後の課題です。
 紅葉情報には「色づきはじめ」とありましたが、そんな姿も季節感として味わえる感性を育んでくれた風土には、改めて感謝したくなります。

 右はロマンチックな絵ですが、何か若い時分(70年代)に見た覚えがあるので、モノクロにしてみました(レコードジャケットだったか?)。
 以前の印象と変わらない情景(カップルを含め)に見えることに、安どしたりします……

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