2015/10/26

気取り方も庶民的──湯島

2015.10.10【東京都】──「神田川を歩く_40」

 旧石神井川(旧藍染川)東側の上野の山は不忍池付近で途切れますが、今回は西側の本郷台地(東大側の高台)沿いを神田川まで歩きます。





不忍池(しのばずのいけ)


 上の「スズメ少女?」は中国人観光客らしく、中国にはこんな技も? いえいえ、付近のホームレスが慣らしたようです。
 警戒心が強いはずのスズメが人の手に乗ったりして、彼らの将来は大丈夫? と思うも、付近に生息する「上野族の進化」が彼らの未来を変えたりするかも知れません。
 不忍池が丸いのは、池を周回する競馬場として整備された名残りらしく、江戸幕府の終焉(上野戦争)以降は、日本で初めての公園とされました。


旧岩崎邸庭園


 池之端の交差点で、着物姿をバッチリ決めたオヤジが、足早に横断歩道を渡っていったのは、ここで待ち合わせのためだったようです。
 年相応の着物柄が似合うカップルは、夫婦や不倫の間柄ではなく恋人的な? いい感じの関係に見えます。
 屋内では楽しそうにはしゃぐ二人に、何度も行く手を阻まれたので、どこかで撮ってやろうと狙っていました。
 明治期の洋館を背景にしてもはえる着物は、日本の文化として胸を張れる衣服と感じられましたし、こんな格好でデートしてみたいとも……
 邸内は撮影禁止とされたので、以前の写真はこちらへ


湯島天満宮(湯島天神)


 上は、実りに感謝する供え物。作柄の吉凶にめげない農家の方の粘り強さが、秋祭り(収穫祭)を盛り上げる原動力と思うが、新米のおいしさに幸福感を覚えるわれわれも感謝しなければ。
 TPPの発効後は、自動車の輸出増により潤う税収で、打撃を受ける産業を保護する算段らしいが、「実りの秋」が盛り上がらなくなっては、季節感と文化を失うことになります。

 右は、打掛撮影でポーズをとる新婦。飾られた着物ではなく、着衣姿の方が思い出に残ります。
 この後目が合い、初対面同士でも笑顔になり気持ちが通じ合えたと思える瞬間が、「ハレ」の姿なのでは?

 その後付近のホテル街で、サッパリとしたカップルに出くわします(仕事中の同僚の逢い引きらしい)。
 以前湯島天神花街があった地ですが、右のような晴れ姿を披露できれば、きっちりとケジメを付けられます……

 バー「ホワイトレインボー:フジテレビ『ヨルタモリ』の舞台設定で、宮沢りえがママ」は、このすぐ裏でしたが先日閉店しました(番組終了)。


神田明神


 神田明神には、♡型や頭上(天に願いを?)の絵馬掛けがあります。
 縁起や由来は関係なく「願いが通じそう」なら何でもいいとする姿は、鰯の頭も信心からに通じるおおらかな国民性の表れか?
 神社側は少子高齢化時代に向け「若者の心をつかめ!」がテーマらしく、この日も行なわれる結婚式収入の算段や、神輿の担ぎ手を確保する必要もあるのかも……


 多くの寺社は「千社札お断り」ですが、ここには「千社札の貼り方」マニュアルが完備されます。墨文字部分だけが残る「抜け」の様には格好いい印象がありました。
 以前はアピールの印と感じたが、近ごろはFacebook同様「オレ、オレ!」と実名で恥をさらすようで、自分を封印する札(キョンシー?)とした方がいいのでは、とも……

 右は、昌平橋付近のスポーツクライミング施設の様子で、伸び上がる姿勢が気持ちいい。
 東京オリンピックの新種目候補として申請されましたが、見る側も楽しいので応援します。
 わたしの物理の知識では、90度以下までは摩擦力で説明できても、それを越えると落下するはずで、サルのようにぶら下がるか、スパイダーマンのように吸着するしかない、と…… 物理法則に挑む姿勢が魅力!

