2020/09/21

三社祭を斎行する──浅草神社

2020.9.14【東京都】

 平日なら浅草も混雑していないだろうと足を運び、「これなら不安なく歩ける」状況でしたが、活気のない様子には物足りなさも……(4連休は予想以上のにぎわいだったそう)


 散策する側は「ちょうどいい人出」に、また来ようと思いますが、観光地で営業する方々には「いつまでもつか…」レベルのようです(右に普段の混雑は見られない)。
 仲見世の掛け声は相変わらず元気でも、店員の動きは止まっています。その一方で人気店には人だかりがありますから、作戦を練る時期にすべきとも。

 こんな時節ながらも、周囲からは中華系の言葉が聞こえてきます。台湾やマレーシア等、5カ国の入国制限は緩和しても観光客はNGとすれば、国内に暮らす人たちにも人気があるわけで、同じ日本でも「違い」は伝わっているようです。

 上写真左の傘をかぶる人力車の車夫は、さかんに営業していますが、全体数が減っているように感じます。
 車夫はサービス業なので、当然カメラマンにもなりますが、女性客の要望に応えた後に、「二人でスマホを見て雑談するていで」とポーズを求めたりします。その方が女性誌的な絵になってますから、さすがと感心します。

 右奥の東武浅草駅(松屋浅草)は立派な建物ですが、制約のある場所に建設したため(隅田川に平行な駅舎と、川を直角に横断する鉄橋が隣接)、時代に対応できず、最長8両編成の入線可能も乗降は6両に限られます。ですが乗客は慣れた様子で、乗降可能な車両に移動します(最後尾の車両は空いている)。

 右は、三社祭が行われる浅草神社三網紋で、隅田川から網で観音像を引き上げた兄弟と、その像を社に祀った3人を表すそう。
 例年5月開催の三社祭は見送られましたが、10月17・18日に斎行(さいこう)予定だそうです。「祭事(まつりごと)を欠かす事無く次代に繋げていく」心意気は理解できますが、神も人もコントロールできない状況で、感染拡大を防ぐことは並大抵ではないと(宮神輿・町神輿を含め担ぎ手による神輿の渡御は中止だそう)。これまでにない祭りになりそうですが、周辺の街に活気が戻ることを……(サンバカーニバルは、9月末に予定の代替イベントが中止となりました)

 六区方面の再開発は継続中で、工事中の浅草観音温泉跡地の並びでは、藤棚の下でまったりできそうな初音小路飲食店街だけが健在というか、取り残されているようにも。
 突き当たりは「花やしき」、左に折れるとWINS(場外勝馬投票券発売所)や六区に隣接する、娯楽パラダイスですから、敗者も受け止めてくれる横丁が求められるようです。少し前の再開発でキレイになったアーケードも、じきにこんな姿になるかもしれません。
 競馬開催日ではない平日の昼でもポチポチ客が入るのが、浅草らしさとも……

 人出が少ないと、浴衣姿を撮るチャンスも少なくなります。
 若い女性たちが、スマホ用スタンドで撮影する姿(右)を多く見かけ、ピースすればOKではなく、「映え」を意識する様子に意識の変化がうかがえます。
 右の丸い背中から、映画『東京物語』(リンク先Youtube予告編)の東山千栄子さんを想起したと言ったら怒られそうですが、知らないよね?

 下の鼻緒のようにカワイイものは、以前からあったのか、観光客受けを狙ったのか? いずれにしても「商品」と「買い手」が出会うためには、多くの人が交流できる場と、安心・安全な環境が必要です……


 連休の各地がにぎわったように、出かけたくなる気持ちもわかりますし、観光関連業の方にも笑顔が見られたようですが、「楽しかったね!」で終えられるか、わかるまで時間がかかることに不安を覚えます……

2020/09/14

「真夏の夜の夢」の喪失感──向島

2020.8.22【東京都】

 向島の名称に「川向こう」の差別意識を覚えるためか、「負けねえぞ!」の心意気から感じる芯の強さが、周辺の魅力かもしれません……


 NHK連続テレビ小説「エール」の、芸者が唄うと耳にした瞬間の「向島か?」の反応に、昭和初期の向島芸者の人気ぶりを感じたりします(9月14日より放送再開)。
 向嶋(以前の表記)の花街は明治期に始まり、最盛期には芸妓が1000人以上いたそうで、いまも健在の料理屋(料亭)の佇まいには、粋なカッコよさがあります。右は料亭美家古(リンク先は座敷の絵!)で、ここは常連さん専用口か?
 向島の地名由来が、「隅田川の向こう側の島」だったに納得するのは、島の名を持つ地名が多く残るためで、隅田川の東側は江戸にあらずと認識されていました。

