2016/08/01

ひまわりは見るだけよ!──上北沢

2016.7.10【東京都】──「目黒川を歩く_4」 北沢川_1

 今回から、池尻大橋付近で烏山川に合流する北沢川を歩きます(その下流が目黒川)。
 通った大学(日大文理学部)付近の暗きょを北沢川と認識して歩くのは初めてでも、川沿いの何げない景色から当時の記憶がよみがえります。





将軍池(都立松沢病院)


 北沢川の旧水源とされる将軍池は、都立松沢病院の敷地内で立ち入れません。
 ここは精神科専門病院として設立され、当地移転に際し院長の要請「治療・療養には、患者さん一人に100坪が必要」が受け入れられ、広大な敷地を有します。上の池は治療の一環として患者の手で造られたが、庭園として高い評価を受け海外に紹介されたそう。名称は作業者の患者が自称した「将軍」にちなむ。
 以前から湧水のある湿地帯だったらしく、尾根筋(玉川上水が通された分水嶺)から少し低い場所に湧水があったことは、この先を歩く上のヒントになりそうです(流量が少ないため、玉川上水の水が引かれた)。同級生が付近に暮らしていたような記憶も……




 学生時代に通った自動車教習所では、クランクのバック通過をやらされています。「後部ドアの三角窓に○本目のバーが入ったらハンドルを切る」のような、車種で変わることをマニュアル通りに教えるの? と思ったが、今となれば「説明が難しい」ことも理解できます。いまどきはリアモニター搭載車で、前輪が膨らむ感覚を練習しているのか?
 路上教習では環八通りや246号線をガンガン走らされビビったが、アクセルを思いっきり踏み込ませて「それは踏み過ぎ」の練習で、流れに乗る感覚を理解した覚えがあります。
 当時の車体は全身「ライトグリーン」の派手さで目立つため、余計に緊張した記憶がありますが、この地らしいイメージカラーの印象も。


 教習所周辺には現在も所々に農地が見られます。
 宅地に囲まれた農地は往々にして、後継者不在から老夫婦では手入れできない区画を手放したものらしく、マンションの存在感と比較されると取り残された印象になります。
 農地の一画に設けられた即売所から、客との弾んだ会話が聞こえます。
 狭くなった農地の出荷品目は限られても、手売りでの近所付き合いを楽しめるなら、適度な労働で小遣いも稼げる老後を送れますし、近隣住民にも「地産地消」による互いのメリットを浸透させることができます。
 「今度、ひまわりを分けてよ!」に対し、「ダメ〜、ひまわりは見るだけよ!」の返事は、自然の恵みを糧に生きてきた知恵なのでしょう。みんなで夏のシンボルを楽しめば、子どもの記憶に刻まれ、写真も撮れますから、共有を目指す姿勢こそ本来の「エコ」ではないかと感じます。


桜上水 周辺

 右の荒玉水道道路は、多摩川のきぬた浄水場から板橋区大谷口へ送水する地下水道管上の歩道が車道とされたため、水道管保護用の車両規制ゲートや、両側の電柱も障害物として残され、直線なのに走りにくくモヤモヤする道。
 付近にはタクシー運転手も走りづらいと嘆く、あぜ道を道路としたような迷路が続くため、結局この道を選択するしかなかった記憶があります。
 住民のモヤモヤ解消に向けた取り組みは、世田谷線松原駅前の道路拡張に見られるも、途切れた先には住宅街が広がり、区画整理には「なが〜い目」が必要なようです……


桜上水ガーデンズ(旧桜上水団地)


 現在の施設は「ぬけられません!」。
 至る所で「私有地」と差別化を主張する様に、入ってやるもんか! と思うような、高級分譲マンションに生まれ変わりました(古くは牧場)。
 近隣に商業施設は無いが、買い物は下高井戸商店街というスタイルは結構いけそう。
 桜上水団地(リンク先は懐かしい写真)当時は学生がご迷惑をおかけしたと思いますが、桜並木の通り抜けは見事でした。卒論の担当教授が団地にお住まいで、ウイスキーの瓶を冷蔵庫で冷やす様子に「飲んべえのいじらしさ」を感じたことも。
 手前は日大のグラウンド。右端の大木付近に弓道場があり、脇を通る際「シュッ」「ポス」(矢を射り、的中した音。確か外した音も区別できた)の音を耳にした瞬間「変わらない!」と、当時の空気感がよみがえりました。


小田急線 豪徳寺駅・世田谷線 山下駅 周辺

 豪徳寺駅前を通ると『男たちの旅路 車輪の一歩:山田太一脚本 1979年 NHK』を想起します。──車椅子生活者は周囲へのサポート依頼を尻込みしてしまうが、社会はその勇気を無視しないはずである。
 舞台とされた豪徳寺駅前の階段は、高架工事に伴う駅改築の際にバリアフリー化されました。
 まだ町中には不便な箇所が多いと思うも、公共施設のバリアフリー化が一気に進んだように、国は自治体の要請に耳を傾け、きちんと旗を振るべきと感じた事例です。
 YouTube動画に車輪の一歩のラストシーンがあります。右は宮坂側の路地。

 上のYouTube動画の背景に映る「モスバーガー」の店で同級生がバイトしており、テリヤキバーガー初体験の衝撃を思い出しました(現在閉店)。
 付近にある右の「満来:まんらい」は200円ラーメンで知られ、TVで「自分が生きている間は値上げはしない」と宣言した先代は101歳の大往生。
 二代目の値上げも250円(2012年)と心意気を受け継いだが、現在「しばらくお休みします」の張り紙と、メニューにラーメン300円とある様子から、二代目の苦労が察せられます……(以前100円は勘違いか?)


追記──元千代の富士(九重親方)が亡くなられました

 以前、六本木ヒルズですれ違った際、Z軸(身長)以外のXY軸(肩幅、胸の厚み:お腹ではない)のガッシリした体に見入ったことがあります。背のない体で格闘技の頂点に立つための努力は並大抵とは思えないし、「小よく大を制す」の体現者として人気を博したことを再確認しました。
 売り出し中だった若手の貴乃花に負け、引退した情景は「世代交代」の儀式のように、印象に残っています。
 お疲れ様でした……


追記──「メーヴェ」が飛んだ!

 宮崎駿さんのアニメ作品『風の谷のナウシカ』に登場する「凧(たこ:劇中表現)」をモデルとした、小型飛行機が空を舞いました(タイトルリンクに動画があります)。
 夢を実現させた努力は賞賛しますが、あまりにも無謀な挑戦という印象を受けます(落ちたらOUT)。ですが、ライト兄弟に対する周囲の目も同様だったと考えれば、人類におけるエポックとなるかもしれません……

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