 旧石神井川(旧谷田川旧藍染川)が、神田川に合流したのは、万世橋付近のように見えました。
 今回で旧石神井川筋は終了になります。


追記──野球賭博とドラフト会議

 この二つを並べて話題にされると、「夢」と「挫折」は紙一重と感じさせられます。
 ドラフトで「夢が実現しました!」と語る者に、その先の宙ぶらりんや、負けをイメージする者はいません。一途に取り組み、挫折を乗り越えようとする時はいいが、様々な理由から力を発揮できない者がぬくぬくしてしまう環境があるようで、選手・球団双方に「潔さ」が欠けているように感じます。
 真剣勝負の緊張感を保つために、一度休養しても再チャレンジできる道筋があれば、もっと真摯に野球と向き合えるのではないか、と思ったりします。


追記──テレビ東京『釣りバカ日誌 新入社員 浜崎伝助』スタート!

 テレビドラマに期待するのは、NHK『坂の上の雲』以来か?
 根の明るい喜劇が約束された物語で、「ハマちゃんが二人?」「西田敏行演じるスーさんが見たい:ハマちゃん役で奮闘する濱田岳の演技をどう受けるのか?」等々の期待に、見事に応えてくれました。
 谷啓さんの不在を気付かせてもらうとともに、三国連太郎さんの「何だか楽しそうですねぇ」 の声が聞こえてくるようです。
 サラリーマンのオヤジたちを元気にしてくれるドラマ(寓話)を応援したいし、それって「昭和遺産じゃないの?」とされても、笑い飛ばしてやろうじゃないの! と……

2015/10/19

動物も活発な季節──Ueno Zoo

2015.10.3【東京都】──「神田川を歩く_39」

 この日は、パンダの写真だけ撮り別の場所を歩くつもりが、動物にも過ごしやすい季節のようで活発に動き回る様子が楽しくて、ガキのように食いついちゃいました……




国立西洋美術館


 本美術館の設計は、スイス・フランス国籍を持つル・コルビュジエによるもので、現在フランスでは「ル・コルビュジエの建築と都市計画」の世界遺産登録を目指しており、その援護射撃のため周辺だけで(?)気運を盛り立てています
 東京の世界遺産が「小笠原諸島」だけなのは、地方の活性化を優先するため海外観光客の多い東京は自粛しているようです(近ごろではホテル予約が困難らしい)。
 でも、東京が世界に誇る文化って浅草(下町)くらいか?
 上は、ロダン作 『カレーの市民』。


 上野動物園表門前にパンダポストがあります(子どもの姿が欲しかったが…)。
 一般的なポストにペイント+耳を付けただけですが(しっぽもあるらしい)、ここに投函すると「パンダ+西郷さんの消印」を押してもらえるとのこと。
 パンダのレンタル料は年間1億円以上とされますから、上野周辺からの話題発信が求められても、比較される初来日フィーバーの再現は望めません。
 でも、パンダを目にできる国は少ないようで、外国人旅行者が多い様子から健闘しているようにも(ここでも外国人頼み?)。


上野動物園

 パンダ舎の行列は5分程度で、見学場所でも渋滞せず「立ち止まらないでください」の声もありません。
 それは、見学者の側に「ゆっくりできない」意識を植え付けた、園側の管理戦略が浸透した成果? とも。
 ですが、立ち止まらないと写真は撮れないので後方から狙うと、やはり人影がかぶります。
 右の彼女はこの後、室内に入ってしまったので、一番まともな写真を。


 2008年リンリンの死亡で、日本が所有権を持つ個体は不在となり、現在はすべて中国からの借り入れとなります。
  2011年シンシン(メス:上)とリーリー(オス:右)が来日しますが、東日本大震災の影響で公開日が変更になったとのこと。
 以前のフィーバーはどうかと思うが、目の前で笹を食べる姿には、やはり目を細めてしまいます。
 可能な限り生息域環境の保全を願うも、中国という国は、内と外で顔が異なりそうな面に不安を覚えます。