 周辺は空襲で焼き尽くされたため、整理された区画が整然と並びますが、街並みのように襟を正していると感じるのは、地元に対する誇りではないかと。花街への出入りの多さや、関わりを持つ人が多いため、乱れた姿を見せられない心構えのようにも。そんな「気取り」が江戸っ子の自慢であり、やっかみでもあり、大衆文化の原動力だったのかもしれません。
 右のような店が健在な町ですから、まだまだ庶民文化は衰えないことと。
 来年の花の季節には、自粛されることなく芸妓茶屋(芸者茶屋)が出店されることを楽しみに……


 上は三囲(みめぐり)神社神楽殿の千社札。穀物の神(宇迦之御魂神:うかのみたまのかみ)を祀り、三井家の江戸守護社とされるため、商売繁盛が祈られるそう。

 隅田公園に隣接する牛嶋神社(本所の総鎮守で、東京スカイツリーの氏神)にある撫牛(なでうし)像は、牛頭天王(ごずてんのう)に由来し、天満宮の牛の像もそこにたどり着くらしい。

 下の隅田公園(水戸徳川家の屋敷跡)南側の整備が終わり、以前とは比べ物にならない今風の明るい公園となりました。これで、隅田川花火大会の観客席は増えましたが……


 東武線鉄橋脇の「すみだリバーウォーク」(下)は、浅草とスカイツリーをつなぐ動線として設置され、散歩にはちょうどいい距離ですが、スカイツリーは子どもが多く客層が違うようにも。
 スカイツリー側の高架下には「東京ミズマチ」が整備され(2020年6月)、北十間川沿いも歩けるようになりました(現在は隅田公園に面した西側のみ)。以前その頭上には隅田公園駅がありましたが、利用率が低いため廃止されました。
 一連のオープンは、当然隅田川花火大会の時期をターゲットとしますが、たった一夜の「真夏の夜の夢」でも、夢が失われた喪失感はいかばかりかと……



23区の時短営業要請解除

 東京都はコロナ感染状況の警戒レベルを、2番目の「感染の再拡大に警戒が必要」に引き下げ、23区内の飲食店やカラオケ店への午後10時閉店の時短要請終了を発表しました。
 店舗側には明るい知らせで、「待ってました!」と繰り出す連中もいるかもしれませんが、リスクを負ってストレス発散できる? と感じるのは、年齢のせいだろうか。
 常々、残業でギリギリ最終電車で帰宅する者と、泥酔者が同じ扱いとされることに理不尽さを感じましたが、酒の席で注意散漫となり、濃厚接触していそうな連中を避けるため、これからは自己防衛として「残業の時短」を意識するのではと……


信念を貫いた大坂なおみ選手

 黒人差別への抗議マスクで戦い、全米オープン2度目の優勝を果たした大坂なおみ選手の快挙は、暴動によらない抗議活動への道を示すのではないか。
 人種差別を受けていると感じない(理解できない)島国育ちのわれわれにも、考えるきっかけを提起したことは、プレーと共に大きな意義があるのではないか……

2020/09/07

情報は各人が伝えるもの──鳩の街通り

2020.8.22【東京都】

 以前の曳舟駅周辺は寺島町とされ、永井荷風『濹東綺譚』、滝田ゆう『寺島町奇譚』の舞台である玉の井や、後の鳩の街がありました。


 右は向島秋葉神社参道にある、以前は茶屋だった(?)木造家屋の建物で、内部ものぞきたくなります。
 周辺に湿地が広がっていた時分の「千代世(ちよせ)の森」にあった稲荷神には、江戸時代に秋葉神社(火伏せの神)が祀られ、「江戸中一の紅葉の名所」とされた様子が、歌川広重「請地秋葉の境内」に描かれます。住宅密集地なので、現在も火除けの神として信仰されるようです。
 以前紹介した高木神社前から鳩の街通りに続く、並行する複数の路地(下2枚)は、江戸時代の秋葉神社周辺地図にある水路跡らしく、そんな場所柄に歓楽街が発達したようです(水路が空襲火災を食い止めたのか?)。


