2015/10/05

下町ワンダーランド──谷中

2015.9.19【東京都】──「神田川を歩く_37」

 ネコがたむろする「夕やけだんだん:日暮里駅側の高台から谷中ぎんざに下る階段」が、旧石神井川に浸食された斜面と認識して歩いたのは初めてです。
 水の便利さを求める庶民は低地(ぎんざ側)を好み、水は不便ながらも高台を好む寺社は駅側に集まることで、住み分けられたようです。



西日暮里公園


 西日暮里駅脇の高台は、隅田川と旧石神井川からの浸食が両側から迫る、武蔵野台地が最も狭まった場所(標高図○部分)で、そこを切り崩して道灌山通りが作られます。
 北の開成学園側は「道灌山:由来には、江戸城を築いた太田道灌、鎌倉時代の豪族・関道閑(せきどうかん)屋敷跡の説がある」、南側は「諏訪台:当公園〜諏方神社〜谷中」とされ、谷中霊園や上野公園に向かい高台は広がりを取り戻します。


谷中

 TV番組等の影響から「谷中=谷中ぎんざ」的な評判が広まり、商店街は観光地的なにぎわいを呈するも、観光客は無遠慮にスマホでパシャパシャ撮るため、「カメラを避けてたら歩けやしないよ」とあきらめ顔をした地元の方を多く見かけます。
 でもそのおかげで、「カメラに慣れっこの日常」のような絵が撮れました。いつもどってことない写真ですが、「ライブ感」を切り取れたと思う今回の写真は気に入っています。

 無粋な観光客の立ち話が車の通行を妨げてしまう道幅ですが、付近では主要道だったりします。
 そのおかげで、映画『男はつらいよ』のさくら(倍賞千恵子)さんのようなエプロン姿のおばちゃんが、ゆっくり通過してくれました。
 両側にあるポケットから財布を取り出す仕草の印象も、映画の記憶だったか?
 定番の下町ファッションが受け継がれる様子も、この町らしさかと。

 陶芸品店の格子戸越しに女性の動く姿が幻想的で、動画の方が雰囲気が伝わると感じた絵。
 ですが、家屋の姿を見ようと脇に回ると、玄関以外は普通の家だったりします(奥の窓もおそらくサッシ)。
 近ごろ増えた、入口のイメージだけで雰囲気を演出する居酒屋と同じ手口のようです。
 わたしも惑わされましたが、ターゲットは女性と思われるので、格子戸の「幻惑:チラ見せ?」には、性別を問わず関心を引きつける力がありそうです。

 谷中を歩く際はいつも通る「ヒマラヤスギのパン屋:鉢植えから育ちランドマークとなった大木の下」に入る観光客は、店構えの懐かしさに誘われたのか?
 ですが近ごろ付近の土地売買があり、ヒマラヤスギに伐採の危機が迫るらしく、地域住民が守る会を立ち上げました(わたしも署名しました)。
 パン屋の裏側はボロボロですし、現店主が引退後の見通しは厳しそうです(パン屋訪問はお早めに)。
 ここはY字路の交点で、これまでY字の左上→下に歩くだけでしたが、初めて左上→右上へV字に進んでみると……

 寺の墓地沿いに続く狭い路地から、心細そうな表情の外国人観光客が何組も現れます。迷い込んだのかと路地に入ると、これぞ傾斜地の生活空間という光景に出会います。
 坂道が突き当たる斜面には、近所の自治会で作ったような狭い階段があり、湧水がありそうな斜面下の井戸(右下:○○家専用とある)は現役のようです。
 以前付近には湧水があり、現在の路地を流れた水路沿いに人が住み着いたのではないか?
 寺の境界に続く寂しげな路地まで、海外向けのガイドブックに掲載されるとは驚きですが、Wonderlandとして楽しめる一画なのでわたしもオススメです!


 一枚上の路地は、千代の富士像のある玉林寺(彼の親族の墓がある)に抜けます。
 先日六本木ヒルズで千代の富士(九重親方)を見かけた際、身長183cmは驚かないも横幅と体の厚みの凄さに、これが「筋肉の鎧」かと……

 こういう寺には反対側にも路地があるはずと向かえば、迷うことなく隣接寺院の墓地との間を通る心細い路地に入り、その抜けた先に上のねんねこ家があります。
 この店へのアプローチに最もふさわしい路地と思ったが、こちら側の入口には「私道につき部外者立ち入り禁止」とあります。
 確かに家の軒先を通るので迷惑に違いないが、それが路地歩きの楽しみです!(迷惑かけないようにします…)




 こんな指人形を目にしたことありませんか?
 「こんな表情見たことある」リアルなじいさん、ばあさんの指人形を作り、それを操りユニークな人形劇を見せてくれる、工房・店舗・劇場(?)があります。
 谷中らしい手のひらサイズの工房でも、全国的な知名度を得ることは可能ですから、地方のシャッター商店街でも実現できるのではないか、と思ったりします。
 強い意思とユニークな企画を抱く人を、支援・サポートする仕組みを確立できれば、地方からの人口・労働力の流出を少しでも食い止められるのでは、と感じたところです。


追記──準備を進めてきた、雑誌『L'OFFICIEL JAPAN』が創刊となりました。

 2015年10月1日、フランスのモード誌の日本版『L'OFFICIEL JAPAN(ロフィシャルジャパン)』が新創刊*しました(仏版は1921年創刊で、次号が1000号! の老舗月刊誌)。
 門外漢のわたしに内容は語れませんが、きちんとした雑誌の印象です。
 海外の雑誌に携わるのは4誌目(イギリス、アメリカ:2誌)になりますが、欧米に抱く「奴らは、自己中心的なくせにいい加減!」「アジアを下に見ている」の印象に大差はない、というところか……(日本人はまじめ過ぎと感じる面も変わらない…)
 関心があれば一度手に取ってみてください。
 *2005〜08年まで別の会社が日本版を発行していた。

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