 こんな姿が見たかった! スマトラトラの精悍な勇姿。
 休む間もなく運動場をノシノシ歩き回り、見学者が群れる大きな窓に迫ると、皆よけてしまう迫力があります。
 これまで目にしたのは、エサを巡る小競り合い程度で、これほど活発に動く姿は初めてという気がします。
 「エサはまだか!」と催促しているの知れませんが、そんな姿に見学者は大喜びですし、この興奮状態にエサを与える場面は迫力がありそうです。


 その後食事中のゾウに会い、動物園側は演出として食事の時間を調整しているのでは? と感じます。
 食事を三度とする人間も、目の前にエサがあれば間食するように、動物もエサを目にした際の行動は活発になります。
 エサやりのタイミングが調整可能な動物なら、分割して与えれば開園時間内に何度か食事の機会に出会えそうです(飼育係は大変そうですが)。
 そう感じたのも、動物たちが活発に動き回る季節柄かも知れません。


 食後の昼寝中らしいカピバラは、こんな姿でも見学者を満足させてくれます。
 穏やかな性格のためペットとして人気があるらしく、エサは牧草、木の実や樹皮ですが、動物園では主客とも退屈しないよう、食事に時間のかかる青草を与えるらしい。
 アマゾン川流域に暮らしあたたかな場所を好むので(温泉に入る絵)、日当りのいい場所を柵の近くに配した設計は見事、と感心です(勘違い?)。

 ゾウやキリンのように、シンボリックな特徴を持ちながらも、サイの姿は写真を含め目にする機会が少ないと。
 体毛が無く、動物の中で最も硬いとされる鎧のような皮膚から、ルーツは恐竜か? と調べると、「恐竜は絶滅したので恐竜を祖先に持つ生物はいません」との、子ども電話相談室のような回答は、そう考える人が多いためか。
 15時過ぎの食事を終えると、動物たちは「あとは寝るだけ」と、室内に入る扉の周辺をうろつき「早く開けろ」と催促する様子が見られます。
 右は「アンコールしてやるから早く入れてくれ」と、サービスをアピールしているようにも……

 動物園をひとまわりし親がひと息つく頃合いに、「もう終わり」と感じた子どもが「帰りたくない」と粘ろうとする姿は、自分のガキ時分にも思い当たるような気がします。右は、見知らぬ間柄の「帰りたくない」二人が共闘を組んでアピールする姿。
 その状況で親が発する「また来よう」という空約束に即効性はあっても、親もガキ時分に経験したであろう「うそつき」という印象を、植え付けかねません。
 しか〜し、ガキってのは結構たくましく、その言葉を引き出せばそれをネタに「ねだれる」との思いから、「とりあえず引き下がるか」と、取引を画策しながら知恵を付けていくのかも知れません。

 混雑する園内を歩き、動物が近づくのを待ち、「こっちも見たい!」と動物園を堪能し、自身でも「また来よう!」と思う楽しい時間が過ごせました。

2015/10/12

上野公園でデート なう

2015.9.26【東京都】──「神田川を歩く_38」

 海水面が高かった縄文時代は、不忍池も海だったとされるので、この日歩いた通称「上野の山」は、海を見下ろす岬だったことになります。



寛永寺


 江戸時代の徳川家には、増上寺と寛永寺の二つの菩提寺がありました。
 増上寺(浄土宗)は室町時代以来の歴史があるため、家康が江戸に入る際の支えと位置づけたようです。一方の寛永寺(天台宗)は徳川家が建立した寺院で、三代将軍家光の葬儀が行なわれてから菩提寺とされます。
 将軍家の墓地は非公開のため門前の案内だけですが、歴代では知名度の高い五代将軍綱吉より、篤姫(十三代将軍家定の正室)の案内板が大きい様子に、訪れる方の関心の先がうかがえます(NHK『ブラタモリ』の以前のシリーズで墓地の様子が紹介された)。
 上は旧本坊表門の鬼瓦。厄除け+装飾用の瓦で、手がける職人を「鬼師」と呼ぶところに、職人への敬意が感じられます。