 鳩の街(はとのまち)は、空襲で玉の井(私娼街)を焼け出された人々が移転した地で、戦後は進駐軍の慰安施設とされるも、性病感染が多いため立ち入り禁止となります。米兵向けに用いた鳩の名をPigeon Streetと呼んだそう。
 その後、日本人相手の特殊飲食店街(赤線)となる際は、カフェー風の店(女給が性的なサービスを行う風俗営業)に改めさせられます。文人たちが競うように通い、作品に描こうとしたのは、最新風俗潜入レポートのようにも。
 ですが、「お昼までノンビリさせてくれるのがこのシマのいいところ」なんて目にしたら、誘われたくなりそう……


 今回のスタート地点の曳舟駅周辺では、徒歩圏内にある玉の井や鳩の街 等のイメージ刷新や、空襲を免れた地域の再開発への意欲を示すために、タワーマンション建設に取り組んだようで、空襲を免れた地区がお荷物とされる時代に……
 曳舟駅前の工場が舞台の映画『下町の太陽』を、そんな地域との認識なし(背景を知らず)に観たので、地域の知見を持った目で再見したいと。

 現在の鳩の街通りには、古い建物を活用する今風の店も見られ、現代的な下町らしさを持つ通りになってほしいと。
 右は、墨堤通り沿いにある皮革を扱う店舗のよう(いい感じの装飾)。


情報は自分で伝えるもの

 台風接近前に「経験したことのないような…」と警戒を呼びかけますが、事後には必ず「テレビを見られなかった」「防災無線が聞こえなかった」のコメントを耳にします。
「祖父母など、親しい高齢者の住んでいる場所の防災情報を、インターネット等で調べ、電話をしてみてください。」
「最新の道具を使って、自分のために調べてくれた孫からの電話は、うれしいと思います。」とありました。
 各人の行動こそが情報社会の最も重要な役割で、今回は間に合わないかもしれないが、一本の電話で命を助けられるかもしれません。伝えられない情報に価値は生まれません。

2020/08/31

東京で暮らす理由──亀戸

2020.8.14【東京都】

 前日に父の墓参りに行きましたが、遠出を控えるためか「Go to お墓参り」の家族が多いようで、お墓に迎えに行くお盆休みもありかと……


 近頃は西葛西〜亀戸のバス利用が多いため、亀戸駅周辺の見聞が広がり、右の亀戸天神前「元祖くず餅船橋屋」の支店が駅の南北にあり、駅ビルのワゴンも客が絶えない人気を再確認しました。
 くず餅は発酵和菓子で、ラクトバチルス乳酸菌(聞いたことある)を含むため消費期限2日間とされ(ホームページより)、「発酵食品で免疫力アップ」がもてはやされる近頃は(納豆売り切れに驚いた)人気が再燃していそう。
 アジア諸国でコロナ感染者が爆発的に増えないのは、発酵食品の摂取習慣によるとすれば、数十年ぶりに食べてみようかと思うも、きな粉と黒蜜でしたよね……


 亀戸天神(上)といえば、1枚目(船橋屋の藤棚)のように、藤の名所の印象がありますが、菅原道真を祀る天満宮(天神)ですから、神牛(しんぎゅう)座像(道真の遺体を乗せた牛車が動かなくなった場所に太宰府天満宮が造営された)があり、飛梅(とびうめ)にちなむ梅林(上)に囲まれます。
 ここでは、うそ替え神事(1月)、梅まつり(2月)に加え、藤まつり(4〜5月)、菊まつり(11月)が行われ、季節感+くず餅で心身を清めるようです。


 上の普門院は、室町期の武将 千葉自胤(ちば よりたね:千葉氏2代当主)が建立したもので、移設の際に釣鐘を隅田川に落としたことが、鐘ヶ淵(旧カネボウ創業地)の地名由来とされるそう。
 亀戸七福神の毘沙門天を祀るも境内は荒れ放題で、「これが廃寺というものか?」の印象を受けます(『野菊の墓』作者 伊藤左千夫の墓標もぞんざいな扱いの印象)。どうも住職が亡くなったようで、奥さんが可能なことを引き継いでいるようです。お盆の墓参者は多いので(車での訪問が次々と)、早く整備すべきと思うが難しそうに。
 上は本堂前に置かれたテーブルセットですが、虫が多いので休む人はいません。


