2015/03/30

「いいお彼岸だ……」──高円寺

2015.3.21【東京都】──「神田川を歩く_12」



高円寺 純情商店街


 高円寺駅に降り立つのは初めてという気がします。
 名の知られる純情商店街の人通りには活気を感じますが、気安くても「特に安くはない?」ように見えました。
 現在の田町(都内)で日々感じる物価の高さは、比較対象の神奈川県川崎市から越した際に「2〜3割高い!」と感じてから、とても敏感になりました。
 安さばかりを要求すべきでないと思うも、物価を上げようとする政策の中で、賃金が上がらない労働者には切実な問題として迫ってきます……


高円寺(曹洞宗)


 江戸幕府将軍 徳川家光が鷹狩りで雨宿りに立ち寄った際、住職が一般の雨宿り客と同等に接したことが気に入られ、広く知られるようになります。
 参道が道路で分断され、駐車場の無い場所柄ゆえ参道が人・車共用となっても保たれる秩序は、寺の揺るぎない包容力によるのでしょう。

 周辺が寺町とされたのは、明治末期〜大正期の東京市内整備計画による中心地からの移転によるもので、実施が関東大震災の後となった烏山寺町の形成も同じ理由。
 付近に曹洞宗寺院が多いのは高円寺の求心力か? 現在も求心力を持つ町に見えます。


カトリック高円寺教会

 東京最初の教会設立(1873年:明治6年)から55年後に、10番目の本教会設立(1928年:昭和3年)と知り、都市部の布教活動には手こずったように感じます。
 先祖の墓がお寺にある家が多いのは地方も同じながら、文明開化の恩恵を最も受けた都市部で障害になったのは、「江戸っ子気質の自負」だったりしそうです。
 寺町に乗り込み現在まで存続できたのは、移転してきた寺と地域住民のつながりの浅さという、エアポケット的な隙間に入り込めたためかも知れません……




 大学生のバスケットボールの試合でも、野球にはないラグビー的な接触プレー「肉体の触感:00番の筋肉ハンパねえ! 等」が核となる、格闘技系スポーツの印象を受けます。
 以前、技術ではなく相手を驚かせたい一心で肉体改造を目指すヤツがいましたが、近ごろではサッカー選手のクリスティアーノ・ロナウドのような体を目指すのか? だったら、同時に収入も目指さねば!
 小体育館は幼児デーらしく大騒ぎでした。少々遠くても、幼児連れのピクニック気分で遊びに来られるキレイな施設です。


慶安寺

 普段、有名どころ以外のお寺は閑散としていますが、春分の日にはどの寺も墓参りの方々でザワつく空気感があります。
 先祖に感謝する「季節の慣習」とは、「無事に冬を越し、春をむかえられた」報告であり、季節感を身近に感じる民族ゆえ広く受け入れられたのではないか(806年 崇道天皇が開いた彼岸会(ひがんえ)をルーツとする日本独自の慣習)。
 右の手水鉢(ちょうずばち)に浮かぶ花は、寺から墓参者への心遣いに違いなく、こんな「おもてなし」を介し相手を思う感性こそが、「日本の美意識」という気がします……




 うちは父・母方とも祖父母が東京に移り住み、付近に縁ある寺もなく墓は霊園にあるため、寺にある墓でのしきたりを経験したことがありません。
 お寺では、本堂で「彼岸会」法要の後、各墓ごとに用意された卒塔婆(そとば:供養のための板)を持って墓に向かいます(卒塔婆を用いない宗派もあるらしい)。
 墓地分譲で目にする永代供養料が「ポッキリ」のわけもなく(追加料金なしと解釈する方が間違い)、法要+モノの提供に求められる「お礼」は、特約(?)ということらしい。
 そりゃお寺も張り切って、花のひとつも水に浮かべますよね……

 上の「鉄門」は国の重要文化財で、ジョサイア・コンドル(鹿鳴館、ニコライ堂旧岩崎邸庭園洋館 等)の設計とあるが、帰って調べると「確認されていない」とのこと。
 ここは「やくよけ祖師(そし)」とされる日蓮宗の大きなお寺(初訪問)。


真盛寺(しんせいじ)

 穏やかな陽気に「いいお彼岸だ…」などと、笠智衆さんのような印象を抱く齢(よわい)となりました。
 墓参りというのは、家族・親戚などの顔見知りが集まり和やかながらも、亡き方々への思いの共有から、祝いの席とは違う一体感を再確認します。
 その後の席で、懐かしむ話から世間話へと花を咲かせ、ほろ酔い気分ながら互いの健康と再会を祈る慣習というのは、見事な文化であると感じ入ります……


蚕糸(さんし)の森公園


 蚕糸試験場(輸出産業の主力とされた時代の生糸研究所:1911〜80年)跡地に、防災機能を持つ公園、小学校、備蓄倉庫が整備されます。
 小学校の夏休みの宿題だったか、蚕を育て繭になるもそのまま変色して死んでしまった記憶があります。その際、虫類は苦手な母も蚕だけは平気だったことに、以前の暮らしを垣間みたような印象が思い出されます(母方の祖父母の出身は川越)。
 上は、貯水タンクを再利用したジャングルジム&滑り台で、区では蒸気機関車をイメージして作ったとのこと。

 帰りに寄った環七沿いの「らーめん てつや」は、いまどきの背脂醤油ながらおいしくいただきました。札幌ラーメンのためかワカメがおいしく、環七ラーメンバトルのレベルの高さを実感しました。


追記──プロ野球開幕 2015.03.27

 開幕前に優勝できるのは阪神だけと思っていましたが、「広島、お前もか!」……
 黒田復帰に酔う気持ちは理解できますし、わたしも「男 黒田」を応援したい気持ちで盛り上がっているのも確かです(大谷クンも)!


追記──NHK連続テレビ小説『マッサン』終了! 2015.3.28

 本作の題名は『エリーの大冒険』こそふさわしいと、ヒロインのエリー(シャーロット・ケイト・フォックス)応援団は思ったのではないか?
 当初のおぼつかない日本語に「ダイジョウブ?」と危惧するも、間をつかんでからは泉ピン子のいびりにも耐え、日本にこびない「異文化の演技」に魅了されましたし、相手を癒すような包容力を感じるハグは、決して日本人には演じられないものでした。
 戦時中「鬼畜」呼ばわりされ、石を投げられた敵国(スコットランド:イギリス)出身者が日本で暮らす苦悩を描く視点は、初めて突きつけられた思いがします。
 モデルとされたリタさん同様、何も知らない異国に乗り込み大役を果たし、日本人の心をつかんだシャーロットの奮闘を讃えたい!
 「愛の物語」を素直に受け止められたのは、彼女の功績に違いありません。
 また、小池栄子が「何で可愛く見えるの?」と驚かされる存在感も見事でした。

 初めてウイスキーに接した際は、サントリーの宣伝の術中でしたが(太陽ワインのポスターはインパクトある)、そんな時代にもいた「ニッカ信奉者」の理由を理解しました。
 先日「竹鶴ピュアモルト17年」が2年連続、3回目の世界最高賞を受賞したように、マッサンの精神は、確実に受け継がれています!(現在スコッチを飲むが未経験…)


追記──春! 2015.03.28


 開花宣言から数日気温の低い日が続きましたが、カウントダウン状態のつぼみは20度気温に誘われ、一気に満開となりました。
  この瞬間一斉に「春!」を感じる日本人の感性を、外国人に納得させるのは難しいが、この光景を目にすれば彼らも「日本の春」の幸福感を理解できるはずです!

 浮かれているようで、長くなりました……

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