下町風俗資料館付設展示場 旧吉田屋酒店

 右は、移築保存された酒屋の帳場ですが、当時の酒屋にはアルコールが充満してそうで、一日座っていたら出来上がっちゃったのではないか?
 一斗瓶(18ℓ)が展示されますが、あれをどうやって運んだのか?(リンク先は女性3人がかりで…)。

 付近は古い建物が残る地域で、行列のできる「カヤバ珈琲」が隣接します。「たまごトースト」がおいしそう。
 以前の特産品「谷中生姜」にちなみ、「谷中ジンジャー」や「ジンジャービール」があります。
 ジンジャーエールのルーツはジンジャービールとされ、欧米では各家庭でジンジャービールを作るらしい。


黒田記念館

 ここは「近代洋画の父」とされた画家 黒田清輝の記念館で、2015年にリニューアルされました。
 その名から『湖畔:切手の絵柄?』の絵が思い浮かびますが、明治時代の展覧会で全裸婦画の下半身部分を警察が布で覆い、「腰巻事件」と騒がれたそう。
 遺言通り遺産で黒田記念館が建設できたのは、東京美術学校(東京芸術大学の前身)教授、帝国美術院院長、貴族院議員などを歴任する、子爵という地位の力か?


京成電鉄 旧博物館動物園駅

 以前京成電鉄には「博物館動物園駅:2004年廃止」があり、地上の入口は当時の姿で残されています。
 景観保存のためかと思うも、ここは東京国立博物館の敷地内にあるため、京成側では決められないようです。
 付近にもうひとつあった地下駅「寛永寺坂駅:1947年廃止」も、建物は倉庫会社の敷地に現存するらしい。
 京成線上野〜日暮里の駅間が長いのは、JRに対抗するためと思っていましたが、その間の京成線はカーブばかりでスピードを出せませんよね……


上野公園

 噴水周辺のベンチに座るアベック、女性同士、ひとりぼっちの男もスマホに夢中という姿には「そんなの家でやれよ!」ですし、噴水に歓声を上げる子どもの脇で、親が手元に夢中で大丈夫なのか? と。
 二人の「スマホタイム」が楽しいのは、それぞれのスマホに隠される秘密の隣から相手とつながるスリルだったりして?
 秘密を持つ人は相手にも…と、のぞきたくなる「秘密の匣」に見えたりするのでしょう。
 マイナンバー導入後の情報漏洩は、大迷惑でも責任を問えますが、スマホがのぞかれるのは自己責任ですし、その先には地獄が……
 いやいや、それを乗り越えて絆を深め合うのがいまどきの恋愛なんですよね?


清水観音堂「月の松」


 江戸時代、歌川広重の浮世絵「上野山内月のまつ」に描かれた、松の枝が円を描く姿を再現したものですが、締め付ける様がとても痛々しく見える。
 ですが、奥の不忍池弁天堂(長寿、福の神)から続く参道は「産道」のようでもあり、安産祈願を目指したものか?
 明治期の台風で倒れ2012年に復活しましたが、「おっ、粋だねぇ」とされるまでには時間がかかりそうです。


アメ横

 土曜昼間の飲み会は「仕事のグチは無し!」と、友人・仲間で盛り上がっています。
 下町っ子は分かりやすいんだよ。明るいうちにやることやって(仲間と飲んで)、お天道様が沈んだらとっとと寝ちまうのよ、なんて聞こえてきそうです。
 わたしは夜型の飲んべえで、夜を楽しまなきゃと思っていましたが、夜更かしではなく明るいうちの方が健康的なのか? とも……


追記──明日の受賞者は誰?