 亀戸中央公園(日立亀戸工場跡地)から旧中川でのボート練習風景が見えます。頑張る姿に熱中症大丈夫? と心配になりますが、唯一の日陰である橋の下で休憩していました。

 以前どこかで見かけた「セミ捕り禁止!」の看板と柵があり調べると、少し前から埼玉県で問題視される、食用目的の捕獲対策のようです。アジアの国には食用の習慣があるらしいが(幼虫を食べそう)、やかましいセミが減ったと感じるのはかなりの数ですから、商売目的ではないかと。

 右写真からは、室内で会話を控えるなら、汗だくでも外のほうが「よっぽど気持ちいい!」気分が伝わってきます……


東京で暮らす理由

 7月の人口移動報告で、東京圏(埼玉、千葉、東京、神奈川)から他の道府県への転出が転入を上回り、転出超過(人口流出)となったそうです。
 コロナ感染者は東京を中心に広がっており、「即離れたい人」、テレワーク(在宅勤務)で「縛りが解けた人」等が行動し始めたようにも。経済活動の中心地ですから雇用機会は多くても、そこで「密になるな」とされた途端に都市の魅力が失われ、「東京で暮らす理由」を考え直す人が増えるのは、当然という気もします。
 すぐには変わらないにしても、「災い転じて…」をきっかけとした、大きな転換点になるかもしれません……


池江璃花子選手 レースに出場

 病気からの復帰を目指す池江璃花子選手が、1年7カ月ぶりのレースに出場し、日本学生選手権の参加標準記録を突破しました。「第二の水泳人生の始まり」と表現していたが、周囲に与えた勇気は、この上なく大きく力強いものと……


首相の辞任

 評価は分かれるかもしれないが、病歴のある人材を首相に選出し続けた政党に問題があると感じるし、その政党を選択し続けた国民の問題とも言えそうと。
 ですがアンケート調査の、支持側「他の内閣よりよさそう」、不支持側「人柄が信頼できない」とは、まるで違うレベルの自己都合(首相連続在任日数最長を達成後)の辞任は、国民に対してその選択が間違いだったことを突きつけます。自身で語った「国難」の渦中において、重責だけを逃れる選択(議員辞職せず)ができるとは、「人柄が信頼できない」以前の不信感を覚えます……

2020/08/24

国民が求める情報──立花(平井)

2020.8.10【東京都】

 この日は、東武亀戸線 東あずま駅から旧中川方面を歩きます。暑さは覚悟していましたが、木陰のベンチを目にするたびに避難を繰り返します……



 東あずまとは吾嬬神社(あづまじんじゃ)に由来するもので、日本武尊(ヤマトタケル)の神話にある、房総へ海を渡る際の暴風雨で、海を鎮めるために海中に没した弟橘姫(おとたちばなひめ)の遺品が流れ着いた場所とされます(吾嬬=わが妻の意)。浅草の吾妻橋も、神社に通じる道に由来する説があるそうで(漢字表記からも理解できます)、船橋の海神にも伝説が伝わります。

 上は旧小山家住宅(大正6年:1917年)の奥座敷にある欄間飾りで、以前は中川に面していましたが、ちょうど荒川放水路開削工事(13年〜30年)の時分なので、風情を残そうとしたようにも……


 上のすみだスポーツ健康センターは、隣接する墨田清掃工場の余熱を利用する室内温水プールですが、流水プールやウォータースライダーがあり、ガラス越しにはスカイツリーが見えるそう。のぞいてみたかったが、時節柄の入館チェックがあるため、野次馬は遠慮することに。チェックは当然玄関の外で行うため、日陰とはいえ受付の方は猛暑の玄関前で待機しており、思わずあいさつを……

 旧中川の水位は荒川より1m低く管理され(下流に荒川ロックゲートがある)、流れのない水路はボート競技の練習に利用されます。ゆりのき橋下に艇庫があり、暑い中も漕ぎ出しているようです(船底は鏡のよう)。

 池のような水路のため野鳥もまったりするのか、釣り人から餌をもらうサギの姿(右は飛んでくる姿)に、「お互いどうなのよ?」とも(近寄っても逃げないと思っていた)。

 下は、木下川排水樋門(きねがわはいすいひもん)の日陰から撮影。樋門は水路が埋設された水門(船の通行不可)で、旧中川に流れ込む水を荒川に排水する施設。「暑さに負けるか!」と気合の入るライダーが多いのは、マスク生活のストレス発散かも(思い切りハァハァしたい気持ちわかります)。
 右の旧中川も下の荒川も河川敷に日陰はありませんから、熱中症にはお気をつけください……


国民が欲している情報

 日本感染症学会で、国民が知りたい見解が発表されました。
「大都市で数万人が死亡し、医療が崩壊するといった最悪のシナリオが起きる可能性は低まってきた」
「接待を伴う飲食店を中心としたリスクは、さらに低減させる必要がある」
「クラスターの発生が続く中、どんなに注意しても現状では完全な感染予防は不可能で、不安は生じるが、心の持ちようや対処方法を考え、冷静に対応することが重要」
「新型コロナの実態は、この半年でかなり分かってきた。クラスターが見つかることは不安ではなく、制御できる機会の発見で安心につながると考えてほしい」
「全ての場でリスクゼロを求めると、社会や経済の活動を著しく制限せざるを得なくなる。新型コロナを正しく評価し、どこまでリスクを許容するかについて社会のコンセンサス(同意)を得ていくことが必要だ」

 専門家の真意をストレートに伝えれば、国民も誤解なく受け止められますが、ほとんどが黒塗りとされた専門家会議の発言録のように、操作された情報を根拠とする施策に従えでは、あまりにも乱暴すぎます。
 そんな経緯を受け、学会で発表したことは学者としての矜持であり、国民にとって有益であると感謝したい……

2020/08/17

「甲子園」が伝えたメッセージ──押上

2020.8.8【東京都】

 近頃の押上からはスカイツリーを想起しますが、人出の多そうな場所を避けて、東武亀戸線沿いを歩きます。

 上の押上、曳舟周辺の鎮守とされる高木神社には、「おむすび」の絵馬があります。祭神の高皇産靈神(タカミムスビノカミ)からの引用だそうで、神社の腐心がうかがえます。
 近頃、アニメとのコラボ(パワースポット、舞台 等)をよく見かけますが、ここではTVアニメ『からかい上手の高木さん』(リンク先Youtube:初見ですが恋心の駆け引きが可愛らしい)ヒット祈願が行われ、パネルや絵馬があったりします(高木つながりだけだそう)。相乗効果はあったのでしょうか?
 上の東武亀戸線は当初、北千住〜曳舟〜亀戸〜越中島間を通す計画でしたが、市街化により用地取得ができなくなり、曳舟〜亀戸間はローカル線として残されました(亀戸〜越中島間には旧国鉄が貨物線の越中島支線を開業)。
 日中は2両編成でのんびり走るローカル線ですが、住宅街を走るためラッシュ時は3両編成となるそう。


 夏の日差しに干される梅は旨味がギュッと濃縮されそうで、ファインダー越しでも唾液がジュワジュワと。食べる機会は減りましたが、暑い季節には体が要求してきます。近頃の梅干しは塩分控えめでインパクトがないので、「昔ながらの塩にこだわった」梅干しを買ってみると、えらくしょっぱいがクエン酸が主張する味が懐かしく(塩が演出するのか)、昭和期の食習慣とされても夏場に効きそうな表情になります……

 下の、そば&カフェ 長屋茶房 天真庵は長屋を改装したため、理髪店のようなガラス張りの窓が生かされており(右側で写真にはない)、建物の個性を生かした再利用が受ける様子は、とてもいい流れと感じます(ここは有名どころのようです)。

 右は緑と花の学習園で、敷地は広くないが様々な植物(約350種)が育てられます。緑が少ない印象のある墨田区内で、見学・体験・講習・相談のできる施設として、力を入れているようです。吊るされているのはメロン。

 近くの花王 東京工場(創業時は向島、押上に工場があった)は地域の名士ですから、その存在感は付近の小村井香取神社でも際立ちます。東武亀戸線の駅もある小村井(おむらい→オムライスを想起した)は、小村江(海の入江)に由来するそう。
 付近にはいまも工場地帯の名残があり(中小の工場が点在)、下は現在倉庫のようですが、外観から前回紹介した映画『下町の太陽』の時代を想起します……