 連日の日本人ノーベル賞受賞のニュースに、「明日は誰?」と夢を見てしまう状況を、誰が想像できたか?
 身近には感じられないも、熱帯地域の寄生虫に起因する病気の特効薬開発に貢献し、多くの人々の命を救った医学生理学賞の大村智先生。
 翌日、素粒子ニュートリノに質量があることを示すニュートリノ振動を発見した物理学賞の梶田隆章先生は、この研究はすぐに貢献はできないが「人類の知の地平線を拡大する」と、大村先生を意識したと感じる発言をします。
 分野は違っても、道を極めた者同士が出会い、刺激し、高め合う姿勢が、これからの世代の指標となります。
 素晴らしい功績に対するご褒美を存分に味わってください。


追記──W杯ラグビー日本代表の姿は、世界のファンの記憶に刻まれたことでしょう

 別の競技なので比較は出来ませんが、野球もサッカーも「つなぐ意識」で立ち向かっていい戦いをしてきたが、粘り強い連続攻撃で相手をかく乱・疲弊させて、勝機を見いだすプレーには、他競技でも手本とすべき戦術・意識と感嘆させられました。
 イギリスの観客も日本代表の戦いを拳を握りしめて応援し、「ファンタスティック ジャパン」として記憶に刻まれたことでしょう。競技場での観戦は「プレーの波に一緒に乗る楽しさ」の印象があります。
 お疲れ様でした。この盛り上がりのまま、ラグビーワールドカップ2019日本大会を!


追記──日本ハム大谷翔平が投手3冠!

 今シーズンは、着実に迫力が上乗せされた印象があります。
 わたしが買っていたバッティングでの、体の柔軟性や、ミートのうまさは、単なる「器用さ」として葬られることになりそうです。
 印象として、ダルビッシュより大きな投手になりそうと感じた時点で、投手への道を応援すべきと気持ちは固まりました……(クライマックスシリーズで負けてしまったが)

2015/10/05

下町ワンダーランド──谷中

2015.9.19【東京都】──「神田川を歩く_37」

 ネコがたむろする「夕やけだんだん:日暮里駅側の高台から谷中ぎんざに下る階段」が、旧石神井川に浸食された斜面と認識して歩いたのは初めてです。
 水の便利さを求める庶民は低地(ぎんざ側)を好み、水は不便ながらも高台を好む寺社は駅側に集まることで、住み分けられたようです。



西日暮里公園


 西日暮里駅脇の高台は、隅田川と旧石神井川からの浸食が両側から迫る、武蔵野台地が最も狭まった場所(標高図○部分)で、そこを切り崩して道灌山通りが作られます。
 北の開成学園側は「道灌山:由来には、江戸城を築いた太田道灌、鎌倉時代の豪族・関道閑(せきどうかん)屋敷跡の説がある」、南側は「諏訪台:当公園〜諏方神社〜谷中」とされ、谷中霊園や上野公園に向かい高台は広がりを取り戻します。


谷中

 TV番組等の影響から「谷中=谷中ぎんざ」的な評判が広まり、商店街は観光地的なにぎわいを呈するも、観光客は無遠慮にスマホでパシャパシャ撮るため、「カメラを避けてたら歩けやしないよ」とあきらめ顔をした地元の方を多く見かけます。
 でもそのおかげで、「カメラに慣れっこの日常」のような絵が撮れました。いつもどってことない写真ですが、「ライブ感」を切り取れたと思う今回の写真は気に入っています。

 無粋な観光客の立ち話が車の通行を妨げてしまう道幅ですが、付近では主要道だったりします。
 そのおかげで、映画『男はつらいよ』のさくら(倍賞千恵子)さんのようなエプロン姿のおばちゃんが、ゆっくり通過してくれました。
 両側にあるポケットから財布を取り出す仕草の印象も、映画の記憶だったか?
 定番の下町ファッションが受け継がれる様子も、この町らしさかと。