「甲子園」が伝えたメッセージ

 唯一夏らしさを感じさせてくれた甲子園高校野球交流試合では、応援団、チアリーダー、ブラスバンド、観客の姿がないため、普段より澄んだ球音が響きました。例年のスタンドを埋め尽くした動員力の凄まじさを改めて感じますし、あれだけの人の動きが止まったということは、お金の動きも止まったことになります。「そんなことやってる場合じゃない」の声も聞こえそうですが、試合のテレビ映像が象徴的なだけに、国民に与えるインパクトも大きかったのではないか。
 Go toは、「お金ではなくウイルスをまくだけ」と自粛する賢明な国民が多いため、踊れと鼓舞されても「祭りのない夏」となりました……

2020/08/10

帰りたくても帰れない、でもGo to?──京島

2020.8.1【東京都】

 関東はこの日梅雨が明け、久しぶりに明るい空の下を歩き、気持ちも表情も晴れ晴れとしましたが、感染症警報は明ける気配がありません……

 曳舟駅(東武線、京成線)は東京スカイツリー駅&押上駅の隣駅で、見上げるスカイツリーがほどよい高さにそびえるため、歩きながら見上げる姿が「田舎もんに見られそう」とも。
 駅周辺にニョキニョキ高層マンションが並ぶ様は、場所柄に似合わない気もしますが、開発予定地と思われる広い駐車場が待機中のようです(カメラ位置)。

 駅南東側の京島地区は、空襲被害から奇跡的に焼け残った地域で、戦前の木造住宅や狭い路地に下町風情が残りますが、住民からは住環境の改善、災害対策が求められていました。
 旧曳舟川の水運を利用したと思われる工場が駅周辺にあり、公団住宅や曳舟文化センター(資生堂石鹸工場跡地)建設から再開発が始まるも、バブル崩壊で一時停滞したそう。
 明治期には大都市近郊である周辺に、花王、ライオン、カネボウ(都営白鬚東アパート付近の鐘ヶ淵の地名に由来)等の工場が作られました。映画『下町の太陽』(リンク先予告編:デジタルリマスターのおかげでキレイ)の倍賞千恵子さんは、資生堂の石鹸工場で働く設定だったそう。
 前回の訪問は2009年で(そんなに経つのかと…)、もう何処を歩いたのかもわからないほど変わっています(忘れているだけかも)。整備された道路沿いに点在するコミュニティー住宅(高層ではない集合住宅)に、元の住民が暮らしているようで、消防車が入れる道路整備、公園や広場(広くはない)が確保され見通しがきくようになり、以前より町の印象はとても明るくなったと感じます。
 住民にとっての安心につながりますが、訪問者の目には「他と同じ様な町になってしまった」と映ります……(失礼)
 上は、商店街から少し離れた、人だかりのある鮮魚店。
 右は、明治通り沿いの長屋商店の建物。

 付近のキラキラ橘商店街(2枚目:以前この通りにあった映画館「橘館」に由来)には活気があり、いまも気の置けない社交場(下町コミュニティ)らしく、通りの情景は変わらないように見えます。
 古くからの商店街では定番の、お年寄りファッションの店も多く、「サッチー着用」の派手な柄の服がまだ飾られています。奧さんに先立たれてから野村克也 氏は、生気を失ったように見えました。
 右の物干しは使えそうに見えますが、竿をしまう場所はないでしょうから、使われてないように……

 右は、三輪里稲荷神社(こんにゃく稲荷)の入口にある木材倉庫(かなり立派)。現在も下町の広い範囲で材木店をよく目にするのは、江戸〜昭和期の旧木場から水路により木材運搬できた場所柄のためかと。他では少なくなりましたから、地域の特徴として印象に残ります。

 各地の神社は、コロナ禍で祭り行事等が開催できないため、ダメージはとても大きいようです。「疫病退散」ののぼりを見かけ、近頃は真っ先に「感染収束」を祈りますから、「コロナ退散」を祈る場を作り、大勢の気を集めて欲しい! と思ったりします。勝手ですが、いまこそ「困った時の神頼み」をしたい! と……


「帰りたくても、帰れない」切なさ

 「民族大移動」とされるお盆の時期に響いたのが、中国地方知事会のメッセージです。
「あなたの家族、親戚、友人には、身近な人からの感染に不安を感じている方がいるかもしれません。ふるさとへの帰省について、もう一度家族と相談してみてください。」
 心に語りかける「生きた言葉」と感じました。
 「帰ってくるな」と言いたい人、言われたい人はいません。「心配だから」と真剣に話し合う家族がいる一方で「Go to」を継続する姿勢は、「観光関連の経済活動をする人は感染の覚悟を持つように」とされるようで、政府の本音が見える気がしてきます……