 陶芸品店の格子戸越しに女性の動く姿が幻想的で、動画の方が雰囲気が伝わると感じた絵。
 ですが、家屋の姿を見ようと脇に回ると、玄関以外は普通の家だったりします(奥の窓もおそらくサッシ)。
 近ごろ増えた、入口のイメージだけで雰囲気を演出する居酒屋と同じ手口のようです。
 わたしも惑わされましたが、ターゲットは女性と思われるので、格子戸の「幻惑:チラ見せ?」には、性別を問わず関心を引きつける力がありそうです。

 谷中を歩く際はいつも通る「ヒマラヤスギのパン屋:鉢植えから育ちランドマークとなった大木の下」に入る観光客は、店構えの懐かしさに誘われたのか?
 ですが近ごろ付近の土地売買があり、ヒマラヤスギに伐採の危機が迫るらしく、地域住民が守る会を立ち上げました(わたしも署名しました)。
 パン屋の裏側はボロボロですし、現店主が引退後の見通しは厳しそうです(パン屋訪問はお早めに)。
 ここはY字路の交点で、これまでY字の左上→下に歩くだけでしたが、初めて左上→右上へV字に進んでみると……

 寺の墓地沿いに続く狭い路地から、心細そうな表情の外国人観光客が何組も現れます。迷い込んだのかと路地に入ると、これぞ傾斜地の生活空間という光景に出会います。
 坂道が突き当たる斜面には、近所の自治会で作ったような狭い階段があり、湧水がありそうな斜面下の井戸(右下:○○家専用とある)は現役のようです。
 以前付近には湧水があり、現在の路地を流れた水路沿いに人が住み着いたのではないか?
 寺の境界に続く寂しげな路地まで、海外向けのガイドブックに掲載されるとは驚きですが、Wonderlandとして楽しめる一画なのでわたしもオススメです!


 一枚上の路地は、千代の富士像のある玉林寺(彼の親族の墓がある)に抜けます。
 先日六本木ヒルズで千代の富士(九重親方)を見かけた際、身長183cmは驚かないも横幅と体の厚みの凄さに、これが「筋肉の鎧」かと……

 こういう寺には反対側にも路地があるはずと向かえば、迷うことなく隣接寺院の墓地との間を通る心細い路地に入り、その抜けた先に上のねんねこ家があります。
 この店へのアプローチに最もふさわしい路地と思ったが、こちら側の入口には「私道につき部外者立ち入り禁止」とあります。
 確かに家の軒先を通るので迷惑に違いないが、それが路地歩きの楽しみです!(迷惑かけないようにします…)




 こんな指人形を目にしたことありませんか?
 「こんな表情見たことある」リアルなじいさん、ばあさんの指人形を作り、それを操りユニークな人形劇を見せてくれる、工房・店舗・劇場(?)があります。
 谷中らしい手のひらサイズの工房でも、全国的な知名度を得ることは可能ですから、地方のシャッター商店街でも実現できるのではないか、と思ったりします。
 強い意思とユニークな企画を抱く人を、支援・サポートする仕組みを確立できれば、地方からの人口・労働力の流出を少しでも食い止められるのでは、と感じたところです。


追記──準備を進めてきた、雑誌『L'OFFICIEL JAPAN』が創刊となりました。

 2015年10月1日、フランスのモード誌の日本版『L'OFFICIEL JAPAN(ロフィシャルジャパン)』が新創刊*しました(仏版は1921年創刊で、次号が1000号! の老舗月刊誌)。
 門外漢のわたしに内容は語れませんが、きちんとした雑誌の印象です。
 海外の雑誌に携わるのは4誌目(イギリス、アメリカ:2誌)になりますが、欧米に抱く「奴らは、自己中心的なくせにいい加減!」「アジアを下に見ている」の印象に大差はない、というところか……(日本人はまじめ過ぎと感じる面も変わらない…)
 関心があれば一度手に取ってみてください。
 *2005〜08年まで別の会社が日本版を発行していた。